1月21日(土) 曇り
今日は雪にならずにすんだ。この日の予定は映画「ALWAY三丁目の夕日・64」を見ることであった。三日前からPCで予約を入れ、今日を待った。幸いなことに?今日はひどく寒い陽気。素庵、例によって雨耕晴読をまたやっている。この作品は第三作目で、初の3D作品である。原作は漫画で西岸良平。
1947年七月生まれの西岸氏は東京オリンピックの時は高校生であったはず。今回は、東京オリンピックの頃の世相を背景に物語が展開する。監督は日本で指折りのVFX(ビジュアル・エフェクツ=映像特殊効果)の山崎貴で、VFXは撮影後の画像に、デジタル的処理によって、特殊効果をつくるものである。映画「スペース・バトルシップ・ヤマト」も、同監督の作品だ。
3Dの効果(アバターと同じように、最初から3Dカメラを用いて撮影したという。このアバターは、正に人類長年の夢を実現したというような、立体映像でかつ感動深いよい映画であった)が、生々しい現実感を出している。内容については、この時代のほのぼのとした暖かさには慰められるものがある。日本は発展途上国で貧乏であったが、今みたいに多くの問題を抱えてはいないから、世情も今より穏やかだ。こうした、人の優しさは、今、失われつつある状態にある。
現在、生活は便利になったが、何かと費用がかかる。それであるのに、派遣・アルバイトなどが跋扈し、この都心で月給25万円を確保するのも難しくなってきている。国民年金などは月に6万円ほどしか貰えないのに、生活保護は、私が住んでいる市の場合、住居費に6万5千円・生活費に12万円も支給されているようだ。考えてみれば、この東京オリンピックの時代が、私達現在の時代の親である。長らく経済発展が、すべての矛盾を隠していたが、経済停滞が、矛盾をあからさまにするようになった。どんぶり勘定で放置され続けてきた年金や介護や保育や会社重視の過酷な労働(最近はやりのブラックスーツを素庵はひどく嫌う者である)が、あからさまになってきている。
で、あるから、本当は、オリンピックの時代に、全ての問題の根があるわけであるから、実際はわれわれは、この時代を、あまり賛美してはならない。
ハローワークで、就活中の我が30代の息子によれば、たかだか月収25万の仕事二名募集に、40人の人々が群がっているようだ。ネットをひらいてみれば、就職は厚生年金・健保のつかない、定休の少ない、昼夜交代制の派遣やアルバイトばかりである。派遣会社を認めたのは政府であるし、雇用条件の劣化を横目で眺めているのも政府である。ボロボロの年金制度を放置して来たのが政府であるし、闇雲なグローバリズムに乗っかっているのも、原子力発電所を支えてきたのも政府である。
いずれにしても、現在は、時代閉塞、幕末的様相を呈している。
古傷に激しい雪は降りしきる 素庵