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素庵日記  作者: 春野一人
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10月21日(金) 「成吉思汗の秘密」という小説

 今日は朝から雨である。図書館から借りてきた歴史本三冊にやっと目を通し終えた。三冊中、取るべき著作は「古事記のひみつ」 三浦佑之みうら・すけゆき著 吉川弘文館刊であった。真摯に古事記と日本書紀を比べ、独断に入り込まず、よくあるトンデモ本にならず、まさに「古事記」を分析した優れた著作と思えた。「日本書紀は独立宣言書だった」 山科誠著は、すごい独断で、推論の進め方には優れたところが見えるが、なにしろ独断が多すぎて、ほとんどトンデモ本化している。参考にはなりえないと思えた。「日本書紀のすべて」 武光誠編 新人物往来社刊は、いわば広く浅くの本、十人の人達による、日本史入門書といったところだ。竹光氏の担当はわずか20ページあまり、「日本書紀と古事記も同時期に並立しているが、古事記も朝廷に必要な書であった」と簡単に片付けられてしまっている。200冊に及ぶ著作がある学会では著名な先生であるらしいが、首を傾げてしまう研究態度ではなかろうか。

 さて「古事記のひみつ」により、素庵の愚鈍な頭も整理されて、少し前に進むことができた。三冊の本の前に借りてきた本の名を記さなかったが、その一冊は「日本書紀の謎を解く・述作者は誰か」 森博達もり・ひろみち(1949年兵庫県生まれ、大阪外国語大学中国学科卒。名古屋大学大学院博士課程(中国文学専攻)中退。愛知大学専任講師、同志社大学助教授、大阪外国語大学助教授を経て、1999年に京都産業大学教授)は日本書紀に用いられている言葉によって、著述者を推理する方法を採っている。それによって、書記の各巻が、中国人の手によるものか、日本人によるものかを、見事に分析している。小耳にはさんだ話によると、この著は名作で知られているということである。


 このようにして、謎は徐々に明らかにされてきているが、道は未だ遙かに遠い。素庵が日本古代に強く惹かれるのは、謎が多いからである。さらに日本書紀が謎かけ問答をしかけてくるから余計面白いのである。・・・今は古い小説になってしまったが「成吉思汗じんぎすかんの秘密」 高木彬光たかぎあきみつ著 昭和35年 光文社刊 は、歴史マニアには心躍る名作であった。なにしろ源義経が元初代皇帝ジンギスカンであると言うことを、入院中で閑な東大法医学助教授が論証するという話であり、その論証が、若き素庵にはたまらなく面白かった。この土日はこれを再読したいと思っている。

 

 高木彬光 1920年青森市生まれ1955年没の推理小説作家。四代続く医者の家系。東大進学に失敗、京都帝大工学部冶金学科卒。一高在学中、家は破産して一家離散、親族の援助で学業を続けた。京都大学卒業後、中島飛行機に就職したが太平洋戦争終結で失職。1947年骨相占師の勧めにより小説家をめざす。できあがった「刺青殺人事件」が江戸川乱歩に認められ、1948年出版。代表作に「能面殺人事件」(1950年、第三回探偵作家クラブ賞)「わが一高時代の犯罪」「人形は何故殺される」「白昼の死角」「破戒裁判」

 氏の歴史ミステリー「邪馬台国の秘密」「古代天皇の秘密」は、いずれも入院中の教授が謎にいどむという小説である。こうした推理小説の書き方は、ジョセフィン・テイの「時の娘」(1951年)が原型で、病院のベッドで動けない探偵が限られた情報で推理する話というので「ベッド・ディティテクティブ」とよばれている。

 氏はかなりユニークな人で、易、占いを信じていて、手相の本として「手相占い」昭和56年角川文庫がある。また大学で学んだ冶金の知識を生かして、秋田で鉱山の発掘に熱中したという(鉱山士の事を山師とも言うね!笑い)。この手相の本は、素庵も愛読したが、今日の日まで氏の著作と知らなかった!似た名前であるなとは思っていたのだが・・・(苦笑)。


 

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