1月10日 (火) 晴れ
毎日乾燥!風邪をひかないように、エアコンをオンにするときは、必ず加湿器もオンにする。素庵は古い人で、加湿器は暖かな蒸気が出るタイプでないと嫌である。冷たい湿気が出ていると思うだけでなんだか風邪をひきそうである。正月気分がやっと世間から抜けて来たようである。素庵が好きな、俳人小林一茶は 「めでたさも ちゅうくらいなり おらが春」と詠んでいるが、素庵も正月ごとに、この気持が強くなる。医学の定説では老齢になると筋肉も脳細胞もストレッチしないと、たちまち半減するとのことだ。それで素庵は歩く、本を読む。しばらく歩きをさぼっているとたちまち、駅の階段を上るのがきつくなる。こんなことはかってなかったことである。
さて、話し途中になっていた、ポーの「ウイリアム・ウイルソン」に着想を得て、大佛次郎が処女作で「隼の源次」(今やこの一冊だけを捜すのは難しい!こうした目立たない作品を読むためには大佛次郎の全集を読まねばならない。そのようなときネットで予約できる公立図書館は半年金生活者の素庵には強い味方である!)という作品を書いたと言う件だが、登場人物が良く似た二人であるという以外内容は異なっているという印象を持った。「隼の源次」の内容は、むしろマークトウェインの「王子と乞食」(名作!)のそっくりさん物語に似ていると思った。ひょっとすると、大佛次郎は本当の原作を隠して置きたかったのかもしれない。どちらかと言えば、こちらの方が大佛好み(氏の作に「パリ・燃ゆ」「天皇の世紀」などのノンフィクション作もある)氏の好みはあきらかにポーよりもマークトウェインである。
この「天皇の世紀」と「パリ燃ゆ」それに「ドクトル・ジバゴ」は今、緊急に読みたい本である。前二著は司馬遼太郎の先駆の書として、ジバゴは映画研究としてである。
こんな、ぐうたらな素庵であるが、司馬遼太郎作品は「竜馬が行く」「坂の上の雲」「翔ぶがごとく」は読んだ。しかし司馬作品には読みたい本がまだまだたくさんある。読む前に素庵のあの世行きの電車は出てしまうのではあるまいか!・・・しかし、未読は楽しみが残されている事と同義であるから、それを思うと生きる勇気が湧いてくる。
街すずめ 氷の上を こわごわと
素庵