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素庵日記  作者: 春野一人
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1月4日(水) 晴 あたたか

 素庵の会社は、暦通りの休日である。怠け者の素庵の事であるから、休日の多さに惹かれて今の会社に入ったのである。したがって、給料は安いが休みは多い。年末二十九日から今日まで七日間休みであったが、さすがに明日と明後日は仕事がある。しかし七日、八日、九日はまた休日であり、素庵ひそかに喜んでいるところである。

 毎年、お正月は関東周辺へ家族で安めの一泊旅行が習いであるが、三十代の長男が目下、会社をやめ、求職中なので、なにかと出費がかさむので今年は旅行は取りやめて、出かけるにしても、日帰りで済ませている。この長男、暮れに四日間、寒風吹き込むフォークリフト教習所で免許を取得し(費用5万円!)、明日五日よりハローワークで就職活動を開始する。


 さて、今日は年末からの二つの願いであった、映画「源氏物語」を見る事と、自作「太安万侶」の為の調査として、鎌倉プリンスホテルを訪ねる事の後者の方を実行した。素庵、自作「鎌倉幕府第三代将軍源実朝」創作の時、随分鎌倉を調べて歩いたが・・・たとえば、実朝が時鳥ほととぎすの鳴き声を聞くために早朝遊んだ、かっては二階建てのお堂も含めて全長230メートルの伽藍が建っていた事で二階堂と呼ばれた永福寺ようふくじの広い跡地とか、いろいろ、調査して、鎌倉については一般の観光客よりは鎌倉に詳しいと思うが、鎌倉屈指のホテル「鎌倉プリンスホテル」はまだ見聞がなかったのである。


 「太安万侶」の主人公、田沼龍は若干金欠病ながらいやしくも、ちょっとは知られた詩人であり、稲村ヶ崎の山の上に自宅を構える人であるから、愛するレストランというものがあるはずである。その場所が七里ヶ浜の「鎌倉プリンスホテル」内のフランス料理のレストラン「ル・トリアノン」である。そのほかに、軽食的な「ラウンジ・あじさい」と敷地内、別棟で洋上に浮かぶ江の島が見える和食と鉄板焼きの「御曹司きよやす邸」があるが、センスにうるさい田沼には青い海が広々と広がる「ル・トリアノン」がふさわしいと素庵は思った。

 素庵とその悪妻は、4千円のランチを食べた。オードブル四種とサラダと十種ほどのスイーツはヴァイキングになっており、スープと魚か肉のメイン料理にホテル自家製のパン食べ放題か、ライスを選ぶようになっている。そして珈琲か紅茶がつく。素庵が広々としたレストラン内から光る青い海を眺めながらビール・ワインで至福の時を持ったことはもちろんの事であった!  ※ル・トリアノンはフランス・ベルサイユ宮殿の庭園にある、離宮。第一次世界大戦の敗戦国ハンガリーと連合国が講和条約を結んだ事で有名。現在はフランス国の迎賓館となっている。

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