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素庵日記  作者: 春野一人
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12月29日 (木) 晴、やや寒

 昨日は、山の神の父の墓参りに行った。義父の墓は、システム化された、マンション墓である。普段は収納庫に遺骨が納まっているが、専用カードまたは自宅の電話番号の入力で、ベルトコンベアーに乗って、遺骨はしずしずと祭壇にやって来る。この権利の取得には80万円と年に一万円の維持費が必要である。当今、墓石の墓を手に入れるためには300万円もかかる事に比べれば、格安ではある。それが横浜、白楽にある。JR東神奈川駅を降りて、駅前の大型スーパー・イオンで仏花を買った。大道りを西に歩いて六角橋の商店街を右に折れて行くとやがて、仏寺の営むそれがある。(NHKラジオの朝の番組で和辻哲郎《哲学者・文明評論家》の「古寺巡礼」の朗読を先日聴いたのだが。なんだかその口調に似てしまった)

 東横線白楽駅で降りれば、お寺まですぐなのであるが、健康のため、あえて東神奈川駅から30分ほど歩くコースをとる。・・・午後家に戻り、要介護3、認知病、90才のわが母を訪問する。去年の正月は、母は我が家にいて、なにかと山の神の神経をいらだたせていたが、インフル性肺炎で死線を彷徨った後、病院からリハビリ施設に入ることができたおかげで、我が家に静寂が戻った。これが、一昔前であるなら、介護保険を利用することも出来ず、相変わらず、わが夫婦は苦節を重ねているであろうから、まことに感謝すべきであろうと思う。


 しかし、それの代わりと言ってはなんだが、アパートを借りていたバツイチの長男が我が家に戻ってきた。サービス業に従来、従事していたが、それをやめた。年末に4日間、5万円の費用でフォークリフトの教習所に通い、免許を取った。来年には、ハローワークに通い、仕事を探すという。


 その後、施設のそばの、大型スーパーで、夕食のためのすき焼きの材を求めた。


 今日は朝三時に目覚め、七時まで「太安万侶」を書いた。日本書紀私記(宮中における日本書紀講読会を記録したものである)に現れる、太安麻呂の残像を掘り下げた。朝食は素庵が、ホットケーキを焼いた。ハムとブルベリージャムを添える。それにコーヒーと紅茶である。

 それから、年末の掃除にとりかかる。エアコンのフィルターを外し、バスルームで洗う。たった一枚しかない障子の張り替えの為に、残った御飯を鍋でのりにする。財布、バッグのなかを乱雑にしている、領収書やサービス券や新聞の切り抜き捨てる。

 昼近くまで、そうしていたが、やがてそれに疲れて、歩いて30分ほどの川崎大師まで健康をかねてお札を納めに行く。成田山で買った達磨・社寺のお札を持って行く。戻り道、懇意な中華そば屋「テンホウ」で、昔ながらのチャーメンに冷酒を食する。(美味!)夜はカレーライスにサラミ、カマンベールチーズ、クラッカー、鶏手羽からあげである。テレビ「和風総本家」、お正月のしきたりを特集している。


 アマゾンに注文してあった、「質量はどのように生まれるのか」(講談社、ブルーバックス)が届く。重力の元である、ヒッグス粒子の謎に迫っている本のようである。素庵、このような「宇宙の謎」にせまる本が好きである。お正月の閑をあたためるには最適な本で、楽しみとしている。

 





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