12月18日(月) 晴なれど寒い
「太安万侶 古事記を書いた人」の古事記と書記、両書の神生みとイザナギ、イザナミによる国生みを検証し終わった。これによって、古事記と日本書紀の成立年代に相当の差があることが、証明できたと思う。
これによれば、太安万侶の古事記における序文の年紀が嘘であると言うことになってしまう。太安万侶本人がこの序を書いたのであるならば、そのような誤記はあり得ない。この序が他の者による創作文である可能性が高い。日本書紀以上に精緻な本文にくらべ、年号すら怪しい序文は、どうも一体のものとは考えずらい。古くからあった史書に、後年、序が書き加えられた可能性がある。日本書紀は成立してから、宮廷でしばしば、書記成立に関わった博士によって内容についての解説会が開かれた。その第1回目の解説者は太安万侶であったという伝聞が存在する。また書記編纂に関わったという伝聞がある。これらの伝聞ははいずれも、日本書紀の解説会の内容を記録した「日本書紀私記」が出所である。以前、図書館から「日本書紀私記」を借りたが、解説なしの、オール漢字の原文であったから、言うまでもなく浅学非才の素庵の理解できるものではなかった。それで、その後何か良い本がないかと捜していたのだが、吉川弘文館から、「日本書紀私記」の解題も含まれている本が出ていることが判明した。「国史大系書目解題下巻」である。古書ですら一万円という高価な本である。あいも変わらず年中貧乏な素庵であるから購入出来る品物ではない。(笑)このようなとき図書館は大変貴重である、ネットでしらべると市の図書館に、この本はあるようだ。ただし、館外持ち出し不可となっているのは残念!(一万円で売れるものな!)何日かは図書舘に通わねばならなくなった。したがって、この小説の先は、少しのあいだ、まだ始まらないのである。ちょうど今日は図書館休館日(月一度なのに、大当たり!)、明日は炉端焼きで忘年会というありさまで、しばらく、愛読者にお待たせとなるので、素庵、春野君を叱っておきます。(笑)
さて、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人事件」「黒猫」「ウィリアム・ウィルソン」「アッシャー家の崩壊」「赤死病の仮面」を含む岩波少年文庫短編集をやっと読み終わった。ポーは世界に先駆けて、恐怖小説と推理小説を書いた人であるという。今から思えば、いずれもシンプルな話であるが、恐怖小説とミステリー小説の原型を知るためには必読の小説であると思った。「ウィリアム・ウィルソン」は人間の持つ二重人格性を描いて、オスカー・ワイルドの「ドリアングレイの肖像」スティーブンソンの「ジキル博士とハイド氏」が創作される原因となったという。恐怖小説の「黒猫」「赤死病の仮面」からはあSFの吟遊詩人と言われるレイ・ブラッドベリが生まれる事とはなった。(素庵が好きな作家である)世界に先駆けた推理小説「モルグ街の殺人事件」からはコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズやモーリス・ルブランの「怪盗ルパン」が生まれたという。ポーは詩人でもある。
今日(日記を書いている19日)北朝鮮の金正日が亡くなったことをNHKラジオで知った。世界はめまぐるしく変わるのである。韓国と日本と米国は、ちょっとした臨戦態勢に入っているようである。さて、どのようなことになるのであろうか。