12月13日(火) 雨のち曇り
鞍馬天狗の作者として知られる「大佛次郎」は、猛烈な読書家であった。鎌倉の女学校の教師をしていたときも嘱託として外務省に勤めていたときも(氏はフランス語が堪能だったからである)給料を上回るお金を、本の購入にあてて、本屋の丸善に多くの借金を作っていた。あまりに丸善に借金があるので、他の本屋から本を買ったら丸善から、「あなたの才覚を見て、丸善はあなたに売っているのです。借金を気にしないでください」と言われたという。外務省に勤めながら小説とフランス文学の翻訳・翻案を始めていたが、それだけでは間に合わず売れ筋の「髷物」(時代小説)を書くようになった。その第一作が大正時代、巻頭大震災後の娯楽雑誌「ポケット」に載せた「隼の源次」だと言う。
素庵が、今日「大佛次郎氏」の事を書こうと思ったのは、ほんの気まぐれに過ぎないのだが、調べてみたら、素庵が今読んでいるエドガー・アラン・ポーの名作「ウイリアム・ウイルソン」が、「隼の源次」の原作」であるというから、その偶然にびっくりである。
作家修業中の素庵、この辺で、ミステリーもしっかり押さえておきたいと、コナンドイル「まだらの紐」などのシャーロックホームズ短編集。ポー「黒猫」「モルグ街の殺人事件」「アッシャー家の崩壊」「ウイリアム・ウィルソン」などの入っている短編集を読んでいるところなのである。
ここは、さっそく「隼の源次」を手に入れて読もうと思った。この際だから「鞍馬天狗」シリーズの第一作「鬼面の老女」(すでに持っている)も読んでしまおう。大佛次郎は「鞍馬天狗」を、この一作限りとするつもりであったのはシャーロックホームズシリーズが余り好きでないコナンドイルと良く似ていて面白い。
大佛次郎は、司馬遼太郎の先駆と言うような人で、司馬遼太郎も本の人であって、氏が小説を書き始めると、神田古本屋の関連の資料が値上がりするという伝説があったが、大佛次郎にもそのような伝説があったという。 良きかな本の虫!である。夕食「エリンギ、シメジと牛肉の炒めもの・餃子・もやし味噌汁・御飯・ビール一缶(350ml)」 「隼の源次」図書舘にあるかPCでこれから検索しようと思う。
老いらくの恋に似たるか本狂い 素庵