11月14日(月) 曇り
ついに、「ベッド・デティクティブ小説」をネットに載せ始めた。本当はもう少し時間が欲しいのだが、何とかなるかと見切り発車である。
昨日は、「ちい散歩・北千住」編をたどって歩いた。水戸街道は言わずと知れた国道6号であるが、ここらあたりでは、旧道が残っていて、沿道には古い風情のある人家が残されている。横山家住宅・名倉医院は見応えのある建築物である。荒川に近い場所に美味しい「かどやの槍かけ団子」があり(1本90円・あんこ・醤油タレの2種類)・「ちい散歩」にはないが、ケーキのアウトレットで評判のみせもある。上野の方からおよそ5キロ隅田川の千住大橋を渡ったところは、かの松尾芭蕉が、奥の細道を行くに際して門人・知人と別れた有名な場所である。ちょっと「奥の細道」の千住の部分を書き移してみよう。
二月二十七日夜明け方の空はおぼろに霞み、有明の月はもう光があわくなっており、富士の峰が遠く幽かにうかがえる。上野・谷中の方を見ると木々の梢が茂っている。あの花の名所を再び見れるようになるのは、いつのことになるであろうかと心細い気持がする。親しい人々は宵のうちから集まって、一緒に舟に乗って隅田川を航行し見送ってくれる。千住というところで舟からあがると、これから三千里もの道のりをがあるかと胸がいっぱいになるのだった。この世は幻のようにはかないものであるから、未練はないさと思っていたが、いざ別れとなるとさすがに涙が溢れてくる。
行く春や鳥鳴き 魚の目に泪
これを、この旅で読む第一句とした。見送りの人々が別れを惜しんでついて来るので、なかなか足が進まない。ようやく別れて、しばらく来て振り返ると、みんな道中に立ち並んでいる。私の後ろ姿が見える間は見送ってくれるつもりなのであろう。
誠に心にせまるシーンではなかろうか。