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素庵日記  作者: 春野一人
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11月7日(月) 晴のち夜半、雨

 ベッド・ディテクティブ、ミステリー小説の元祖「時の娘」読み終わる。この小説で考証の対象にされているリチャード三世は、シェイクスピアによって「リチャード三世の悲劇」として1591年初演されている。そこで描かれているリチャード三世は残酷で、権勢欲にくられた、背中の曲がった奇怪な人物である。欧米人には、あらかじめリチャード三世には、このようなイメージがある。忠臣蔵はかの大佛次郎(素庵の尊敬する人である・猛烈な歴史書の読書家であることは、司馬遼太郎の先駆をなし、幕末の歴史、フランス史に詳しく《これはフランス語原書読み》、歴史への知識は膨大なものであった。丸善書店への借金を支払うために、しかたなく鞍馬天狗を書いたので、氏の本領は歴史家であった!)の、綿密な考証によって成立した原作をもとに、1964年NHK大河ドラマ「忠臣蔵」が放映されて以来、今にいたるまで、あの手この手で作り替えられてきた人気作品だが、ここの登場する悪役、吉良上野介きらこうずけが、実はとても良い人で、濡れ衣で殺されたといったら、日本人は誰でも「ええ?」と言うに違いない。この小説では、リチャード三世に対する伝統的イメージが崩されていくわけで、欧米人には、格別面白い作品ではなかろうか。このような作品がありながらリチャード三世は、いまだ重要な演目であるようだから、歴史通念には根強いものがある。

 江戸川乱歩は、「時の娘」について、探偵小説評論家アンソニー・バウチャーが1952年度の最優秀作としているのに同感している。高木彬光は、これに刺激を得て「成吉思汗の秘密」を書いたわけだが、この作品は、正に傑作!ベッド・ディテクティブという小説形式が、いかに歴史文学に適しているかを示したといえよう。これは発見した素庵は、宝の山を掘り当てたような気持がするのである。この方式によれば紫式部も藤原氏も何でも書けそうである。

 高木彬光作「邪馬台国の秘密」「古代天皇の秘密」アマゾンより届く。ともに送料込み251円。ともにベッド・ディテクティブである。「古代天皇の秘密」は、春野君が舌なめずりしている。なにせ「カルカヤの歌」の筆者だからである。春野一人はもちろん素庵のペンネームである。

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