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素庵日記  作者: 春野一人
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息子二人一茶的相続争いを避けるため、やったこと

あんまりこんな話はしたくない。けれど荷風氏のあけすけな日記に習ってこれも書く。

 会社を休んで信金さんに行った。長男と、その彼女が結婚する。新居を借りるならば、建て売り中古を買おうというので住宅ローンを借りるのである。彼女は20年来、某アパレルに務めて一応、男子並みの収入があり、息子はトラックドライバーである。息子はバツイチで、別れた妻のもとに三人の子供がいる。別れて十五年、月々ワンルーム並みの養育費を、滞りなく支払っている。

 したがって、相続の事などを考えて、彼女名義で買おうという事になったが、大手銀行の融資枠は二千万円で、目的の建て売りを買うには、六百万足りない。

 それではと言うので、私が長らくつきあいのある信金さんに相談したら、息子、私の保証の上、めでたく融資OKということになった。今日は、融資、最終書類の作成なのだ。

 素庵には二人の息子がいる。次男家族は素庵と同居して家賃無料である。なのに長男は、自費で家賃を払ってアパート住まいで、養育費というおもりを付けた飛行船である。しかもおまけに物欲に弱いので、いつもピーピーしている。

 素庵の収入は国民年金と嘱託の軽バン運転給料とささやかなアパートの家賃とキンドルの涙金である。だからさみだれを集めて早しやっと川みたいな収入になっている。けれど素庵も浮かれトンボで、毎週の映画、外食とたまの旅行に出費は多い。

 しかし、素庵、あと30年もすれば「100才作家の健康日記」でベストセラーを狙えるお年である。そろそろ、相続の事を考えねばならない、たばこは吸わず、薬の必要もなく、お酒少々で健康であるが、さすがにいつコロリと行っても不思議ではない。

 二人の息子に財産を平等に分ける算段をしなければ、一茶の家の兄弟相続争いが必ずおこる。それでは素庵、心安らかに死ぬことが出来ない。

 それで思いついたのが、長男のローンの補助である。彼女+長男+素庵の月々の支払いがあれば、この生前贈与はつつがなしということになる。

 素庵と恐妻、長男と彼女手続き終えて、信金近くの中華店のランチで飲んだ生ビールの美味いこと!


 ピケティさん我が家の富はこのぐらい  素庵

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