事故
僕は、泣きながらジムニーのハンドルを握っていた。涙を手で擦りながら。親父に言い返す言葉が見つからず悔しくて悔しくて…。
とりあえず、大鹿市へと、ジムニーを走らせた。家から約150km位の距離がある。
「二度と家に帰るものか」
と、ジムニーの車内で1人絶叫していた。
国道を北へ北へと大鹿市方向へジムニーを走らせていた。2時間位経ったのだろうか。
涙を拭きながら、
「お腹空いたなあ、何処かラーメン屋ないかな」
と、僕はさがしていた。ラーメン屋らしき看板がでそこに寄って見ることにした。駐車場にジムニーを停めてドアを閉めた。店名は、イケメンブシ。
僕は、店内に入り食券機で味噌ラーメンとモヤシのトッピングを買い、すこしガタイの良い男の店員に食券を渡した。カウンター席の奥の端に座った。お客は僕だけだった。
ラーメンも食べ終わり、店を出た。そして、ジムニーに乗って、北へ北へと向かった。
暫く国道を走っているとトンネルが出て来た。
「結構長そうなトンネルだな、中が薄暗いし…」
僕は、ジムニーのヘッドライトを点けた。
トンネルに入ったら、助手席に置いておいたスマホがブーンブーンブーンブーンと鳴りだした。
「たぶん親父からだな」
と、スマホを取ろうとした瞬間の事だった。僕が運転するジムニーが対向車線にはみ出して対向してきたX-90という超レアな車と正面衝突を避けたが、トンネルの側壁にぶつかり横転してしまった。
僕の目の前は真っ暗になって、意識を失った。