始まりがなければ終わりはない
目が覚めた。
「ここはどこ?」
周りを見渡しても何もない。
すべてが暗闇に覆われている。
「何も感じない、吐きそう」
自分の体を見渡しても何もない。
何もないがゆえに、何も感じないはずなのに吐き気がするのは不思議なものだ。
「大地の鼓動よ、眠れる命よ、
根を張り、芽吹き、天へと伸びゆけ。
緑の息吹をこの地に広げ、
生命の輪を再び繋げよ。
汝、自然の力よ、ここに蘇れ」
なぜこのフレーズがコトバとして吐き出されたのか分からない。
ただこのカラダが本能が覚えていた。
詠唱が終わると目の前には広大な平原と様々な草や花
木々が生い茂っていた。
「あとはカラダを手に入れるだけね」
自分の体をイメージする
1秒経過
2秒経過
3秒経過
4秒経過
「駄目ね、カラダがツクレナイ」
「無の虚空よ、形なき力よ、
我が意思に応え、ここに形を与えよ。
肉を織りなし、血を流し、骨を鋳造せよ。
魂の器よ、我が姿に具現せよ。
今、この瞬間に新たなる我が体を生み出せ!」
命の鼓動を感じる
五感が悲鳴をあげていることが分かる
「やった!成功したわ!」
自分自身のカラダを見つめる
身長は160㎝くらいで、皮膚の色は白っぽい
カラダの構造から女性であることが分かる。
「この世界のルールが分かった気がする」
「貴方がイメージできたものがこの世界に反映されるのね」
足元にいつから存在しているのかわからない白いキューブを拾う
「いつまでも監視されているのも嫌ね」
「闇よ、霧よ、
全ての光を飲み込み、
真実を覆い隠せ。
我が意に従い、視界を断て。
見えざる者と成れ、迷いの中に沈め」
「またね」