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旅の妄想

 旅も順調に進み、一か月が過ぎようとしていた。

 当然寄り道ばかりしていたので、目的地である半獣の住む町まで到着していない。

 村長からもらった地図を広げて、現在地を確認する。後5日ほどか。

 しかし、これからは食料確保にかかる時間と労力はあまり心配ない。十分に備蓄があるのだ。

 考えなければならないのは、村に着いてからカー子とピー子をどうするかだ。

 町の外に罠を作りこれまで通り働いてもらうか。またはこれまでの貢献に鑑み開放してやるか、はたまたお肉にして骨までしゃぶるか。

 第2案と第3案はいつでもできるから第1案が可能かどうかを現地に到着してから考えよう。

 さて、半獣の村はどんな所なのだろう。また俺はどんな修行?労働?をさせられるのだろう。

 村長にもっと詳しく聞いとくべきだった。

 そうあの時は、可愛い女の子と知り合いになることがすぐに現実になると思えてきて、その上、人間の言葉も話せるようになり、それは人間の可愛い女の子とも知り合いになれることだろう。俺は種族を超えた愛を育むことができる

 欲望が妄想を呼び。妄想が欲望を肥大化させていった。

 だから何も聞かずに今ここにいるわけだな。

 ま、しかたない。悩んでも考えても答えは得られない。

 それに俺はたいしたことはできないし、見たまんまだから先方もあまり期待はしないだろう。

どこから見ても貧弱なゴブリン。 ・・・これはいいことなのかな?これはあまり良い事ではないのでは?

 可愛い女の子に好かれるには、このままではいけないのでは?

 女の子に好かれるためには、貧弱は良くない?これは沢山食えば何とかなる? 

 次に頭が良くならないといけない。馬鹿でも賢そうな雰囲気は必要だ。実際賢くても馬鹿のように見えたらだめだろう。

 頭のいいのと悪いのとでは、どこで女の子は見分けているのだろうか。

 俺は頭の悪い奴の見分けはできる。見たら解る。何となく解る。こいつはダメな奴だと。多分女の子もそんな感じで識別しているはず。そうやって(ふるい)にかけている。俺は他人からどの様に見えているのだろう。

 たしか村長が俺の事「あまり頭は良い方には見えない。」と言っていた。俺の見た目はダメな奴という事になる。

 俺のどこがバカに見えるのか・・・・どうにもならねえ。

 「(たで)食う虫も好き好き」と言う言葉がある。今はこの言葉に(すが)ろう。

 一人でいると詰まらないことをうじうじと考えてしまう。俺の悪い癖だ。

 残り数日の旅、もっと楽しい事を考えよう。

 そう俺のサクセスストーリーを考えよう。

 たぶん俺の今から行く町は、狸を含め犬、猫等の半獣ばかりが住んでいる所だろう。慢性的に労働力が不足していると聞いている。ならばちょっとした経済圏を形成することができる規模があると思う。生産が追いつかないほど消費が大きいのだろう。もしくは正反対の限界村?

 また猫の手ならずゴブリンの手でも欲している。それはゴブリンが普通に生活できる環境であるという事。人間がいてもゴブリンを殺さない程度には共存しているはず。他の種族や文化を受け入れられる社会は発展する。

 しかし、価値観の相違や既得権の問題により、治安が悪化するのは困る。

 経済の発展条件の一つは治安の維持である。こんなことは13才のゴブリンでも解ることである。でも何故その町は、ここまでごちゃ混ぜで、治安が維持できているのだろう。もしかしてその町は今すごい勢いで発展しているのかましれない。

 ま、俺としては何でもいいけど。

 そんなこんなで俺はゴブリンでありながら、何でもいいから特殊な能力に目覚め、何でもいいから何かしら活躍し、尊敬を集め、超飛び切り可愛い女の子と巡り合い毎日イチャイチャしながら暮らすのでした。めでたし。めでたし。

 色々と思考を廻らした結果がこれである。まったく具体性のないストーリーである。ただ願望だけがあるだけ。行き当たりばったり。貧弱な想像力と純粋な欲望では自分のサクセスストーリーも貧弱で簡単である。

 でも、これはこれで元気が出てきた。町まであと少し頑張って歩こう。

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