女の子の内緒話
ウズカを出たところで、カナコはミサコに小声で言い寄る。
「ミサコ、どうゆうつもり。ミサコはリン太のこと好きじゃないよね」
「私、好きになったかも」
「リン太は極悪非道で男は殺せ、女は犯せのゴブリンだよ。臭くて、汚くて、貧乏でいつも腹ペコ、ミサコすぐに妊娠させられちゃうよ」
「一般的なゴブリンはそうだけど、リン太は違うと思う。それにリン太は魔法を使えるのよ、カナコだってリン太のこと好きだって言ってたじゃない」
「それはそうだけど、ミサコの兄さん許してくれないと思うよ」
「ぐっ、そうだった兄貴がいた。公然と付き合うのは今は無理かも」
ミサコの兄タマ蔵は極度のシスコンだ。まあまあルックスもいいし、仕事もできる男だ。しかし、妹ミサコのことになると面倒くさい野郎である。自分で妹に聞けばいい事も私からあれやこれや聞いた挙句、周りの者にクレームを付けたり嫌がらせをしたりする。
「今は友達の関係でいようよ」
「分かった、そうする。それでハム太さんはどうするの?かなりカナコのこと好きそうだけど」
「うん。面倒くさい状況にならないうちに瞬殺しておく」
「さすがカナコ容赦なしだね。・・・まさかとは思うけど、カナコはリン太こと狙っていないよね」
「今はないよ」
「それは将来的に有ると言うことだね。カナコには兄をあげるから、それでお願いできないかな」
「私に厄介払いをさせようとしているね」
「やっぱり、無理だね」
ミサコが言っていたハム太、まさかとは思ったが本当に告白してきた。今日初めて会ったのに。でもこれ幸いとして予定通り瞬殺しておいた。少し可哀そうに思ったけれど意外と立ち直りの早いのを見て瞬殺しておいて良かった。ゾンビの様に生き返ってきそうだからまだ殺し足りないのかもしれない。念入りに断るにはどうすればいいのかしら。でも今はどうでもいいか。それよりも
「ミサコ、もしリン太から告白されたらどうするの?」
「保留する」
「生殺しか。あんたも結構酷くない?でも今はそれが最善かも」
「私もそう思う」
将来有望なリン太はミサコに首ったけだし、ハム太は不誠実の手本、タマ蔵はシスコン、オークたちはガキだし、私の恋愛環境は良くない。どこかにいい男落ちていないかな。リン太にお兄さんいないか聞いてみようかな。