表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/44

8:悪口大会の昼休みはお断りです。

「マリアーネル様、お昼ご一緒にいかがですか?」


 呼ばれてそちらを向けば4人の令嬢が並んで私を見ていた。圧が強いわね…。

 私は案外一人ではなかったらしい。あまりこの人達のことを覚えていないけど。そういえば前世の記憶を思い出したのはいいけれど、ルカの記憶がない。記憶の混濁なのだろうか。…生まれ変わりでもなく転生で人の身体乗っ取ったとかそういうこと?だとしたら嫌なんだけど…。どうか一時的でありますように。


「マリアーネル様?」

「え?あ、ええ。いいわ、行きましょう」


 それにしてはお嬢様言葉ってのが板についてるんだよなあ。考え事をしながらも令嬢達と共に食堂へ向かう。


「マリアーネル様、どちらへ?食堂はこちらですよ?」


 どうやら通り過ぎたらしい。だってこの子達私の後ろを歩くんだもの!道なんて知らないわよ!前歩けばいいじゃない、前!まあ身分的に難しいんだろうけど。リアラや周りの反応からしてそこそこには良いとこ出のお嬢さんらしいし。


 食堂内に入ると既に人が増え始めたところなのか賑わっていた。そんな中少し手前側の席にリアラを見つける。私が手を上げて声を掛けようとしたその時、一緒にいた令嬢がリアラに先に声をかけた。


「あら、芋虫さんじゃない。こんなところでどうしたの?」

「あ…」


 令嬢に声をかけられたリアラは怯えたように震えていた。

 どうしたのもなにも食堂なんだからお昼を食べてるに決まってるでしょ。ていうか芋虫って何。失礼すぎない?この子。


「芋虫だから葉っぱしか食べれないのよね。可哀想に」

「蝶じゃなくて蛾にしかなれない芋虫さんは空気が悪くなるから早く出て行ってくれないかしら」

「そうそう。いっそ学園から出て行っても構わないけど」


 そう言って笑い出す4人。呆れた…。幼稚園児でももっとマシな悪口があると思うけど。リアラは言い返すのかと思えば何も言い返しもしない。4人だけではなく周りでもくすくすとリアラを笑う声がする。


「この食堂は随分小蝿が飛んでいるのね。人様の食事に集って醜くて敵わないわ。五月蝿いのはその髪型だけで充分なのだけれど」

「な…」

「マリアーネル様!?」

「悪いけど私小蝿と戯れる趣味はないの。教室に戻らせていただくわ」


 それだけ言って踵を返す。

 なんなのあれ。教室でも食堂でもリアラを目の敵みたいにしちゃってみっともない。

 そもそも無駄に縦ロールやらリボンばかりつけてたりゴテゴテした髪型したあんた達よりリアラのピンク色に近い赤い髪の方がずっと綺麗だと思う。て、論点はそこじゃない。

 はー。お昼食べ損なったよー!!!お腹空いてるのにいいい!どうしよう。こういうとこって購買とかないの?あるわけないか…。や、意外にあるんじゃない?ノートとかそういうの売ってたりしそうだし。


「マリアーネル様!」


 後ろから大きな声で呼び止められて振り返ると走ってきたのか息を切らしたリアラがいた。

5/20修正

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ