3:私、婚約者がいるんですってよ!
それにしても、随分な美少女に転生したもんだ。いや、転生なのかもわからないけど。入れ替わりとかだったらどうしよう。あんなジャージ女なんてきっと嫌だと思う。
これで碧眼だったら完璧なのにな、なんて金髪碧眼に憧れていた私は思う。まあ胸はあんまりないようだけど。
18歳とか、その辺?うーん。でもカーリカが24歳でしょ?まさかこの顔で10歳とかある?ないよね。え、それだけはやめてよ?無理無理無理無理。
「ねえカーリカ」
「はい、お嬢様」
「私って老けて見える?」
「はい?」
何歳?なんて聞くに聞けない私は遠回しに年齢を探ろうとした。
「何を言ってるんです、立派な淑女に見えますよ」
淑女…。え?てことは実は私こう見えて20歳とかだったりする?成人してるってこと?嘘!!
「ああ、そういえば旦那様が成人を記念してパーティーをなさると張り切っていましたよ」
あ…やっぱり成人ってことは20なんだ。この顔で…。へー。そう考えたら少し童顔かな。カーリカと同じぐらい?姉妹に見えるんじゃない?髪色さえなければだけど。って待って。パーティー?え?それって俗に言う社交界なんたらーていうやつ?嘘でしょ?私踊れる自信ないんだけど???
「その、パーティーって、いつなの?」
「それはまだ未定のようですよ。でも正式な婚約発表も兼ねているそうなので近いうちかと」
「婚約!!!!?」
「…お嬢様、声が大きいです」
こほん、と軽く咳払いをしながらカーリカに嗜められて「ごめんなさい」、と謝る。
「その話本当なの?その、私に婚約者がいるって」
「お嬢様は聞いてなかったんですか?」
「ええ初耳…ん?聞いてなかった?」
「はい。先日のお食事の際に旦那様が婚約が決まったことをお嬢様にお伝えしていましたよ。お食事に夢中で聞いていなかったんですね」
微笑ましそうに笑われたけどそもそもそれは私だけど私じゃないから!知るわけないでしょ?って言いたいけど言えないのがなんとも歯痒い…。
「ん゛ん゛。で、そのお相手ってどなたなの?」
「本当に聞いていなかったんですね」
「いいから早く教えて!」
現代日本人は短気なのよ!や、嘘。これは私だからだけど。
「お相手はアドルネア公爵家のご長男、ハイネ・アドルネア様です」
だれぇぇぇ〜………。またしても知らない名前に少しでもヒントを求めていた私は内心で崩れ落ちた。しかも公爵って。貴族社会の何たるかに絶対厳しいじゃない…。そんな礼儀作法なんて今の私にはないのよぉ!
「でもよかったですね。歳上の方ではなくて」
「そうなの?はい…じゃなくて、アドルネア?様ってお幾つなの?」
「お嬢様と同じ15歳だそうですよ」
「そう、15歳…」
15!?
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