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episode 11

     Side:九



 俺達は恵那を探し、これ以上あいつの手を汚させない為に、ある計画を立てた。


「大五郎。恵那の前に狼神様が現れれば、それはお前だとあいつは思うよな?」


「ああ。あの格好でお前を襲わせたのもあいつの計画だからな。あと大五郎じゃねぇけどな」


「つまり、恵那と大五郎が二人でいるところに狼神様が現れたら、恵那は驚くだろうな」


「そうだな。間違いなく誰なんだってなるだろうな。大五郎も誰なんだろうな!」


「気にするな。大五郎は湊だ」


「ってか、兵衛。お前、俺の名前分かってんじゃん」


「俺のこと誰だと思ってるんだ? いくつもの事件を解決した名探偵九様だぞ」


「はいはい。ここちゃんは名探偵ってより『迷探偵』でしょ。おふざけ多めなんだから」


 真剣な場面に水を差す二人を前に、俺はこのあとのプランについて話し始めた。


「まず、みなと……大五郎には恵那と会ってもらう。場所はそうだな、あの社にしよう。とにかくこれ以上、恵那に罪を犯させないように説得してくれ。あとは…………」


 俺は一人、狼神様の社へ向かい、美波にはある場所へ向かってもらった。そして……。


 大五郎には恵那を連れて社へ来てもらうように伝え解散した。



     Side:湊



 兵衛に言われた通り、オレは恵那に会うため、社で待ち合わせた。


「……恵那」


「あっ、湊。美波達に見つかってないでしょうねぇ」 


「あ、あぁ。もちろん」


 いつも通り、平静を装い、会話を続ける。


「なぁ恵那。その……そろそろいいんじゃないか? ほら、あいつも怪我したし、お前も満足したろ?」


「湊、弱気になってるの? 私が、どれだけ惨めな思いしたのか理解くれてると思ってたのに。ちっともわかってくれてないじゃない!」


 言葉にこもった力は、覚悟を感じさせた。


「あいつら、恵那に会いにわざわざここまできてくれたんだぞ。それに、そんなに悪い奴らじゃなさそうじゃん。もう、やめておけよ後悔する前に」


「……後悔? そんなものするくらいなら、この計画を実行してると思う?」


 恵那はオレの髪を掴み、激しく押し飛ばした。


「痛っ……。じゃあ何でそんな……哀しそうな眼するんだよ」


「してない!後悔なんてしてないもの!」


「…………」


「湊こそ、後悔してるんじゃないの? 私に付き合ったこと」


「後悔っていうより、あいつらとほんの少しだけど接して分かった事があるんだよ。だから、これ以上何か危害を加えるような事はしたくないと思ってる。そして恵那にも後悔をして欲しくないと思ってる」


 恵那は歩み寄り、手を差し伸べると、にこっと微笑んだ。


「そうね。後悔しないように……邪魔な奴はやっぱり消しちゃおう」



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