第77話 自宅でも、心休まらないなんて!(涙)
「リフティン、急にごめんなさい」
なんとか急ぎの知らせを走らせるまでしかフォローができなかった。
それでも玄関のドアを開けたら、伯爵家の子息がおりました、というドッキリを避けられただけましだと思って欲しい。私、精一杯頑張ったよ。
リフティンもそれがわかっているのか、血の気の失せた顔に何とか笑みを浮かべて、頷いてくれた。
その伯爵家のご子息シュタイニーはグレームズ邸に到着した途端、先に到着していたマホニー商会の使用人に、あれよあれよとあっという間に連れ去られた。
シュタイニー様、それは部員の誰しも一回は乗り越えなければならない試練だから。
検討を祈る。
サーラは馬車を下りた途端、シュタイニーとは別の客室にて、デザイナーと奉納舞の衣装のデザインを詰める為、籠ってしまった。
怒涛のような展開である。
ぽつりと玄関ホールに残されたのは、クローディアとカレンだ。
「カレン様、今のうちに中庭で、お茶でもいかがですか?」
サーラが出てくれば、またも竜巻に巻き込まれる。
その前にまずはほっと息をつきたい。
「ああ、そうしよう」
カレンも同じ気持ちなのか、力強く頷いてくれた。
うん。私たちいいコンビになれるよね。
「ふう。今日もこうして振り返ると、色々ございましたわね」
中庭で、お茶を飲みつつ、朝からの出来事をクローディアが振り返る。
昼休みに生徒会長であるユーリ殿下と交渉して、5日後の陽の日に訓練場で奉納舞を舞えることになった事。その際、なぜかまたユーリ殿下がその現場に立ち会う事になった事などなど。
確認するがごとく口に出して今日の出来事を話すのは、もちろん、ララへの報告の為である。
ゾルジは本日、訓練場を確認してもらう為、朝からクローディアのサブバッグで行動を共にしていたので状況は把握している。
<うむ。少し元気がありすぎるが、奉納舞に熱心なのはいい事だ>
ゾルジはサーラの暴走に好意的だ。いつものごとくテーブルで、自分専用の皿からクローディア特製クッキーを食べつつ、うむうむと頷いている。
神への祈りに熱心なのは、やはり嬉しいのだろう。
<クローディアも頑張らねばな>
<そうね~。私も協力からファイトだよ~>
ララもしかりである。
「わかっております。部の為にも精一杯頑張りますわ」
ただ、出来は保証しない。
<どれ、こうして待っているだけはもったいなかろう。カレンのお手本として舞ってみろ。カレンには男性陣と同じ型を舞ってもらうようにするのだろう?>
あ、ゾルジ余計な事を。
「ええと。男性2人が揃ってからでもいいのでは」
それはシュタイニーとエルネストが来てから一緒に済ませようと思っていたのに。
恥は一度で。
<いや、早い方がいいだろう>
「カレン様だって、今日はお忙しかったから、もう少し休みたいですよね?」
私は休みたい。
今日はユーリ殿下との交渉、サーラの暴走とぐったりである。
そう思ってカレンに振ったのに、
「いや、私は問題ない。なんだ? ゾルジ様からクローディアに奉納舞を舞ってみよとの仰せがあったのか? いいな、私も自分のパートを早く知りたい」
と裏切られた。
こうなっては仕方がない。でも実は問題があるんだよ。
「カレン様、実はカレン様が舞うパートなのですが‥‥」
と、クローディアが話し始めた所で、中庭の入り口から、げっそりやつれたシュタイニー様が現れた。
申し訳ございません。コロナワクチン接種の影響で、本日は1話しか更新できませんでした。
明日は、副反応から回復しているのを祈るばかりです。




