第57話 サーラッ!落ち着いて欲しい!!
サーラ、その冷静さを最後までもっていて欲しい。頼む、とクローディアは切に願いながら口を開いた。
「森へ行く前に、1つ意見を言わせてくださいませ。謎の文章の後半の部分にある<荒ぶる場を鎮めよ>いうところなのですが」
そこで一旦言葉をきり、ちらりと横に座るサーラを見る。
それからシュタイニーに視線を戻し、ごくりと唾を飲み込んだ。
頼む冷静に。
「これは他の考えがあるかもしれませんが、奉納舞を舞えば場を清め、鎮められるのではないかと」
言った。言ってしまった。
クローディアはおそるおそるサーラに視線を向ける。
と、
「まあああああああああ!!」
サーラから圧がぶわっとかかった。
「あ、あの、サーラ様? これはあくまで一つの考えです! 正解かはわかりませんから!!」
だから落ち着いて。
「でも、ゾルジ様がそうおっしゃったのでしょう!?」
「そ、そうです」
「ならば、可能性は高いですわ!!」
サーラの目が爛々と輝いている。恐い。
お願いだ。落ち着いてくれ。先程の冷静なサーラに戻ってくれ。
「こうしてはいられませんわ!! 早速帰って3人の衣装誂えなければ!! あ、男子のものも!!」
「待ってくださませ! サーラ様!! まだ決まった訳ではありませんから!!」
そうだよ! みんなの意見を聞いてからでも衣装作りは遅くないよ!
「ならば、3人のこの前つくった衣装を改良しておきますわ!! ええ!! ええ!! いざという時のために!!」
サーラは荷物をささっと片付けて、立ち上がる。
「わたくし! 今日はこれで失礼しますわ! 男子用の衣装の布の選別をしなくてはなりません! ええ、ええ! いざという時の為に!」
そう言うや否や、サーラは部室を出て行ってしまった。
と思ったら、戻って来て、クローディアに命じる。
「クローディア様! ゾルジ様と、今度はどの舞をするのか、協議しておいてくださいませ!! 今回は、時間がありますから、更なるいい舞を舞えるでしょう!! ああ、楽しみ!!」
サーラの中ではもう奉納舞は必須になっているようである。
これはもう一言言っておかねば。わが身に試練が降りかかってしまう。
「あの、サーラ様!」
「では、皆さま! ごきげんよう!!」
サーラはクローディアの呼びかけも聞こえていないようで、風のように去って行ってしまった。
そんな。そんな!
サーラを求める手を上げたまま、クローディアは呆然とする。
「諦めろ。もうああなってはサーラはとめられない」
カレンがぽんとクローディアの肩をたたく。
カレンはクローディアが呆然としている間に、サーラの言動についていけず、ぽかんとしていたシュタイニーに奉納舞とは何かという事や、音楽の怪で舞った奉納舞についてを説明してくれていいた。
それが済んだところで、やっとクローディアは立ち直る。
やっぱり、こうなってしまったか。
奉納舞に積極的なのは嬉しい反面、あの暴走ぶりが怖い。
そしてあっさり森の探索はぶっちされた。
「で、これからどうする?」
カレン、いつも冷静な君がいてくれてとても嬉しい。
あのサーラを見てなおさら思う。
それはさておき、さてどうしようか。
クローディアは少し考えてから口を開いた。
「どうせ森を探索に行くなら、人数が揃っていた方がよろしいと思いますから、準備をして明日森に行きましょう」
その提案にカレンとシュタイニーは頷いてくれた。
シュタイニーは明日もこちらに来てくれるらしい。
ありがたい事である。
帰宅後、ゾルジにもしも、万が一奉納舞が必要になった場合の舞の型の相談した。
結果、稽古をばっちりつけられた。
目から汗が滲んでなんかない。ないよっ!
サーラ、大暴走(笑)




