第39話 再び生徒会室へ。
「はあ。またここに来てしまいましたわ」
週が明けて、月の日。
クローディアは生徒会室の扉を睨みつけながら、ため息をついた。
部の新設許可が下りたら、もう2度とここには来るまいと思っていたのに、なぜに一週間もたたないうちに再びここに来る事になってしまったのか。
わかっています。先読みが甘かった自分のせいにほかならない。身から出た錆でございます。わかっておりますとも。くっ。責任はとりますから。
クローディアはもう一度大きく息をつくと、気を引き締めた。
アポはエルネストを経由してすでにとってある。後は面の皮をできる限り厚くしてここに入ればいい。
「よし!」
クローディアはノックの後に、生徒会室の扉を開けた。
「再び、お時間を頂きまして、恐縮でございます」
「やあ、確か先週、もうできるだけここには来ないという君の言葉を聞いたと思うが、私の聞き違いだったかな?」
わざとらしく、クローディアが言った言葉を復唱して、更に副会長のヴァレンチノにまで、確認するように目を向けるはこの国の第2王子であり、生徒会長のユーリ=カルギニア。
これはもう一枚面の皮を上乗せしないと。
「わたくしの言葉を覚えていてくださり、恐縮です。先週は本気でそう思っておりましたが、ぜひともお願いしたい事が急遽できてしまいまして」
「あれ? それになるべく生徒会に負担をかけませんとの言葉も聞いたような?」
くっ。この王子。いじめっ子か? いじめっ子だな。しかも陰険いじめっ子だ。ちくちくとさしてくるとは性格が悪い。
しかし、ここで怒ってはいけない。
こちらはお願いする立場なんだから(怒)
はい。クローディア、息を整えて、血圧を下げるっと。
最後に左側の書記席に座るエルネストを見て冷静になる。
彼は今生徒会役員としてここにいるので、基本口は挟まない。
けれど、いてくれるだけで、心強い。うん。大丈夫。
「はい。そう申し上げました。その時はほんっとうに、そう思っておりました」
少し俯き、怒りを隠す。いや、神妙な顔をする。
「都合がよすぎるとの叱責覚悟で参りました。お叱り頂いてもかまいません。お話だけでもどうか聞いていただけないでしょうか?」
きけよ! こら! と言いたい気持ちを堪えて、クローディアは頭を下げる。
「これはいじめすぎたか。最初から話をきくつもりだった。でなければ、会う事さえしない。私もそこまで意地は悪くない」
いいえ! 十分悪いですとも! それを追求していたら、話は進まないので、スルースキル発動だ!
「ありがとうございます」
「それで? 今日は何が希望だ」
「実は‥‥」
神事を机上で研究するだけでなく、できれば、奉納舞を文化祭などの公の場でみんなに観てもらい、関心を持ってもらいたい。その為には、奉納舞の練習の場が必要となる。もらった部室ではその練習が難しいので、どこか練習する場をもらえないかと説明した。
発足会の時に、皆に奉納舞を文化祭で披露するのは賛成だが、どこで練習するのかと聞かれ、はっと気づいたのだ。練習場所がない事に。
部室を獲得するのに夢中で、その後の活動場所などすこーんと頭から抜けていた。
部長失格である。その失態を取り返すべく、生徒会に出向いたのある。
ちゃんと責任はとらないとね。
「なるほど」
「毎日は無理でも週に1、2回でもよろしいのです。どこかの空き教室を貸し出してくれませんでしょうか?」
「うむ」
ユーリが机をこつりと指で叩く。
「一つ確認だが、君のやりたい事を考えれば、奉納舞の練習場は初めから必要だったのではないか」
「ぐっ!! はい!」
「ならば、部室を与えたその際に、言ってもらえれば、無駄がなかったと思うが?」
「うっ! その通りでございます! 二度手間になり、申し訳ございませんでした!!」
このおおお! いじめっ子めええ!
そうです。そうでございます! 部の新設が認められて、浮かれまくって、そこまで頭が回らなかったのですう! 悔しいいいい!
じわりと顔が熱くなる。怒りもあるが恥ずかしさもある。
「殿下、そこまでで。話が進みません」
なんと! ヴァレンチノが助け舟を出してくれた。
感謝を込めて見つめたが、返って来たのは、無能が!というような眼差し。
すいません。お手間をかけさせて。
クローディアはしゅんとしぼんだ。
やはり、図々しすぎたか。今は我慢して、もう少し部が安定してから再度頼んだ方がいいのか。そう頭で考えだしたクローディアの耳に、希望の言葉が飛び込んできた。
「第3音楽室だが、問題が解決したと言っても、学校側が使いたがらない。あそこを部で使用しても構わない」
「本当ですか?!」
なんていい人だ! 今の言葉で先程までのネチネチといたぶっていた事はすべて、水に流せます!
「それにダンス部の休みの日にダンスホールも使っても問題ないだろう」
そこまで! そこまで許可してくれるなんて!
生徒会長、いい人すぎる!!
ここまでお読みいただき、ありがとうございますvv




