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G.W.S.-グリムリーパー・ウェポンズ・サービス-  作者: 来賀 玲
作戦記録1番:ようこそ新兵ども!間違ってこんなトコ来たのかい!?
12/26

PHASE 5 :そこは極東『セクター4』






 死神達の活動の場は、大まかに数字で区切られている。


 傲慢な白人の生まれた地ヨーロッパ全域をセクター1、

 地獄にも天国にも近い中東諸国をまとめてセクター2、

 北方の死と雪の世界ロシア全域をセクター3、

 出生も死亡も桁違いな中華人民共和国からモンゴルなどをセクター5、

 銃が多すぎる北米をセクター6、

 血と暴力の支配する南米をセクター7、

 呪術渦巻く混沌の戦場アフリカのセクター8、

 僻地。とにかく僻地オーストラリアをセクター9、

 実は昔はセクター1直轄だった踊る大国インドをセクター10、



 そして、魔界から地獄、天国も一番近い日本地域をセクター4としている。




 日本地域は、中東以上にそういった位相のずれた異界に近い。

 故に、地縛霊化率、悪魔襲撃率、本物の魔術による蘇り率、いずれもトップ。


 激戦区、というべき地域であり、当然そこにいる死神達は皆が歴戦の猛者。



 だが同時に、

 全員が一癖も二癖もあるようなヤツらばかり、と言われている。




          ***



 ババババババババババ……ヒューン




 移動はヘリだった。

 CH-53E スーパースタリオン。


 どこから引っ張り出してきたのか聞きたい米軍海兵隊仕様の輸送ヘリだ。



『意外ですよ!辺獄(リンボ)間の移動がヘリで出来るだなんて!』


『ここら辺に距離の概念は通じない、です。

 迷えば地球一周分、道を知っていれば徒歩5分が辺獄(リンボ)。常識だ、です』



 そうして、ヘリから目的地の飛行場が見えて来る。


 鬱蒼としげる森の奥、唐突に現れる滑走路。

 まさに基地のようなそここそ、セクター4だ。




 所定の位置へと華麗に着陸するスーパースタリオン。

 エンジン停止。ローターが徐々に止まっていき、さて、と降りたその時、








「─────もう嫌どぅわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」




 




 情けないまでの大音量の声とともに、パパパン、と断続的な発砲音。


「敵襲!?」


「惜しい。

 ()()、です」



 どういう、とまるでいつものことのようなナイファーの姿を見た次の瞬間、




「やじゃやじゃやじゃやじゃぁぁぁぁぁ!!!

 もう8時間も働いたんだぁぁぁぁぁ!!!!

 帰る!!帰って引きこもるのぉぉぉぉ!!!」



 と、あられもないランジェリー姿のつるぺたな美少女が泣きながら全力疾走してくる。

 しかもその手には世界一有名なアサルトライフル。




 G.W.S.所属死神:『M16A4』

 銃種:アサルトライフル

 使用弾:5.56×45mmNATO弾

 TACネーム:『ブラッキィ』

 役職:セクター4司令官





「おおっと司令官、これは良いところに」


「「司令官!?!」」


「ギャフン!?ナイファー、お前こんな早く帰って!?」


 片足で足をすくい、転ばせてすぐ上に乗っかって動けなくする。


「ああ、新人。彼女がブラッキィ司令官。

 よく脱走するから見かけたら捕まえる準備をする様に、です」


「余計なこと言うにゃー!!!

 私もお前もサボリ魔の仲間のはずだるぉォォ!?」


「でも、私はデスクワークを途中で放り投げる司令官じゃない、DEATH☆」


「ふじゃけんにゃァァァ!!!お洒落な言い方しやがってぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 ジタバタする司令官の来た道から、数人の死神が来る。


「おい!ナイファー!!

 ちょうど良かったぜ!!」


「セコンド、」


「まったく、これでA1ですらない時代からベトナムで戦ってたもんだから追いきれなくって」


「サヴェージまで……!」


 と、鼻の上に絆創膏を貼る男勝りな口調の褐色の死神と、メガネをかけて知的そうな死神がそう言葉をかける。




 G.W.S.所属死神:『H&K HK416』

 銃種:カービンタイプアサルトライフル

 弾種:5.56×45mmNATO弾

 TACネーム:『セコンド』

 役職:第1小隊『M-フォース』副隊長


 そして、


 G.W.S.所属死神:『H&K HK417』

 銃種:アサルトライフル

 弾種:7.62×51mmNATO弾

 TACネーム:『サヴェージ』

 役職:第1小隊『M-フォース』副隊長





「いやよぉ、司令官?

 流石はランボー顔負けの歴戦っていう逃げっぷりだったぜ?」


「うるせぇやい。捕まってりゃ世話ないやい……!」


「まぁまぁ。ベトコンと違って命は取りませんから」


「もうやーだー!!私お仕事やだー!!」


 手際良く2人に拘束されて、まだジタバタするブラッキィ。



「───副隊長、捕まえまし……あ、」


 と、遅れてやってきた金髪ツインテの死神が、こちらを見て驚く。


「よぉ、スペシャリー!ちょうどナイファーが司令官の事捕まえて」


「なんで第2小隊()()()が手を出しているんですか?」






 G.W.S.所属死神:『SR-16』

 銃種:カービンタイプアサルトライフル

 弾種:5.56×45mmNATO弾

 TACネーム:『スペシャリー』

 役職:第1小隊『M-フォース』隊員





 と、そんな彼女ことスペシャリーは突然ナイファー達を睨みつけてそう苛立ちを隠さずに言う。



「おいおい、スペシャリー。

 言い方ってもんがあるだろ?

 ありがとうはどうした??」


「セコンド副隊長は悔しくないんですか?

 こんなキワモノ部隊に!!毎回手柄を取られてるんですよ!?」


 と、わざわざナイファーを指差してそう叫ぶスペシャリー。

 えぇ、と新人2人が困惑する中、ナイファー以下はまたか、という顔である。


「たまたま居合わせて捕まえただけだ!

 お前らがいなくたって、私達だけで!!」


「ま、倍の時間は掛かっただろうな、ですけど??」


 ああ、とナイファーは、ゆっくりと指をスペシャリーに向ける。




「お前1人なら、『特別(スペシャル)』時間かかった、です」




 ブチン、って音が本当に聞こえたのは、新人2人は初めてだったろう。


「……なんだと、このクソアマァァァ!!!」


 スペシャリーが殴りかかる。

 が、最小の動きで左に避け、お尻を突き出しながら殴った腕を掴み、ナイファーのお尻を支点たるスペシャリーの体に当てて力点である掴んだ腕を引っ張る。


「ガッ!?!」


 作用点。すなわち背負い投げで叩きつけられるスペシャリー。

 受け身が取れず、呼吸ができないまま苦しむ姿を、埃を払うよう手をパンパンと叩いたナイファーが見下ろす。


「……ね?」


「〜〜〜〜ッ!!!」


「生意気な顔は嫌いじゃない、です。



 でも今は、その顔が見たかった。


 その負けたくない相手に負けた時の心底悔しそうな顔が」



 性格悪、と新人2人とセコンドとサヴェージ、ミニーもついでにブラッキィ司令官も、つまり全員思っていた



「〜〜〜っのぉ!!」


「辞めろバカ。最初に煽ったのお前だろ」


「まだ終わってない!!」


「バカ。華麗に煽り返しされた上に殴りかかったのを無力化されてりゃ世話ないだろ?」


「たしかに」


 セコンドに止められながら可愛い顔を歯を剥き出しにして怒りに染めるスペシャリーを、両手で頬を抱えて笑うナイファーはそれはそれは楽しそうに見ていた。





「────まったく、手のかかる奴らばかりね!!」


 と、再び誰かが歩いて来る。


「隊長!」


 と、セコンド以下、さっきまで怒りの形相だったスペシャリーも姿勢を正す。


「交戦的なのは結構!

 ただ、言いがかり付けておいて負けるのは、恥ずかしいんじゃあないかしら?」


 ベレーに略式制服にきっちり身を包む、手足が長くスタイルの良い凛とした女性兵士。




 G.W.S.所属死神:『M4A1』

 銃種:カービンタイプアサルトライフル

 弾種:5.56×45mmNATO弾

 TACネーム:アサルテ

 役職:第1小隊『M-フォース』隊長




「あ、アサルテ隊長、私は……!」


 泣きそうな顔のスペシャリーの頭に、ペチンとチョップが飛ぶ。


「せめて、次は勝てるぐらいの実力になってから言いがかりをつけなさいな。

 もっとも、ナイファーに近接戦闘で勝てる様になるなんて相当訓練しなきゃね?」


 ふと、アサルテはナイファーの方に向く。


「ウチの隊員が世話になったわね」


 そして、右手で握手を求める。


「いえ」


 握手に応じるナイファー。


 瞬間、右手を引かれてバランスを崩し、そのまま投げ技へ移行する。


 ダンッ!!


 それは地面に叩きつけられた音ではなく、一回転して華麗に着地したナイファーの音。


「おぉ……!!」


「早い……というかそれでダメージなし……!?!」


「やるわね、殺気なんて出してないつもりだったのに……!」


「私に不意打ちできるのは、このセクターじゃあオンリー姉さんだけだ、です」


 今度こそ、2人は握手を交わす。


「いつかやってやるわ」


「すでに最高のソルジャーだよあんたは、です」


「ふっ……じゃあ、ブラッキィ姉さんは連れていくわね」


 ぎゃー、やだー、と言いながら、連行される司令官。



「……これがセクター4か」


「そう。毎日刺激的、です」


 PSG-1の呟きにナイファーが答える。


「ああ、そうそう!!

 オンリーが帰ったら、『格納庫』に寄ってって言ってたわよ!!」


「何!?

 了解!!!

 新人共、急げです!!」


「格納庫はこっちだよ!」


 と、アサルテの言葉にそう反応して、ナイファーとミニーが2人を急がせる様に指示を出す。



          ***

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