第四話 出会い。そして固結。
街から少し外れた草原……現世で言う公園のような場所にやって来た俺は早速実験に取り掛かる。
「俺の考えが正しければ、恐らく適当な詠唱を唱えることで、物凄い爆炎とか落雷とかが起こるはずだ……フフフッ」
また不気味な笑みを浮かべ、自信満々に詠唱を唱える。もし周りにいたら不審者か変出者に見えるであろう。
「灼熱なる赤き魔神よ! 偉大なる我に力をかしたまえ! アグモスフレぇぇぇぇイム!」
『…………………………』
胸が張り裂けるくらい恥ずかしい。心のそこから誰もいなくてよかったと思った。だが、ここで引き下がる訳にはいかない。次は成功するかも知れない。そんな気持ちが俺の中で埋めく。
「世界へ轟く雷神よ! 偉大なる我の剣となれ! ナイフスパぁぁぁぁぁクル!」
『…………………………』
だめだ。ただただ恥ずかしい。それしかこみ上げて来ない。やはり人生そんなに甘くない。しかし、羞恥心と言うものは、謎の怒りが生まれる。要するに逆ギレ。
「この世に存在する全ての女の子よ! 最強なる我の仲間となれ! うおおおおおおおお! インフィニティハぁーーーーーレム!」
意味もなく伸ばした右手。
その先に一人の少女。
「……あ、あの……大丈夫です……か?」
これが、女神 イズモとの初めての出会いだった。
「…………………………」
「…………………………」
ただ沈黙が流れる。
ガチ引きする少女。次第に状況を把握し始める俺。
(まてまてまてまて、何が起こった。沢山の美女がいないから魔法が発動した訳ではない。更に目の前にいるのは少しかわいい幼女だ。俺にロリコンなんて趣味は無い。まず胸がない時点でm………………)
(……見られてしまった!)
その瞬間、俺はまるでトマトの様に赤面していくのを感じた。滲み出る冷や汗。潤む目。こんなに恥ずかしい思いをしたことがあるであろうか。…いや、断じてない。少しの硬直後、アホみたく前に出していた手をゆっくりと首筋に持って行く。
「……って言う詠唱を唱えたら超強い能力が身につくらしいんだよね!」
なんて酷い言い訳だ。こんな言い訳通せるわけがない。
沈黙
「……そ、そうなんですか! 初めてそんな詠唱聞きました!」
「……へっ?」
彼女はその空色に輝く綺麗な瞳を、そらす事なく俺に向けていた。