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第十九話 出発。そして樹塔。
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『ユウム……助けて……』
またあの声だ。どこからか聞こえるその声はずっと悲しそうに助けを求めている。姿が見える訳ではない。
「君は誰だ。なんで助けを求めてるんだ?」
『私はーー』
彼女が何かを言おうとした瞬間声が途切れた。そして代わりに聞き覚えのある声。
「ユウムー! 起きてー!」
イズが俺にまたがりながらものすごい声でそう叫んでいた。
「……もう少し寝させてくれよー……」
「何時だと思ってるの! もうお昼前だよ!」
イズが手に持った時計を俺の目の前に見せる。時計の針が十一の所にある……
「寝過ごした!」
「ちょっとユウムあぶなっーー」
上に幼女神がまたがってた事をすっかり忘れて跳び起きてしまい、イズがくるくると後転する。
「いーたーいー! 急に起きないでよユウム!」
鼻を抑えながらイズが怒る。
「ご、ごめん……!びっくりしちゃってつい……!」





