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第十七話 料理。そしてタブー。

  店に戻るとそこには豪華な料理が並べられていた。


「これ全部サフィアが作ったのか?」


「いえ、イズ様にも少し手伝ってもらったです。」


「私はね!このお料理をここに運んだの!」


  そう自慢気に言ってくるイズに『すごーい』などと言葉を返し、テーブルの周りに並べられた椅子に座る。


「あっ、そういえばサフィアって何でこんなに料理が作れるの?」


 イズがそう聞くと、皿を並べていたサフィアの動きが一瞬止まった。


「なんで……ですか。ただ物を作ることが好きなだけです。 あと……小さい頃に母が亡くなってしまったので、作るのが私になってたからです」


 いつもと変わらない無表情ではあるが、少し顔色が暗くなった気がした。


 イズもこの気配を感じたのか『やってしまった』と言わんばかりの顔を見せる。


(明るくないといけない食卓に不穏な雰囲気が……! これはなんとかしないと!)


「ーーサフィアってさ!、今何歳なの?」


 とっさに口から出た質問がこれだ。 いくら相手が幼く見えても男としてこの質問はどうかと自分でも思った。


「……ユウム様。いくら年が低く見えるからって、女性に年齢を聞くのはタブーです」

 

「す、 すみません……」


 ユウムが頭を少し下げると、サフィアは少し優しく笑ったように見えた。


「……私は今年で二十歳になるです。」


「そっかーもう二十歳なのか……って、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 思わず声に出して椅子から立ち上がってしまう。外見だけだとサフィアの年齢は十代前半って所だ。それが十代後半でもなく二十歳。声が出ても仕方がない。こんな成人済み童顔幼女、日本では一度も見たことないのだから。


「二十ってことは、俺より年上ってこと?」


 動揺で語尾が謎の疑問形になってしまう。


「……そうなのですか? てっきりユウム様は三十歳くらいだと思ってたです」


「そんなわけないだろ」


 ユウムはサフィアのおでこをコツンとする。


「うぅ……痛いです……」


 サフィアは涙目になりながらそう呟いた。


(……ということは、これから俺は三百歳の幼女神と二十歳のスチームパンク幼女と旅に出るってこと!? 俺が一番年下なのかよ!)


『ギュルルル……』


 どこからかお腹が鳴る音が聞こえた。その方向を見ると、イズがテヘッとした顔をユウムに向けていた。


「お話終わった? 私お腹すいて倒れちゃいそう!」


 雰囲気が戻って少し安心し、お腹が減ったイズは二人が話し終わるのを待っていたらしい。


「……別に先に食べてても良かったんだぞ?」


「いや! みんなと食べるの! 」


 そう言ってお得意の顔膨らましをする。一番年上なのに心は一番幼いのだ。それがまた可愛いのだが……


「じゃあ俺もサフィアの料理頂くか! さぁ皆さんお手を合わせて」


 みんなで手を合わせる。


「せーのっ」


「いただきます!」



 何故だろう始めて食べるサフィアの料理は、昔、色々な物を作るのが得意だった妹の料理の味と似ていた気がする。




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