契約。そして時空。l二
「あーーー……わかったよ。そもそも、能力で契約しようと思ったわけじゃないしね。じゃあ説明よろしくですイズ先生!」
「はーい!さっき、この世界には私を含めて九人の神が存在するって話ししたでしょ?
【火を司る神】ソル
【水を司る神】オケアヌス
【木を司る神】ディアナ
【地を司る神】テラ
【風を司る神】カルデア
【鋼を司る神】へパイトス
【光を司る神】ルナ
【闇を司る神】ハーデ
そして私、【時を司る神】 イズモ!でも
、少し複雑だから今は神の名前だけ覚えといたら十分だよ!」
なるほど、属性的には大概ある異世界アニメと…ん?
「おいイズ、お前の【魔法】って…」
イズはそれを聞かれるのを待ってました!と言わんばかりの表情を見せる。
「フッフッフ…私の【魔法】は【超時空】。つまり、この世界とは全く違う『時空間』を生み出すことができるの!」
思わず口が開いてしまう。たしかに、【身体能力Lv.MAX】とか【全能力耐性】とか、そういうのをチート転移者と思っていた。だが時空を生み出せるって...それも、もはやチートじゃないか?俺が最強じゃなくてこれヒロインが最強だったパターンのやつ?
そんな考えが頭でくるくる回る。
「この部屋もね!私が時空を生み出して作ったの!」
なるほど、そう言うことか。だからこの部屋には窓も扉もない訳だ。
「それって、この世界で『最強』の属性じゃないのか?」
「 ううん。名前で聞くとみんなそう言うわ…でもそんなこともないの。」
イズから笑顔が消える。そして部屋にある小さな椅子に腰かけた。
「“時空”を操れるからと言って“時間”を操れる訳じゃない。他属性のように攻撃できる属性ではないの。やっぱり‘冒険者’って言うのは物凄い魔法とかを撃ちたいものでしょ?…だから、私の【超時空】は『最弱属性』っていわれてて、この世界では私の記した魔導具、【異空間収納】以外に利用されてない……。」
イズの目元には涙が浮かぶ。
「だから、風神以外の周りの神も私のことを馬鹿にするの…“弱神”って…それで、人とか関わるのが怖くなってこの異空間に引きこもっていたの。」
なんだ。こいつも俺と似ているのか。小さなことから学校でいじめに合い、親にも話せず、学校に行きたくなくなり、家に引きこもり、社会に阻害された俺と……。
本当は学校に行きたかった。沢山の友人を作ってみたかった。…寂しかった。──イズも今、俺と同じ気持ちなのだろう。
イズの気持ちは誰よりもわかる。誰よりもこいつの力になれる。
「今日から俺がイズの友達だ。もうここに引きこもらなくていい。外に出て沢山旅をしよう。沢山仲間を見つけよう。…今まで本当に辛かったな。」
イズは、椅子から立ち上がりユウムに歩みよる。そしてユウムにゆっくりと抱きつき、初めて泣き崩れた。





