第七話 契約。そして時空。
「ほ、本当に!?すごく嬉しい!ありがと!絶対役に立つから!!!」
イズは小さい体をぴょんぴょんと跳ねて喜ぶ。揺れるものは無いが、やはり笑顔は誰よりもかわいいのである。
「じゃあ早速!直接契約しよっ!ユウム!結晶体の前に来て!」
ユウムはそう言われるなり部屋の中央の白く光る結晶体の前へと行く。
「右手を結晶体に…」
結晶体に触れる。すると結晶体が淡く青く光りだした。そして触れている右手から白い霧のようなものが結晶体の中へと吸い込まれていく。
「これがユウムの魔力。うん。ギリギリ許容量って感じだねっ」
なーんて、心に刺さることを言いながらイズも結晶体に手を触れる。結晶体が鋭く蒼く光りだす。
「ここからが本番だよ!今から私の【魔法】をあなたに融合させる!私の三百年分の魔力だから手が痺れるかもしれないけど、絶対に結晶体から手を離さないでね!!」
「さ、三百年!?」
イズはこれでもう三百歳ってことか!?神とはなんなんだ一体。
そして、さっきまで笑顔を見せていたイズが、真剣な表情に変わった。
イズモの右手、、いや、全身から想像を絶するほど物凄い量の魔力が放出される。これが神。。イズのことを少しナメていたが、やはり女神というだけあってすごいものだ。。
【偉大なる祖、イデアよ、われの声を聴き、汝の異能を子に捧げたまえ、】
イズモが詠唱を唱え始める。すると、周囲に多数の魔方陣が出現。現世で見たものと似ている。
【時は満ち、灯火が上がる、繰り返される命の営み。永遠へとと続く時間に、揺るぎない起源の証明を 今ここに誓う。】
イズが最後の詠唱を唱え終わったその瞬間。部屋中に放出されたイズの魔力が一気に結晶体へ吸い込まれていく。その結晶体の中で融合し、空色に、まるで北極星のように光りだす。その光が一気にユウムに流れていく。
雷のような電撃が全身に流れる感覚が伝わる。手が痺れる。その感覚とともに右手の甲に『時計』のような紋章が刻み込まれていく。痛みはない。
そして、全ての魔力が結晶体からユウムに移動した。
「……ふぁぁ……終わったよ!」
イズにも疲れが見える。でも笑顔が戻っていた。
痺れは消えた。契約したら力がみなぎってきたりとかするのかと思ってていたが、特に前と変わったこともない。
「契約したら力がみなぎるとかなると思ったの?」
「そんなあからさまな事あるわけないじゃん!!」
「い、いやー…ね?」
アメとユキにはバレていたようだ。
「これで私たちはチーム!意思も共有できるから、これで大抵の言語はすんなり頭に入ってくるはずだよ!」
「それはとても助かる。読みはできたけどリスニングができなかったからなー。」
「うんうん!!ならよかった!よぉし!じゃあ、今から神たち、そして私の【魔法】について説明するね!」
「あ、そういえば聞いてな…って、それ契約する前に話す事じゃない!?」
「だって、【魔法】の能力で、『イズのよりこっちの神の方がいいからやめとく』なーんて言われたらショックと後悔で私死んじゃうもん!」
こういう所はすごく頭いいな…顔を膨らましてそういうイズもまた癒しである。





