第2話=神という名の爺さん2
神様は呆れたように、私を見つめた。
「実はの、お主に頼みがあるんじゃがの」
「頼み?」
「『アミューリア』を救ってはくれぬか?」
「アミューリア?」
「この世界から言うと異世界じゃな。…魔王が、世界征服を目論んでおるのじゃ」
「なんか、大層ですね」
あくまで冷淡に接する。
いつでも、こちらが相手より有利なトコにいなきゃね。
例えそれが神でも。
「で、それがどうしたんですか」
「じゃからな、魔王の世界征服を止めてほしいのじゃ」
「…それって、私に得はあるんですか」
「事が成功したらば、お主の望む物を与えよう」
「わ、そこは神様っぽいね。何でも好きなモノあげるって」
「ぬ、そうかの?…どうじゃ、やってみぬか?臨は今の生活に飽き飽きしておったろう」
「…いいの?私、そっちから見たら異世界人でしょ?」
「構わぬ。こんな事もあろうかとな、アミューリアに『予言』を残した」
「…」
「――闇夜に世界が呑まれる時、外界の勇者現わる。さすれば、光が訪れん――」
「うわー、それ神様考えたの?引くね」
「しっ、仕方あるまい!文才が無いのじゃ!
顔を真っ赤にさせて怒る神様。
…アンタもいろいろ大変だろうね。
「いいよ、私戦えないけど」
「それならば心配いらぬ、儂がお主に力を授けるからの」
「…なんでもアリだね」
「一つ、言わなければならぬ事がある。…アミューリアはかなり深刻じゃ。命を落とす危険もある。くれぐれも、用心せよ」
「はーい、任せて」
薄れかかってゆく神様に、ヒラヒラと手を降りながら、私はこれから起こるであろう『ワクワクする事』に、ニヤリと笑った。