第16話=反政府軍2
かなり物騒な話だ。反政府軍とか…。現実世界でもあるような話に、少し驚きながらも疑問が沸いてきた。
「ね、シュイはどうして勇者が女だって事を知ってんの?」
その質問に、アリア姉さんとシュイは顔を見合わせた。二人とも、少し困っているように見える。…何だろう、私に言えない話なのか?
「…悪ィけど、これは軍の秘密っつーか…。まだ教えられねーんだ」
「ごめんなさいね?でも私達の軍は貴方の味方よ。…これだけは言っておくわ。政府には気をつけて。勇者を手に入れて、あわよくば手駒にしようとしているから。彼らは魔王を倒されると困るのよ」
「…え?」
「魔王に立ち向かえるのは勇者だけ。魔王の天敵は勇者なんだ。それを政府は知ってんだよ。勇者を政府側にいれる事で、魔王を支配しようとしてんだな。…まあ、それだけで魔王が言うこと聞くとは考えられないけど、魔王にとって勇者はかなりの脅威だ」
「だから私達は、はやく勇者を見つけて真実を教え、仲間にしようって考えたのよ。…リンを見つけれてよかった」
二人はにっこりと笑って私を見た。話の内容はさっぱりだったが、とりあえず政府は悪いヤツららしい。で、反政府軍は味方みたいだ。こんなドロドロの話に巻き込まれるなんて、予想してなかった。ややこしい事になってきたな。
「…まあ、とりあえず明日さ…、私の属性見つけたいんだ」
下を向いてボソッと言う。伝わったのかはわからないが、アリア姉さんは優しく私の頭を撫でてくれた。
ただ、魔王を倒すだけだと思っていた。世界のために、勇者の力を奮うだけだ、そう考えていたのに。アミューリアの住人は私を悪用しようとする。誰が真実、誰が嘘、そんなのわからない。私は、目の前に立つこの二人を信じるだけだ。