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第12話=駆け抜ける閃狼


 落ち着いた雰囲気の、少し暗めの照明がかなりイイ感じなバー。夕食が終わった私達は(私はかなりがっついて食べた)、レストランの隣のこの店に来ていた。膨れた腹を抱えながら、アリア姉さんに手を引かれ入ったのはいいが、まだ未成年な私はこの大人な空気に落ち着かない。バーの隅に座り、店内を見渡した。

 アリア姉さんはカッコイイお兄様達に囲まれ、楽しそうに笑っている。私はかなり外れ者っていう感じだ。グラスに入っているオレンジジュースに意識を向け、睨むようにそれに浮かぶ氷を見ていると、隣に誰か座る気配がした。


「マスター、水割り頼む」


 案外若い声に、ちらりと隣を見た。この店はかなり大人な雰囲気を醸しだしているから、来るのはダンディなおじ様やマダムに、アリア姉さんのような美人さんばかり。しかし隣のこの男は、かなり若くて、店内では私に一番歳が近いに違いない。

 私の強烈な視線に気付いたのか、男は私をちらっと見た。少し目尻の下がった目は、何だか色っぽい。無造作に伸びる髪はカウボーイの帽子の下から出ている。その髪は艶を失ってはいるが、赤銅色だ。きっと元はとてもいい髪だったんだろうな。男は再び視線を前に戻し、目の前に置かれた酒を傾けた。


「…お前、連れは?」


 まさか声をかけてくるとは思いもせず、ちょっと驚きながらもアリア姉さんのほうを指差すと、男は納得したように「ああ」といった。カラン、と氷が気持ちのよい音をたてた。


「…何歳?」


「十六」


「ふーん…、もっと幼く見える」


 男の言葉にカチンとなりながらも私は平静を保ち、オレンジジュースを飲んだ。…ここで怒ったら本当に小さい子みたいだもんね!それだけは嫌だ。


「名前」


「…はい?」


「名乗れよ」


 言い方がいちいちムカつくヤツだな!上から目線っていうか…。初対面なんだからさ、もっと丁寧に喋ろうよ。そう思って眉を潜めていると、私の考えている事がわかったのか、男はクスクスと笑った。


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