第11話=ジャグライ3
「私には何か属性ってあるのかな?」
ふと気になった。私はこの世界の人間じゃないけど、神様は何か力をくれるって言ってた気がする。大丈夫か?あの爺さんはボケてたような…。何か勇者!って感じの能力が無ければ魔王になんて立ち向かうことは出来ない。アリア姉さんばかりに頼る訳にゃ…て、二人だけで魔王退治もどうかと思うが。
「どうだろう、それは分からないわ。まあ戦ってみて属性を引き出すっていう手もあるわね」
「…それは、危ない目に合うって事……?」
「人生、何事も経験なんだから」
「…」
軽ーく言い放たれた言葉に少々、顔強張らせる。いやあ、アリア姉さんは裏があるね!私びっくりだよ!
「まあ、そんなに構えないでちょうだい。戦うと言っても弱い魔物とだし、私がついているわ」
「…はあ、がんばります」
見るからに士気を落とした私を励ますように、アリア姉さんはぽんっと私の肩を叩いた。
「大丈夫よ。どんな人間でも戦う力は宿っているの。その力は人それぞれだし、魔法に向いているのか、攻撃に向いているのか…、攻撃でも接近戦、遠距離戦、いろいろあるのよ。ゆっくり、焦らずに見つけましょう?」
そう言って柔らかく微笑むのは、ちょっとずるい。だって、本当に出来そうな気がするんだ。アリア姉さんの笑顔に勇気づけられ、私は大きく頷いた。
「まあ今日は、私達の出会いを記念して贅沢しましょうか」
「わあッ!やったー」
隣から呆れたようなため息が聞こえた。…仕方ない。どうせ幼稚だよ、私は。そんなヤツがこの世界を救うなんて、誰が考えるんだろうか。女でも幼稚でも、出来ることがたくさんあるんだ。魔王だろうと何だろうと、今の私の気合いに勝てるヤツはいないだろう。階下から漂ってくる美味しそうな匂いに、腹を鳴らせながら私はニヤリと笑った。