ハンターデビュー
今回は少し長めに、頑張って見ました。
脳内アラームと好みに設定したAIの心地の良い声により目覚めの良い朝を迎える。
昔のように音で起きる訳ではなく、
脳を直接起こすので寝坊する人はいなくなった。
寝坊の言い訳は出来ないので遅刻率が大幅に減ったようです。
「マスターおはようございます」
「ん、エーコおはよう」
AIのエーコと挨拶を交わす、実に安直な名前であるが、わかりやすいためスルーして欲しい
目覚めた十華はシャワーを浴び濡れた体を
超音波による乾燥で体のみを選択し一瞬で乾かし出かける準備をする。
ちなみに服を選ぶと服のみが一瞬で乾くので雨の日などに便利だ。
結構いい価格がするので業務用が一般的だが便利なので最新家電が好きなので購入した。
駅などの改札前やデパートなどの入り口や主要な施設の入り口には大体設置されてたりする。
十華は25歳の誕生日を迎えた翌日にハンターになると決めていたので、
予定通り、ハンターワークギルドへ向かう準備をする
「よし、準備が出来たし登録に向かおうかな」
凄く楽しみにしていたので思わずにやけてしまう。
「楽しみですねマスター」
自分の返して欲しい言葉をくれるAI
共感をしてくれるように育ててきたのだ!!なんと素晴らしい相棒だろうか。
車を走らせ都内のハンターワークギルドに向かう
車は普通の一般車だ、今では緊急時以外手動運転をする必要はないため、
チップと連動するAIに行き先を伝えるだけで済む
「エーコハンターギルドまでよろしくね」
「かしこまりました、マスター」
車は磁場の利用により少し浮いた状態で移動する。なので騒音とは無縁なので
とても快適なドライブが出来る。
政府は磁場の拡張をしていない草原や荒野などは安全に自動走行できないため、いち早くメインの道路に続く道を工事した。自動運転が当たり前になっているので手動運転の技術は衰退した。
簡単に言うと危ないから優先したのである。
今走っている道は草原の中に真っ直ぐ引かれた4車線の道路である
海外の田舎の方の周りに何もなく草原だけが広がる、そんな中を走ってる感じだ。
奥の方に綺麗なヨーロッパの街並みのような異世界の町も見えるのだが、
出入りなども今は厳しく、Cランク以上のハンターまたは国に認可を受けた者しか入れないため、景色だけを堪能する。
「あれが異世界の街かー、そのうち行ってみたいな。
日本にいて海外のような街並みが見えるのはなんか得した気分だ」
「あちらに見える街はスーリア王国の首都のようですね、
首都の名前はルーサルというようです、漁業が盛んで、ガラス細工などの工芸品が有名なようです。しかし今回の世界異変により漁場があった場所にこちらに県が入ってしまったために遠くなり漁業がままならないようですね」
「へー、それはまた揉めそうな・・・・
行けるようになったら観光には関係ないし一度行って見るかー」
景色を見ながら進んでいると
様々な建物が見えてきた。
ハンターギルドの場所は都内ではあるが、今ではその面影はあまりなく草原と荒野の境目辺りに70F建のタワービルが建っている。アスファルトなどが残っている場所もあり現代的な場所も残ってはいるのだがなんとも変な感じだ。
この違和感にも慣れるんだろうなと思いながらビルを見上げる
荒野と草原になってしまったので道路以外は特に開発も進んでおらず、駐車スペースはとても広く混んでいても余裕で止めることができる
都心のど真ん中のビルの周りに空港の駐車場があるようなイメージだろうか。
そして駐車場の地面は草原と荒野である。
磁場が拡張されていないため久々に手動運転をして見たが、広々としていてわざわざ、隣に車があるところに止める必要がないため、苦労せず止めることが出来た。
約2年前このタワーは全てハンターのための施設となった。
元々は商業ビルだったのだが、政府が全て買取、ハンター専用の施設とした。
1F~3Fまでがハンターワークギルドでランクに応じて行く階が違い、新規登録やF、Eランクの新人ハンターは1Fにしか入る事が出来ない。
2Fに行けたら一人前なのだ。
1Fは役所のような特に思うこともない内装で人も10人ほどだが、D、C、Bランク用の2Fに行くとホテルのような内装になり、綺麗な受付嬢が並び人数も30人ほどと3倍ほどに膨れ上がる。
3FはAランク以上しか入る事が出来ず、
パーティー専用のプライベートラウンジスペースや、各専用受付嬢が付くなど様々な特典があるらしい。
ハンターギルドのマスタールームも3Fである。
4F~5FはBランク以上になると開設出来るクランの専用スペースとなっている。
8クラン限定となっており退室クランが出た場合のみ申請する事が出来る
現在登録されているクランは20クランほどである。
5Fのクランハウスは30人ほどがゆっくり寛ぐ事が出来る広いスペースに、クランマスタールーム、事務部屋、会議室、キッチンに男女共に6人ずつ使えるシャワールーム、
合計30人ほどが寝れるダブルの2段ベッドが置いてある部屋が8つなど充実しており、その他設備も最新のものばかりだ。
また、専用の最新トレーニング施設も使用可能ととても充実している。
5Fは3クランのみだが4Fは5クランで分けられてるので広さが半分ほど
狭くなるイメージだ。
ギルドが近い事もあり、すぐに埋まってしまうが、家賃も高く維持が出来ず、入ってすぐに出て行くクランも多い。
ここを常に拠点と出来る事は強さと共に絶対的な信用の証なのだ。
その家賃額は、、、、
なんと4Fで月1億円
5Fで月5億円となる
部屋以上にこれだけ払えるんだと見せつけるための価格でもある。
これが払えるハンターという仕事も凄いと思う
その他のクランは大体郊外にあるクランハウス専用区画の土地を買い、クランハウスエリアに建てる。
価格は小さい土地では安く5000万円ほどから買えるものもある、勿論建物は別である。
多少高くてもこのクランハウスエリアに建てる事が信頼の証や周りのクランとの繋がりに
なるため、9割のクランはこのエリアにどの県も建てるようになった。
Aランククランほどの土地となると10億円~ほどとなるが広くなる分遠くの土地になってしまう。
しかし、そこは身体能力の差でほとんどが気にする事のない程度に補えてしまうのだ。
低いランクのハンターには辛いのでは?と思うが、そうでもなく、
低いランクで加入したもののほとんどは
ハンターギルドからそれ程離れていない安宿かハンターギルドの格安支援部屋に泊まる。
お金あるクランはハンターギルド近くに建てる方が便利じゃない?と思うだろうが
支部の近くは大体ハンターギルド関連の施設が占めていたり、あまり広くない土地しか残ってなく、土地の価格も上がりすぎているためクランハウスを建てるのは現実的ではないのだ。
ちなみにAランク上位ハンターは月に平均5億円以上稼ぐ
Aランク下位だと8000万円ほど
Bランクハンターは平均3000万円ほど
Fランクハンターは5万円ほどと差が凄い
上のランクに憧れるのも頷けるものである。
6F~12Fは商業施設となっており、武器や、防具、魔道具、薬屋、治療院などハンターに必要な施設で溢れている
それ以降の階は会議室などに使われる広い部屋以外は全てハンター用の宿泊施設となっている。
一日1000円で泊まれる格安のハンターになって一年間のみ泊まれる狭い支援部屋から
一人前用の5000円~8000円ほどのビジネスホテルのような部屋
一流用の5万円以上のスイートルーム部屋
40F以降はAランク以上が入る事が出来るVIPエリアとなっている
VIPエリアの価格は公開されておらず噂によると安い部屋で数十万。
その他の部屋は数百万の部屋しかないと言われ、一流のハンターの証になる。
その他にもBランクハンター以上専用としている宿泊施設などランクに応じて泊まれるものを選定してる施設なども周辺にはたくさんある。
それだけランクの高いハンターは稼ぎが良く金払いも良いのだろう。
十華は新規登録なので1Fの登録窓口に向かう、取り扱う事柄が違うだけでほとんど役所のようなイメージだ。
新規受付用の窓口が3つに、説明用のブースが6つほど、依頼報告・受付窓口が5つほどある。
奥には素材買取所と書かれた大き目の扉がある。
中央のモニターには依頼がたくさん表示されている。
チップをかざし番号を取得する
イスに座り頭の中で必要な名前や住所、年齢など必要な項目をエーくんに頼んで呼ばれるのを待つ
「ピコン、マスター呼ばれました」
「うん、わかった行こうか」
呼ばれたので受付に向かう
「77番のお客様ですね、お待たせしました」
チップをかざし番号を確認してもらう。
小説のように可愛い受付嬢の所に並ぶ!
といった事は出来ず順番に担当が接客していく役所方式である
2F以降は担当制があるらしく、
ハンターのモチベーションを上げるために受付の面接では、顔が重視されており、
それこそ小説のような状態で受付嬢目的で頑張る人が多いと聞く。
「今回登録担当をさせて頂きます、伊藤です。新規登録でよろしいですか?」
30歳くらいの膨よかな女性であった。
外れかー!!!っとそんな失礼な事を考えながら
早く新人抜け出したいな、、、っと
心の中で思うのであった。
「ハズレでしたね、マスター」
「思ったけど、そこは返さなくていいからね」
心の中で思った事も伝わるのは便利なようでなんとも言い難いところもあるのだ
「はい、新規登録でお願いします」
「珠希十華様ですね。年齢は25歳、犯罪暦はなし、スキルは戦闘、または魔法どちらか1つ以上お持ちですか?お持ちであれば表示をお願いします」
「はい、確認お願いします」
無難に体術を見せることにして体術のみ表示に切り替える事にする
「エーコ」
「かしこまりました」
言いたい事を言わなくても汲み取ってくれる、やはりメリットのが遥かに多いのだ
ここでなぜ1つ以上と聞かれるかと言うと、この世界にはスキルも魔法も持たない人が1割ほど存在する。
また、
ハンターは危険が伴うので1つ以上の戦闘スキルを所持している事が登録の条件の1つとなっている。
ここでは戦闘スキルの有無判定はされるがスキルや魔法の表示、非表示は任意であるため戦闘スキルを1つ表示して見せるだけで良い。
スキルは生命線になるため変に探ったりしないのがマナーとなっている。
勿論ギルドスタッフは他の人に教えたりする事は禁じられている。
「それではチップをかざしてください。
登録料の1万円のお支払いと登録を致します」
機械にチップをかざす
「ピッ」
支払い完了した音である
後は登録が終わるのを待つだけなので、10秒ほどその場で待つ
どうやら登録が終わったようだ。
「はい、これで登録完了です、説明窓口の方へお願いします」
「はい、ありがとうございます」
挨拶を済ませ説明ブースの方へ向かう。
対面式のテーブルとイスと小さめのタブレット型のモニターが付いている簡易な作りだ。
説明ブースではハンターとしてのルールなどが説明された。
ランクはFランクから始まりE、D、C、 B、Aと昇格していき最高ランクがSランクである。Sランクは希少で世界で僅か8人しかいないそうだ特別なユニークスキルを持ち人外のような規格外な能力があると言われる。
日本では2人Sランクがいるそうだ、会うことはなさそうなので名前などは聞かないでおく。
あまり芸能人や有名人に興味がないのだ。
ハンターワークギルドに登録している大半のハンターはFランクのままである。
ハンター登録をして魔物を狩りにでてもいざ狩りとなると怖くて狩れない者や
単純に戦闘力が足らないものがFランクに滞在している。
世間ではニートとニューを賭けてNハンターと呼ばれている人たちだ。
普段は薬の原料の採取や高ランクハンターの荷物持ちや雑用をしている。
魔物は人より遥かに高い戦闘力を持っている。
いかに雑魚と言われるゴブリンでも当たりどころが悪ければ最初のうちは簡単に大怪我もするし、最悪死んでしまうのだ。
それもあってか、ゴブリンを狩ることが出来てからが本当のハンターの始まりと言われ、
Eランクになる条件にもなっている。
一般的に5人でパーティーを組んで迷宮を突破していく事になるのだが、最初は知り合いもいない人はソロが多いため、苦戦が強いられる。
Bランクより上に上がれるものは数少なく、
才能があると言われるものですら多くがCランクで詰まってしまう。
その壁を乗り越えたハンターこそ一流ハンターである。
早く強くなるには、
レベル上げやスキル取得などが必要で、
基本的にダンジョンと呼ばれる塔や洞窟に行き魔物を倒し経験を積んだり、宝箱やドロップ品から出るスキル水晶を使って覚えたりする事で強くなっていく。
勿論日頃の筋トレやスキルの練習なども大切だ。
発生する魔物は場所により様々で深さや高さ難易度も全く異なる。
勿論難易度が高いダンジョンほどレアな物が入手可能で深層ほど敵も強くなる。
10層毎にボスが出現する。このボスを攻略する事で次の階層の扉が開かれ扉の先にある
転移石に触れることにより、次の攻略からは入り口にある転移石を触りイメージするだけでボス攻略後の層に飛ぶことが出来る。
なぜ飛べるかなどは分かっていない。
また、この世界では、魔物を倒すと不思議な事に魔物の体は消滅しドロップ品を落とす。
その落ちたドロップ品は様々な利用価値がありハンターの収入源になっている。
平和な世界に生きてきた人間には解体は難しいものなのでご都合主義に感謝である。
「以上ですが、何か質問はありますか?後程気になることがありましたらAIの方に新しい情報がアップデートされてると思いますので、そちらでお聞きください」
「はい、ありがとうございました」
登録を終えたので次何をしようかと時間を確認するとちょうどお昼時だったので、
ご飯を食べる事にした。
「エーコ何かいい店ある?」
「せっかくハンターになられたので、ハンター専用のフードスペースに行ってみてはいかがですか?」
「それだ!!ナイスアイデアだよ、エーコ」
勿論1Fしか入れないので学食のようなレベルのフードコートのような場所である
ハンターはどのメニューも500円でお腹いっぱい食べれるので新米ハンターから中堅までとても人気がある
夜には酒場となり、盛り上がる
ランクの違うハンターやハンター以外が一緒に飲んだりする場合は周辺にもたくさんバーや居酒屋、レストランなどがあるのでそちらを利用する。
同じランク帯がいる場所でご飯やお酒を飲むと情報交換やパーティー探しなどもできるため外よりも新米のうちはここで食べる事が多いようだ。
1Fのフードコートには
約10店舗ほどが囲むように並んでいる
お肉から野菜、スイーツまで全て美味しそうに見えて選ぶのに苦労しそうだ。
これで500円なのだから利用する人が多いのは頷ける
「んー何にしよう、カツにするかカレーにするか迷ってるんだよね」
「マスター、それカツカレーでいいじゃないですか」
「いやいや、カツはカツでもカツ鍋定食だから別物だからね」
「・・・初登録ですし縁担ぎも兼ねてカツ丼はどうでしょう?」
「あ、それいいね、さすがエーコわかってる」
結果から言うとカツ丼はとても大きかった
3人前くらいあるのだ。
レギュラーを頼んだのだがスモールがある事にも気づいていた。
しかし、見栄を張って食べきれるとレギュラーを頼んだのであった。
「くるしぃぃー、、」
完食後、迷宮の準備に向かうまでに
1時間も休憩を挟むはめになったのはいうまでもない