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久々の投稿で合わないとこがあるかもしれませんが暖かい目で見てくださると幸いです。
「アルバートがあんなに無邪気なキャラだったとは...もっと人を寄せ付けないキャラだったような気がすんだけどなぁ...」
私は見知らぬ天井を眺めながらボソリと呟く。
『愛と花束とキミと』は、友人曰く大人気の乙女ゲームらしい。
各攻略キャラにはパラメータの代わりに小さな蕾が表示される。主人公への愛情によって様々な花が咲き誇るのだ。満開になるとどこから持ってきたのか告白の際にその花を直接渡されるのだ。
わかりやすいパラメータ表示と有名声優や綺麗なグラフィックのお陰で初心者向けでも有名である。
因みにいうとこれも友人談である。無理矢理やらされた乙女ゲームを片手に隣の友人は聞いてないのにペラペラと話すものだから無意識に覚えてしまった。あの時は殺意でいっぱいだったけど今は感謝してます。ありがとう友人。でも同じことを何回も言うことはオススメしません。私がイラつきます。
まぁそれはさておき、私は大変な立ち位置になったようだ。
エミリア・グレイソン。彼女は乙女ゲームでいう主人公の友人...言っちゃえばお助けキャラだ。これのどこが大変なの?って??
私もこれだけなら良かったわ。
原作のエミリアは大人しく自分から強く言う事の出来ない少女だ。そんなエミリアの婚約者は、クールで人を寄せ付けないと有名なアルバート・ダルトニー。だが、乙女ゲームだとアルバートは攻略対象。この関係なら普通はエミリアは悪役令嬢などの役をやる筈だが...なんとエミリアは自分から主人公に「彼の支えになってほしい」と懇願するのだ。主人公が無事にアルバートと恋人同士になると悲しさを振り払いながら不器用な笑顔で「ありがとう、おめでとう」と伝えそのまま姿を消すのだった。
当時はエミリアのそんな態度は公式でも発表されていなかったので私も理由は分からなかったが興味がなかったのでそのまま友人に返したのだが...
「...うん。やっぱりさっきの声は“エミリア・グレイソン”だったんだね」
意識が途切れる瞬間、懺悔する様な声が頭の中で反響し、そのまま記憶の扉が紐解かれるようになだれ込んできた。
エミリアはアルバートが人を寄せ付けない理由を知っていた。知っていて助けれなかったのだ。