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魔術塾対抗戦 vol.33


 パーティ会場は、ラグーン魔術師教会内に大ホール行われる。


「何だよ、ここ」


 パーティ会場に着くや否や、その豪華さに俺は圧倒される。

 天井には無数のシャンデリアが会場内を輝かせ、豪華な料理が並び、各テーブルの中央には華やかな花々が生けてあった。名の知れた高級ホテルのような感じがした。


 煌びやかな会場の雰囲気にのまれる俺。

 一気に全身に緊張感が走り、顔だけでなく体全身が固まったような感覚に襲われる。


「翔太さん、どこか体調でも優れないのですか?」


 顔の強張った翔太に気づいたクレアが、心配そうに俺を見つめていた。


「ごめん、クレア。俺、こういうの始めてでさ。スッゲー緊張してて……」

「そうなんですね。大丈夫ですよ、側にいますから」


 そう言った途端、クレアの頬が少し赤くなっていた。


「どうした、クレア。クレアも体調が悪いんじゃないのか?」

「あっ、いえ、体調は大丈夫なんですが……そのさっき言ったこと……あー恥ずかしい!」


 クレアは、さらに頬を赤く染めて、手で顔を覆った。

 俺は、理由が分からず首を傾げていると、いきなり背後から誰かが抱きついてきた。


 俺は、体を180度回転させて見やると、そこには今にも泣きそうな表情を浮かべたレイスの姿であった。

 レイスも既にパーティ用の衣装に着替えていて、黒と白のギンガムチェックの蝶ネクタイが、美少年のレイスにマッチしていた。


「もう、翔太!それにみんな!何で助けなかったんだよ!」

「いや、アリスさんの勢いに圧倒されて……」

「そんなの無理矢理にでも僕を引っ張ってくれて良かったのに。それにルーナも、もっと攻撃的になってよ!そしたら、僕も助かったかもしれないのに」

「あの場ではさすがに魔術戦は無理よ。それにあんたを助けるなんて頭無かったし」

「何だよ、ルーナまで。幼馴染みなのにヒドイよ」


 レイスは、ふてくされたように俺に抱きついたまま、俺のスーツに顔を埋める。


 すると、前の方から聞き覚えのある高らかな笑い声が聞こえてくる。

 嫌な予感が走る。

 抱きついていたレイスは、声を聞いた瞬間、体が小刻みに震えていた。


「ふふふっ。皆様、ごきげんよう」


 そこには、ピンクのドレスの裾を掴み、上品にお辞儀するアリスの姿であった。

 俺達も苦笑いで挨拶をしたが、ルーナだけは挨拶せず舌打ちを1つした。


「あら、どこぞの泥棒ネコさんもいらしたのですね。ここにはキャットフードはございませんことよ」

「あんたねー!ほんとムカつくわ!」


 アリスの挑発にのったルーナが、アリスに殴りかかろうとしたのだ。

 俺とクレアとセバスの3人で、必死になって抑える。


「ちょっと離してよ!あいつは、そろそろ締めないと気が済まないわ!」

「まあまあ、ルーナ、落ち着いて。こんな所で喧嘩したらダメだろ。周りの目もあるんだし」

「そうですよ、ルーナちゃん。今は堪えて」

「ルーナ、今は堪えろ。魔術師対抗戦で叩き潰せばいい話だ」


 すると、ルーナの様子が少し落ち着いたので、抑えていた手を離した。

 そして、ゆっくりとアリスの元へと歩み寄る。


「あんた、覚えてなさいよ。魔術師対抗戦で叩き潰してやるから」

「ふふふっ。それはこっちのセリフですわ。あなたなんかに私が負けるはずありませんわ」


 対峙する2人の闘志がメラメラと燃え上がっているのが見てわかる。


 しばらく見つめ合うルーナとアリス。

 しかし、アリスは何かを思い出したのかハッとした表情をして、ルーナからの視線を外し、俺達の方へと再び顔を向けた。


「私の魔術塾の選抜メンバーを紹介するのをすっかり忘れておりましたわ」


 そう言えば、街で会った時にそんなこと言ってたなと斜め上に視線を向けて思い出す俺。


 その時、聞き覚えのある声が俺の耳を貫いていった。

 それは、俺が記憶の中から消しさろうとしていた人の声。


「翔くん」


 透き通った綺麗な声で呼ばれて、俺は声の方向に視線を向ける。

 そこには、ルーナと同じショートミディアムの黒髪に、透き通った色白の肌と清楚な顔立ちが特徴の女性がいた。


「紗良……」


 俺は、彼女の名前を小声で呟いたまま、真っ直ぐに見つめる。

 彼女も、俺を真っ直ぐに見つめる。


 見つめ合うが何も言葉が浮かばない。

 衝撃と共に、消えかかっていた彼女の存在が再び蘇ってくる。

 俺の胸がキュッと締め付けられる。


 その女の子の名は、東雲 紗良。


 俺の元カノであった。



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