表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/87

魔術塾対抗戦 vol.24


グリズリーと交戦中の狼は、俺達が近づいてきたのを察知して、すぐさまこちらへと向かってきた。


「よし!きたな!」

俺は再びフラムを肩に乗せ、狼との距離を近づけていく。そして、狼との距離がおよそ1メートル程に近づいた瞬間に俺は、回れ右をして再び逃げる態勢をとった。


「翔太!また逃げんのかよ!さっきの意気込みはどこいったんだよ!」

「フラム、これは逃げじゃない。俺に良い考えがあんだよ!」

「ほんとにー?信用できないなー」

「任せとけって!まあ、成功できるか分かんねぇけどな!」


俺は、逃げた時と同様に足元に向けて杖を向け、数秒目を瞑りイメージを形成。そして、魔術を発動させる。

「術式を構築!術式解放!我にスピードを与えよ!」

足に推進力がかかり、走るスピードが上昇していく。スピード上昇と共に狼の追いかけるスピードも速くなる。逃げる俺と追いかける狼。その間の距離は1メートル程を保ち続けている。


「フラム!火は出せるか?」

「当たり前だぜ!俺をなめてんのかよ、翔太!」

「悪りぃ悪りぃ。お前は最強の炎龍だもんな!よし!じゃあ、俺達が逃げている経路に小刻みな間隔で火を放ってくれないか?」

「おう!任せて!」


フラムは、俺の肩に乗りながら狼の方へと振り向き小刻みに焚き火ほどの火をどんどん放っていく。狼はその火をサラリと交わしながら、こちらを追いかけてくる。未だに距離は一定のままだ。俺は、腕時計を見ながら、フラムに火を放ち続けさせる。


「フラム!残り10秒だ!頑張れ!」

「あったりまえだ!炎龍なめんな!」

俺は、腕時計の秒針とにらめっこし、心の中でカウントダウンを始める。


(5……4……3……2……1……0!よし、今だ!)

俺は、足元に杖を向けて、スピード上昇の魔術を止めた。そして、走るのを止め狼の方を振り向く。1メートル程先に狼が獲物を狩るような目でこちらを見ている。


「よし!第1ステップは成功した!」

俺はニヤリと笑みを浮かべた。

「翔太、何が成功したんだ?」

「それは、狼の足を見たらわかるよ」

フラムは、狼の四足に視線を向けると、狼の四足は小刻みに震えており、立っているのもやっとといった疲弊した状態だった。


俺はすぐさま杖を狼の方へと向けて、再び目を瞑りイメージを形成する。そして、イメージ形成がピークに達した瞬間、目を見開き魔術を発動させる。


「術式を構築……術式解放!貧火よ、猛火と化せ!」

魔術が発動された途端、フラムが放ってきた小さな火は次々と繋がっていき、猛火となって狼に直撃した。

猛火が狼を包み込み一瞬のうちに塵となって消え去っていった。


俺は、狼が消え行くのを確認できたと同時に、地面に膝まづいた。どうやら魔術発動により体力を一気に消耗してしまったようだ。すると、肩に乗っているフラムが楽しそうに肩の上で飛び跳ねていた。


「翔太ーー!!やったーー!!倒したよ!!」

「そっ、そうだな」

「もう疲れてる場合じゃないだろ!しかし、翔太本気出したら凄いんだな!」

フラムの飛び跳ねる勢いが激しくなり、翼が顔の側面をかすめていく。そのせいで俺の顔の半分は擦り傷だらけになっていく。俺は、とっさにフラムの頭を掴んで飛び跳ねるのを抑え込む。


「おい!やめろ!フラム!俺の顔が傷だらけになんだろが!」

「えーー!別に良いじゃん!大した顔じゃないんだから!てか、翔太!どうやって考えたの?あの作戦」

俺は、フラムの質問の前の言葉に思わずムッとする。


「大した顔じゃねえってどういことだよ!まあ、いい、教えてやるよ。狼は、狩りの行う時、時速70kmで20分間獲物を追いかけ回す事が出来るんだ。」

「へー、翔太って狼に詳しいんだね」

「いや、たまたま子供の頃に読んでた動物の本に書かれてたの思い出してね。それで、時速70kmで俺達が逃げ回る事で、狼を同じスピードで追いかけさせるってこと。そして、20分間追いかけ続けた狼は疲弊して動けなくなるってわけ」

「うわぁー!今回は本当にすげぇー!けど、どうして俺の火をあんな使い方したんだー?」

「そりゃあお前の火が貧弱だから、その火をいっぱい集めたら猛火になるかなって思っただけだ。」

「おい!翔太!!貧弱な火になんのも、お前が魔術師として未熟だからだろうが!!コンニャローー!!」


フラムは、掴んでいた俺の手の甲に、鋭い爪を立てて引っ掻き始める。あまりの痛みに思わず悲鳴をあげてしまう俺。相当ムカついたのか引っ掻くのを辞めないフラム。


そんなやり取りを繰り広げている時であった。辺りの景色は一変し、薄暗い冷たい空間が俺達を取り囲んでいったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ