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魔術塾対抗戦 vol.23

「ん……」

誰かに頬を軽くパチパチと叩かれている感覚がして、俺はゆっくりと目を開けた。俺の目の前には心配そうに見つめるレイスがいた。


「翔太、大丈夫?」

「おっ、おう。大丈夫だ」

俺は、体をゆっくりと起こした。そして、隣を見るとフラムが目をグルグルさせて気絶していた。


「フラム!大丈夫かよ!」

俺はフラムの身体を揺さぶる。しかし、まだフラムは気絶したままだった。俺は、今度は思いっきり左右にフラムの身体を揺さぶった。すると、フラムはハッと驚いた表情をして目を覚ました。


「なになに、翔太!地震でも起きたの!ねぇ!」

フラムは辺りをキョロキョロと見渡していた。

「地震じゃねーよ!俺が揺さぶっただけだよ!」

「なんだよ!紛らわしいなー!それで、いったい何があったんだ?」

「いや、俺にも分かんねぇ」

俺とフラムはキョトンした表情をして見つめ合い、首を傾げた。すると、目の前にいたレイスが大きなため息を1つして、呆れた表情をしていた。理由が分からず俺はレイスに問いかける。


「レイス、何か知ってんのか?」

「知ってるも何も2人とも本当にバカだよね」

「誰がバカだ!!」

俺とフラムは、声を合わせてレイスに反論した。


「はいはい。そういうネタいらないから。あのね、さっきあの狼から逃げてたでしょ?その時に、翔太とフラム顔見合わせたまま前見てなかったから、僕の使い魔のグリズリーに衝突して、その衝撃で気絶しちゃったわけ。どうして、前見ないのかな?これぐらい常識でしょ」

あのレイスに説教をされ、ぐうの音も出ない俺とフラム。思わず2人とも正座をして、すいませんとぺこりと頭を下げる。


「それでレイス。あの狼は今どうなってるんだ?」

「あー、僕のグリズリーが相手してるとこだよ。僕の対戦相手のキラーラビットと狼の2匹を相手にしてる状況だよ。もうやめてよねー、ほんと。せっかくキラーラビットを懲らしめる寸前まできてたのに」

「それは……どうも、すいません」

俺とフラムは頭をポリポリと掻きながら、申し訳なさそうな表情をする。


「まあ、とにかく早く狼倒してよ、翔太」

「けど、グリズリーが相手してんだろ。じゃあ、大丈夫じゃん!」

「何も良くないよ!さすがに2対1はきついよ!それに、翔太の相手でしょ!責任持ってよ!」

「それは……」

レイスの言葉に思わず口を噤んでしまう。レイスの言っている事は正しい。しかし、自分の実力では倒す事ができない。自分の実力と責任感の無さに唇を強く噛みしめる。すると、レイスは俺の表情を見て、優しく微笑んだ。


「翔太、やっぱり悔しいんじゃん!その悔しさがあるなら、きっとあの狼に勝てるよ!それにセバスを見返すんでしょ!なら尚更、戦わないとね!」

レイスは俺の右肩を軽く叩いた。それと同時に俺の目から涙が溢れていた。俺は右手に持っていた魔法の杖をギュッと強く握りしめて立ち上がった。


「レイス、ありがとう。覚悟が決まったよ。俺、何が何でもあいつを倒す」

「それでいいんだよ。あっ、そうだ。翔太に良い事教えてあげるよ」

「何だ?」

「使い魔の狼の属性の事。あの狼は白い毛並みをしているよね。いわゆる、シルバーウルフ。それに狼は寒冷地域に多く生息する動物。ここまで言ったら分かるよね?狼の属性」

「んー……ごめん、もう一回言って!」

俺の発言に思わずレイスがズッコケる。


「もー。何で分からないんだよー。つまり、狼は氷属性ってこと。そして、翔太の使い魔のフラムは火属性でしょ」

「ってことは、フラムにとってあの狼は相性抜群って事か!」

「そういうことだよ!やっと分かってくれた!」

「おう!サンキューな!レイス!」


俺は、両手で自分の頬を1発叩き気合を入れた。横にいるフラムを見ると、さっきとは違って真剣な表情を浮かべていた。どうやら、フラムもやる気みたいだ。


「行くぞ!フラム!」

「おう!足手まといになるなよ!翔太!」

「お前こそな!」


俺達は、あの狼の元へと全速力で向かっていった。

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