魔術塾対抗戦 vol.16
午後の授業。魔術演習ということでエスタディオへと向かっていた。
午前中の授業は、遅刻のおかげでクラスの奴らや先生まで終始いじられっぱなし。昼休みは、お怒りのルーナに呼び出され、ひたすら反省文を書かされる。今年で23歳の大人が反省文を書くというのは何と情けない事なんだろうと俺は書きながら嘆いていた。おかげで昼飯を食べ損ね、空腹状態。そんな時の魔術演習となると、完全に気持ちはブルーだ。
エスタディオは広大な面積を有しているため、クラスの全員が集まっても、持て余すぐらいであった。
腹の虫がなり、お腹をさすりながら俯向き気味で大きくため息をついた俺を見て、レイスはニヤニヤしていた。
「今日のしょーた、ほんとついてないよねー。あっ。いつもか。」
「1言多いんだよ、お前は…」
「ごめんごめん。」
にっこり微笑んだまま、合掌のポーズをして形式上で謝るレイス。はぁーと俺はもう1度大きなため息をついて、辺りを見回した。
やはり、昨日の険悪なムードは何処へ去っていったようで、みんな明るくおしゃべりをしている。
「なあ、レイス。何でみんな元に戻ってんだ?昨日、あんだけ変な雰囲気になってたのに。」
「あー、そっか!しょーた、遅刻してきたんだもんね。クレアが授業始まる前にみんなを必死に説得してくれたんだよ。クレアは、信頼も厚いから、クレアの説得を聞いてくれて、しょーたを温かく見守る事になったんだよねー。ちゃんとクレアに感謝しなよ!」
「そんな事が…ちゃんと礼言わないとな。」
クラスの友達とおしゃべりをしているクレアを見て、良い友達を持ったなとブルーな気持ちが少し和らいでいった。視線に気づいたのかクレアは、こちらをチラッと見た後すぐに頬を赤く染めて、また元の視線に戻した。
「はーい、みんな集まった?授業始まるよー!」
ルーナが、魔銃を右手で持ち、左の掌でポンポンとさせながらみんなに呼びかける。
ルーナの呼びかけでクラスのおしゃべりが静まる。
「今日は、魔術演習という事で、みんなには召喚術をやってもらいます!」
ルーナの発言に、クラス中から「えー」の嵐。
ルーナもこの反応を予想していたのか、両手をブラーんと下げうなだれていた。
「みんなの気持ちは分かるよ。このクラスのみんなは、召喚術なんて基本だもんねー。けど、パっ…ジャック塾長からのご指名なんだよねーこの授業。それに、しょーたは初めてだしね。遊びの授業だと思って!なんならみんながしょーたのお手本になってくれる?」
ルーナの問いかけに、遊びならとクラスの全員が首を縦に振る。
(遊びの授業って…高3の時の体育の授業思い出すな。)
遊びと聞いて、学生時代の余韻に浸る俺。今も学生だが、一応現実世界では社会人ではあるため、懐かしく感じていた。
「さあ、みんな広がって!召喚術始まるよ!」
ルーナの掛け声と共に、クラスの皆が散り散りに広がっていった。




