魔術塾対抗戦 vol.14
俺は、シャツで汗を拭いながらゆっくりと体を起こした。フゥーとため息をついた時だった。
「ちょっと!あんたいつまで寝てんのよ!」
真横から声が聞こえて、俺は思わず飛び上がってしまった。それと同時にキャッと乙女のような驚き声を発してしまい、顔が真っ赤になる。
恐る恐る横を見ると、ゆるいパーマのあたった髪がキレイで目鼻立ちの整った女の子が、何かの魔術書を見つめながら座っていた。ルーナだ。
「ルーナ…なんでここに?」
「何でって、あんたが気絶したから救護室まで連れてきてあげたんでしょ!」
確かに前にも来たことあるような光景だなと思い首を軽く縦に振った。だが、すぐに疑問が浮かぶ。
「気絶?」
俺は、首を傾げてルーナに問いかける。
「あんた覚えてないの?セバスの魔剣があんたの首筋に当たる直前でバタッと倒れたのよ。セバスも殺すつもりなんて無いから寸止めするに決まってたのにさ。あんた、ほんとに間抜けね、それぐらいで気絶するとか。」
ルーナは、本を見つめたまま淡々と気絶した経緯を語った。
「そっか…。ルーナがここまで運んでくれたんだな。ありがとう。」
俺は、ルーナへの感謝の気持ちを込めて優しく微笑んだ。
「かっ…勘違いしないで!あたしも体調が悪かったから、ついでにあんたを救護室まで連れて来ただけだから!」
ルーナは、恥ずかしかったのか赤くなった顔を魔術書で隠した。
ルーナのこういうリアクションに、不意にカワイイと思ってしまう事はあるが、今の自分にはその感情は浮かんでこなかった。それよりも、あの夢の内容が今の自分にリンクしているのかが気になっていた。そして、何よりもユークリッドが最後に発した言葉。いったい何と俺に向かって言ったのだろうか。
俺は、救護室の仕切りのカーテンをボーッと見つめながらあの夢を思い出していた。
「ちょっと何ボーッとしてるの?」
俺の視界の隅からひょっこりと顔を覗かせたルーナ。不思議そうに俺を見つめるルーナとの距離は数センチ程とかなり近い距離だった。
そのことに気づき、俺は思わずのけぞり、ルーナから少し離れた。
「あっ、いや、考え事してた…」
言葉が詰まる。
だが、ルーナは何を考えていたのかは聞かず、「あっそ。」とだけ言った。俺の様子を察して、そっとしておいてくれたのだろう。
俺自身、深く詮索されると面倒な事になりかねないと考えていたので、ルーナの態度に内心ホッとした。
それに、この夢の正体を理解する事に周りを巻き込んではいけないような気もしていたからだ。
「ねえ。お腹すいた〜。」
ルーナはお腹をスリスリとさすりながら眉をひそめて俺に話しかけた。
「体調悪いのにお腹空くのか?」
「当たり前じゃん!人間の生理現象なんだから!ほら!早く寮に戻るよ!」
「はいはい。」
小さなため息を1つついてから、俺はベッドから抜け出し、ルーナと共に救護室を後にした。




