魔術塾対抗戦 vol.8
ゆっくりと目を開けると、クレアが心配の表情で俺を覗き込むように見つめていた。
「大丈夫ですか!翔太さん!よかったー!死んでしまったのかと思いました…」
クレアが、涙目のままそっと胸をなでおろした。
相当心配してくれていたらしい。
「大丈夫大丈夫!ただの気絶だから!心配してくれてありがとう!」
俺はクレアに優しく微笑みかけた。
「いえいえ!本当にごめんなさい。」
クレアが、両手で俺の右手をぎゅっと握りしめ、さらに顔を近づけてきた。あと数センチで唇と唇が触れるぐらい近くで俺とクレアは見つめ合っていた。
クレアは謝りたい気持ちが大きいためか、顔が近くになっている状況でも何も恥ずかしがる様子がない。
(おいおい、待てよ。こんなに近くはさすがに…キスしちまいそうだ。)
そんな思いを抱いてしまった俺は、自然と数センチの距離を縮めていった。
そして、唇と唇が触れそうになる直前で誰かが大きな声でこちらに呼びかけていた。
「何やってんのよ!しょーーたーー!」
その言葉に思わず、頬を赤く染めながらクレアは顔を遠ざける。
俺も、キスをしようとした自分の行動に頬と耳を真っ赤にしていた。
俺は、壁に激突した時に生じた背中から頭にかけての痛みを感じながらも、何とか重い体を起こして、声のした方向を見た。
そこには、ルーナがしかめっ面でこちらを見ていた。ルーナの頭からは、怒っているのか頭から蒸気が出ているような感じが見えた。
(うっ…何か…あいつ…怒ってる…)
俺は、左手でもみあげを掻きながら、どうすればいいか考えていた。シンプルに土下座して謝るのも何か違うし、堂々としているのもあいつをまた怒らせるだけだし…
「ちょっと、しょーた!イチャイチャしてないで、早く特訓するよ!ルーナちゃんも、お仕置きは後でしてね。」
レイスが、仲介に入った。いつもなら、こういう時のレイスは茶化して火種を大きくするのに、いたって冷静な対処に、俺は面食らった。
俺は謝ろうとレイスに話しかけようとした時、レイスは俺に目配せをした。
その方向を見ると、鬼の形相をしたセバスが今にも襲いかかるかのように魔剣を強く握りしめていた。




