魔術塾対抗戦 vol.7
「あそこに大きな岩設置しました!だいたい、1tぐらい?あの岩を風属性の魔術で上に飛ばそうと思います!」
クレアは腰につけていた鞘から魔剣を抜いた。
クレアの魔剣は、レイピアのようだ。
「術式を構築します…術式解放…ヴェント」
クレアは、レイピアを横一線に振り切る。
すると、凄まじい力の風が大きな岩に直撃し、天高く岩は飛んだいった。
「あーちょっと威力出しすぎちゃいました。今のは、強力な風を横方向に発生させて、大きな岩と地面が接している部分に風を直撃させて、飛ばしたという感じです!飛ばしたというより風の勢いで持ち上げたと言った方が良いかもしれません。」
クレアが俺に丁寧に説明してくれる。
「ありがとう!クレア!丁寧だからすんなり頭に入ってくるよ!」
「いえいえ、そんなことは…」
クレアは、褒められたせいか少し俯き、頬が赤くなっているのを隠す。
「へー。しょーたは、悪い奴だね〜。ルーナの前で堂々と浮気するなんてさ〜。」
レイスがニヤニヤしながら俺の方を見て言う。
俺は、またかと思い、大きなため息をつき、レイスの煽りをスルーした。
レイスは、かまってくれなかったのが寂しかったのか、両手を組んでそっぽを向いた。子供が拗ねた時のようだ。
「そうだ、クレア。さっきの魔術って、確かヴェントだっけ?」
「そうです。風属性の基本魔術です。さっきみたいにモノや人を風の力で浮かばせたり、相手に直撃させて吹き飛ばしたりできます。」
(ん?ヴェント?どっかで聞いたことのあるような…)
俺は、頭をフル回転させて、過去の記憶をたどっていく。
(そうだ!キマイラと戦った時だ!キマイラを吹き飛ばした時に使った魔術!確かヴェントだったはず!けど、あの時は、”あの杖”を使っていたからな…)
俺は、両手を組み、眉をひそめながらその時の情景を思い出していた。
「翔太さん、どうかされましたか?まだ頭が痛みますか?」
クレアが心配そうに俺の方を見つめて言う。
どうやら、眉をひそめているのが、頭痛でしんどいように見えたらしい。
「あっ。ごめんごめん!少し考え事してたんだよ!よし、じゃあ俺もやってみるか!」
俺は杖を右手に持つ。
「じゃあ、岩を下ろしますね。術式を構築…術式解放。風よ止め。」
クレアは鞘に魔剣をおさめた。
すると、大きな岩はゆっくりと降りてきて、元の位置へと戻ってきた。
「じゃあ、翔太さん。さっきの魔術をイメージして発動させてみてください。少し岩を浮かばずだけでいいですから。あと、翔太さんの場合は杖なので、そのまま杖を岩と地面の接地面に向けておくだけで大丈夫ですから。」
クレアは少し前の方の少し離れた場所に移動し、俺の魔術を見守る。
「おけ!ありがとうな、クレア!ほんと分かりやすくて助かる!」
俺は笑顔でクレアに向けて親指を立ててグッドポーズをする。クレアは恥ずかしいのかこちらを向いていないが、小さくグッドポーズを俺に向けてくれた。
「イチャイチャしてないで早くしろ、この無能野郎!さっさとこんな事終わらせて自分の事に集中してたい!」
セバスが俺の方を向いて言う。少しイライラしているのか、壁にもたれているセバスの右足は貧乏ゆすりをしていた。
「悪りぃ、セバス。よし!さっきのイメージだよな…おっけい!これならいける!術式を構築!術式解放!ヴェント!」
杖から勢いよく風が発生する。
しかし、大きな岩は浮かんでいなかった。
(あれー?おかしいな?なんで浮かんでないんだ!)
俺は、クレアに確認しようと思い、クレアの方をみると、クレアは顔を真っ赤にしていた。
下の方をみると、風の力でスカートがめくれていた。
「あっ…クレア、白なんだ。」
思わず口に出してしまっていた。
「もー!翔太さん!見ないでくださーーい!」
クレアは、魔剣を抜き出すと俺の方へ向けて、強烈な風を直撃させた。
俺は、その勢いで吹き飛ばしされ、壁に激突して、気絶したのだった。




