元の世界へ vol.8
「おいおい!俺の実家は、1DKでそんなに広くねーぞ!しかも、親父もいるし…気まずくなりそうじゃん!だから、違うとこにしよ、なあ、ルーナ、違うとこ。」
俺の実家に行かせまいと必死に訴える俺。
「お父さん!ちょうどいいじゃない!会ってみたかったのよねー!こんなしょーたみたいな凡人のお父さん。きっと凡人なんだろうなー。」
全く俺の話に聞く耳を持たないルーナ。さりげなけく俺の親父まで傷つけている発言。
(クッソー!!全然聞いてねぇ、こいつ!俺の家来る気満々かよ!親父に会わすはさすがに…)
額から冷や汗が流れる。汗がルーナの方に滴り落ちる。
「うわ、汗!ほんと汚い!最悪!とにかく早く家行ってゆっくりしたいからタクシー乗るわよ!」
ルーナはそう言うとすぐにタクシーを捕まえ、俺は強制的にタクシーに乗せられる。
運転手に行き先を伝えるのを躊躇している俺に、ルーナは、俺の左頬の傷口を思いっきりつねり続けられ、俺はこれまた強制的に目的地を告げることになってしまった。相変わらずのドS。怪我人対しても容赦しないルーナであった。
そして、とうとう実家の前に着いてしまった。
俺の実家は、どこにでもある普通のアパートだ。
ルーナは、ウキウキした様子。俺は完全にブルーな状態。
「早く行くわよ!案内しなさい!」
ルーナは俺の腕をガッシリ掴み、俺を引きずる。
俺には、もう踏ん張る気力すら残っていない、
「ここ!ここだから!305号室!早く腕離せよ、ルーナ!」
とうとう家の扉の前まで来てしまった。
俺の家は、三階建てのアパートの305号室。角部屋になる。
「早く早く!入りましょ!ほら、開けなさいよ!」
「ルーナ、本当に良いんだな?俺の家で後悔しないよな?」
「何言ってんの、しょーた!私が行くって決めたのよ!女に二言は無いわ!それに何かこういうのワクワクするわ!初めての人の家に行くのって!」
目を輝かせているルーナ。大きな溜め息をつく俺。
(もう仕方ない…なるようになれだ!)
覚悟を決め、俺は扉を開けた。その瞬間。
「フォー!!!我が息子!!しょーた!!!お帰りーーー!!」
そう叫びながら、ものすごい勢いで親父は俺にタックルをかましてきたのだった。




