元の世界へ vol.5
(あっ…やばい…変質者だ。こういう時は無視。)
男に目を合わさず、俺はルーナをお姫様抱っこしてその場を立ち去ろうとした。
「おいおい、どこに行くんだい、翔太くん?」
その男は、俺の方をがっちりと掴んだ。振り払おうとするが、ビクともしない。ものすごい力だ。
「あっ、あの〜?どうして俺の名前を…?」
俺は、その男の顔を見ずに恐る恐る聞いた。
「ん〜?それは、君に興味があるからだよ。」
男の発言に思わず寒気が走る俺。
(やばい!俺目当ての変質者!ガタイが少し良いせいで、昔からオネェに好かれる習性はあったが…まさかこのタイミング…すぐに逃げよう。)
「いっ、いや〜、俺、そういう趣味無いんで…失礼しまっ…」
俺が言いかけた瞬間、男は俺たちを投げ飛ばした。ルーナをかばう形で俺は、公園のコンクリートの壁に打ち付けられた。衝撃で吐血する俺。
「翔太くんは、礼儀がなってないな〜。こんなに興味を持っているのに。人の顔も見ずに逃げ出そうとするなんて…」
男が俺たちの方に向かってくる。
そして、再び俺達の目の前に立ちニヤリと笑みを浮かべて、こちらを見ている。
「お前…いったい何者…なんだ?」
俺は、口の中に残っていた血を吐き出し、男に言う。
すると男は、ただニヤニヤしながら、シャツを脱ぎ上裸になった。男の左胸には、タトゥーのように紋章が刻まれていた。
(キマイラの時と同じ紋章!なんでこの世界に!)
思わず目を見開く俺。
「さあ、翔太くん。我と優雅な時間を過ごそうではないか!」
不敵な笑みを浮かべながら男は黒い妖気に包まれていった。




