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約束 vol.3


部屋の扉を強く叩く音が聞こえる。


「んっ…朝っぱらから誰だよ…」

眠気が取れないまま部屋の扉を開けると、セバス、クレア、そして、とびっきりの笑顔をみせるレイスがそこにはいた。


(ん?なんだこのメンツ。それにレイスのこの表情…めんどくさい予感しかしない。)

俺はすぐさま扉を閉めた。


「翔太ー!どうして扉閉めんの!!」

子供が駄々をこねるような口調のレイス。近所の友達を誘う子供に断られたような感じだ。


「ねぇ?開けないなら、魔術発動させちゃうよ。」

レイスの意地悪そうな声で、俺は、すぐさま扉を開けた。何をしでかすか分からないと感じた、とっさの判断である。


「んで、こんな朝っぱらから何の用ですか?」

俺はめんどくさそうに問いかける。


「あのー…翔太さん、もう夕方ですよ…」

クレアが言いにくそうなトーンで俺に言う。


「へっ……?」

思わずマヌケな顔をしてしまった。その姿に爆笑するレイス。そして、俺を嘲笑うセバス。


「マヌケ。さっさと用意しろ。」

威圧的な態度で俺に言うセバス。登校日初日に魔術戦をした以来、セバスに会ってはいなかったが、やはり俺にはやたらと高圧的な態度をしている。こいつに何かしたのかと思わず自分の行動を振り返るが1つも出てこない。セバスとはあの時が初対面。思いあたる節が1つもない。


「とりあえず、寮の門で待ってるから!早く来てね〜!」

セバスを見つめながら考え込む俺に、レイスがニコニコしながら言い放ち、3人は部屋の前から去っていった。


俺は、着替えを済ませ、寮の門の前で3人と合流した。


「んで、レイス。今からどこ行くんだ?」

「ルーナのお見舞いだよ。ルーナの体調が悪いからって、今日の塾、休校になったんだよね。」

レイスの言葉を聞いて、俺の脳裏にルーナが意識を無くした場面がフラッシュバックされた。


「あれ?翔太さん、塾長に呼ばれて、ルーナちゃんと2人で塾長室に向かってましたよね?」

クレアが不思議そうな表情を浮かべて問いかける。


「あやし〜。翔太、何か隠してるでしょ。」

レイスは興味津々といった表情で俺を見つめる。


(レイスにバレると面倒なことになりそうだな。とりあえず、しらを切るか。)


「いや、べっ、別に何も隠してねぇよ…あれだろ…急に風邪でもひいたんだろ。」

声がうわずる。昔から嘘をつくのが下手くそだった事を話ながら思い出す。


「慌ててんじゃん、しょーた!ますます、怪し〜。ねぇ、教えてよ〜!」

俺の服の袖を掴んで、俺の腕を揺らすレイス。

「だから、何もな…」

俺がレイスに言い返そうとした時、セバスがいきなり俺の胸ぐらをガッチリ掴んできた。


「おい、てめぇ!ルーナに何があった!!」

威圧的な声で俺を責め立てるセバス。


「待て待て!セバス、どうしたんだよ!」

「だって、セバスはー、ルー」

レイスが話を続けようとした瞬間、レイスの頭に拳をいれるセバス。そして、なぜかセバスの顔は真っ赤になっていて、額からは汗が少し吹き出していた。


「ガキは黙ってろ!!」

「誰がガキだ!僕は立派な大人だぞ!やんのか!セバス!」

レイスとセバスがお互いの額をぶつけ合う。ヤンキー映画でいうガン飛ばしのようだか、レイスは童顔なためその迫力は微塵も感じない。むしろ、風邪をした子供が親に額で熱を確認されているように見える。


「2人とも落ち着いてください。」

クレアがアワアワしながら2人をなだめるが、2人ともクレアの言葉に聞く耳を持っていない。無論、俺は面倒な事は避けたいので、2人を無視して歩いている。


そんなカオスなやり取りを道中で繰り広げながら、ようやくルーナの家に到着した4人だった。




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