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ようこそ、魔術塾へ(4)


 教室の扉の前。


 扉を開けば、俺は、新たな自分への第一歩を踏み出すわけだが……。


 心臓の鼓動が尋常じゃないほど早く脈打つ。


「やばいよー、ルーナ、どーしよ。緊張してきたー。転校生ってこんな気持ちだったんだな」

「その面で、乙女みたいな事言ってんじゃないわよ!ほんとキモい。あんた、ほんと頼りないわね!シャキッとしなさい!」


 ルーナの容赦ない言葉が俺の胸に突き刺さる。さっきの恥ずかしそうにしていた顔は、遠くの彼方へ消え去っていたようだ。

 緊張とルーナの言葉で涙目になる。


「もう、そんな顔すんな!さっさと中入るよ」


 ルーナは扉を開き、俺の背中を強く押す。俺はよろけながら教室の中へと入り、クラスを見渡す。

 クラスの1人を除く全員が、真顔でこっちを見ている。もちろん、その1人はレイス。相変わらずのベビーフェイスでニコニコしている。


 俺はルーナと共に、教壇に上がった。


「えーと、今日から、この魔術塾に入塾することになった佐藤 翔太だ。翔太、お前も挨拶しな」


 どこかで見た、青春ドラマの1話目みたいな感じで喋るルーナ。


 先生ぶってるなと思いつつも、頭の中はもうパニック状態だ。


「はっ、初めまして。佐藤 翔太です!みんなからは、よく翔太って呼ばれてます。よろしくお願いします!」


 最初以外、噛まずに言えた〜。


 少しやりきった感を感じる俺。


「ルーナ。質問」


 すると、1人の男子生徒が気だるそうに手を挙げていた。


 爽やかでスッキリとした短髪。髪の色は青色。

 キリッとした目に、細身だが筋肉質の体。

 声も低い。いわゆるイケメンボイスだ。

 レイスとは真逆のクール系男子。


 こいつ、絶対モテモテだろうな。羨ましい。こんな顔に生まれたかったわ。俺はその男のクールな顔をまじまじと見ていた。


「呼び捨てはやめろ!セバス!」

「別にいいじゃん、同いなんだし。てか、そいつが別世界から連れてきたやつ?何か……つまんなさそうな奴だな」


 セバスは、小馬鹿にしたような顔つきで俺を見ると、フッと鼻で笑う。


「おい、セバス!翔太は頼りないし、何の特徴も才能もない、ただの凡人だけど、めちゃめちゃ良い奴なんだぜ!俺の遊びに付き合ってくれるし!」


 すると、何を思ったのか、セバスの斜め前にいたレイスが立ち上がって反論する。そして、俺の方を向くとウインクをしてグットポーズをする。


 最初の言葉、全然フォローになってないなと呆れる俺。

 しかも、レイスの良い奴基準は、一緒に遊んでくれるからという事だけ。

 どんだけ子供なんだよと心の中で呟く。


 馬鹿げたレイスのフォローのおかげで、どうやら、さっきまでの緊張もどこかに飛んだいったようだ。


「おっ!ケンカか良いね〜」

「怒ってるレイス君かわいい〜」

「反論されても、クールにしてるセバス君もカッコイイ〜」


 クラスのみんなが口々に喋り、クラス中が盛り上がり出す。完全に俺の事を忘れて、2人に視線が向いている。


「全員うるさい!セバスとレイスもそのぐらいにしときな!」

「ルーナは、黙ってて!あのな、セバス!よく聞けよ!翔太はなー、ルーナの旦那さんなんだぞ!」


 レイスの衝撃的な発言にクラス全員の視線が俺とルーナに切り替わる。


「違うに決まってんだろうがー!!!」


 俺とルーナは、声を揃えて言い放つ。


 だが、クラスのみんなの興味はもう既に俺達の方に向いていて、ほぼ全員がこちらをニヤニヤしながら見ていた。


「だって、気になったから塾長室の扉の前までこっそりついていったんだよねー。そしたら、翔太がルーナの旦那さんとか塾長が言い出すからビックリしたよ〜」


 レイスが嬉しそうに話し出す。クラス中もザワザワとし出す。


 だが、たった1人、笑みも浮かべず寡黙にこちらを見ている。そう、セバスだ。興味が無いというよりは、キリッとした目が怒りに満ちているように見えた。


 すると、いきなりセバスは立ち上がる。そして、教壇の方に向かうと、俺の面と向かい合う。


「てめぇ、俺と勝負しろ。1対1の魔術戦でな」


 セバスの突然の発言に理解ができない俺。


 すると、クラス全員のテンションが一気に上がっているのがわかった。なぜか、レイスまでテンションが上がっている!


「待て待て。そんないきなり言われても……。それに、俺は、魔術なんて全然扱えないし……」

「言い訳なんてすんじゃねぇ。さっさと表出ろ」


 そう言い残し、セバスは教室を出て行った。クラスのみんなもその後を追う。


 取り残された俺とルーナ。


 なんで、こんなことになるんだよ……。

 まあ、けど、ルーナは認めねぇよな、こんな勝負。


 そう思って、ルーナの方にチラッと目を向けると、ルーナはニヤニヤして俺の方を見ていた。


「おもしろそうじゃん!魔術戦!」

「いや、待てよ。魔術なんて扱った事ないのに勝負なんて出来るわけないだろ」

「つべこべ言わない!ほら、早く行くよ!」


 そう言うと、ルーナは俺の腕を掴み、この世界に連れられてきた時と同様に、無理やり俺を引っ張っていった。


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