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ANTIQUE  作者: OOK&YOK
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出発の日

●登場人物

ANTIQUEの能力者

ココロ…ANTIQUEのリーダーであるゲンムに選ばれた能力者。僅か十四歳の公爵令嬢であるが、能力者達の導き手として成長を続ける。

吉田大地…土のANTIQUEに選ばれた能力者。地球から時空を声仲間となった高校二年生。戦闘の経験はなかったが、旅の中で戦士としての技量を身に着けつつある。

シルバー…鋼のANTIQUEに選ばれた能力者。ココロへの忠誠心が高く剣の腕も良い。自尊心が高く度々大地とぶつかっていたが、旅の中で仲間を信じる気持ちに目覚めつつある。

キイタ…火のANTIQUEに選ばれた能力者。大国ンダライの第二王女であるが引っ込み思案であらゆる面において自分に自信を持つ事ができないでいる。

ガイ…雷のANTIQUEに選ばれた能力者。元々はシルバーの部下であり、剣術や馬術に秀でている。仲間想いだが短絡的で直情型。がさつ、豪快の暴れん坊。


国境の山賊

アリオス…元はガイの部下として副分隊長を務めていた軍人。冷静かつ知識豊富な有能な男。剣の腕も立つが、それ以上に料理の腕前は他の追随を許さない。

ハリス…最年少の山賊。四年前の戦いで兄であるデスターを失っている。


前回までのあらすじ

ココロの発案で無事母国アスビティへと帰る事が決まったアリオス達国境の山賊に対し、キイタは帰国途中にンダライ王国へ立ち寄り、自分の書いた手紙を代行執政官であるポルト・ガスへ渡す事を提案する。その手紙の中には、ココロの願いである四年前の戦争以来帰国できていない戦争難民の捜索と救援を、国を挙げて助成すよう認められていた。キイタの思いやりに感動したアリオスは益々激しく泣き崩れた。しかしキイタはそんな彼らを思う一方で、がさつな山賊達に対する苦手意識を拭い去る事ができなかった。そんな自分が嫌でたまらない、と呟くキイタに、大地は「それは当たり前の事」と理解を示す。そんな二人は、一人兄の墓標を見つめるハリスを見つけた。兄の墓をテリアンドスに残したままアスビティへ帰る事に複雑な感情を抱くハリスの姿を見たキイタは大地にある提案を持ちかける。




 翌朝。夜明け早々の森の中に大地、キイタ、シルバーの姿があった。大地とキイタが見上げる木の幹に、何のつもりかシルバーがよじ登っている。

「あ、もう少し上から切らないと長さが足らない」

 シルバーを見上げていたキイタが小さな声でつぶやくと、それを聞いた大地が大きな声でシルバーに指示を出す。

「シルバー、もっと上だって!」

「え~?」

 シルバーがため息混じりにぼやく。

「まったく、何だって私がこんな事を…」

「なにぃ!?」

「なんでもない!キイタ様、この辺りでいかがでしょう?」

「あの辺からなら、大丈夫かな」

「シルバー、そこでいいって!」

 キイタの小さな声を、いちいち大地が通訳のようにシルバーに伝えた。シルバーは大地の指示に従い腰の剣を抜くと、自分の取りついている大木に巻き付くつるに切りつけた。

「お気を付けください!」

 シルバーは下で待つキイタに向かって言うと、剣を差し出す右腕に力を込めた。つるはすぐに断ち切られ、バサバサと枯葉をまき散らしながら大地とキイタの足元に落ちてきた。

 よく見ればこの一本だけでなく、大地とキイタの周りには大小合わせて十本程のつるが落ちている。

「一体、何をなさるおつもりですか?」

 木から降りて来たシルバーが肩に乗った枯葉を手で払いながらキイタに訊ねた。

「うん…」

 キイタはそう言うだけで、シルバーの問いには答えない。足元に落ちるつるの中から一本を手に取ると、旅の始めから持っていた短剣で切り始めた。

「キイタ様危険です。私がやりましょう」

 シルバーがすぐに申し出る。

「どの程度に?」

「じゃあ、この辺で切って」

 キイタがつるの一か所を指さしてシルバーに示す。

「俺もやろう」

 大地は言うと、キイタの短剣を借りて同じような作業を始めた。

「じゃあ私は付けるものを探してくるから、この長さを全部で八本作っておいてくれる?こっちの一番長いのは切らないで」

 そう言ってキイタは二人を残し、森の奥へと入って行った。

「これは一体何をしているのだ?」

 作業の手を休めないままシルバーが大地に聞いた。大地も慣れない手つきで剣を使い、つるを切りながら笑って言った。

「ンダライの人は、何でも編んじゃうんだね」

「何?」

「あのね…」

 大地はこれからキイタがしようとしている事をシルバーに話し始めた。森では早起きの鳥達が、方々で可愛らしい声を上げ始めていた。



 しばらくの後、森の奥へ行っていたキイタは腰に巻いた前掛けにいっぱいの草花や、木の実を入れて戻って来た。

「あ、おかえり~」

 大地はキイタの顔も見ずに最後の一本を切りながらのんびりと言った。それに対しシルバーはなぜかその脇で直立不動の姿勢でキイタを出迎えた。

「やっぱりこの季節ではあまりお花がなくて…」

 そう言いながらキイタは大地の脇に座り、前掛けに入れたたくさんの品々をその前に広げた。

「キイタ様」

 シルバーが硬い声で呼びかけた。キイタは声もなく「何?」と言った表情でシルバーの顔を見上げる。

「話は大地から聞きました。是非、私にも手伝わせてはいただけないでしょうか?」

 それを聞くとキイタはニッコリと微笑んで言った。

勿論もちろんよ」

「どのようにすれば良いか…」

「座って、教えてあげる」

 戸惑(とまど)っているシルバーにキイタが自分の隣を指し示しながら言う。

 それから一時間ばかり、三人は森の中の小さな草原に車座になって座り作業を続けた。時折、三人の間で楽し気な笑いが起きた。



 目を覚ましたココロは外の空気を吸いに小屋から出た。昨夜のうたげでは大地とキイタが二人がかりで止めるものだから殆どお酒は飲めなかった。不完全燃焼であった代りにお陰で今朝はすっきりと目を覚ます事ができた。

 朝日を浴び、大きく伸びをする。五人目の仲間であるガイを連れ、いよいよ今日はここを出発するのだと言う実感が改めて胸に湧き上がる。

「よしっ」

 我知れずそんな気合の声を発していると、小屋の裏から大地、キイタ、シルバーの三人が連れ立って現れた。

「あ、ココロおはよー」

「おはようございます」

 大地とシルバーが声を掛ける。

「おはよう。朝から三人で何をしているの?」

 ココロがそう(たず)ねると大地とキイタは顔を見合わせて笑いあった。

「キイタ、手を洗って来よう。すぐ朝ご飯だろうから」

「うん」

 ココロの問いに答えぬまま二人が歩き出すと、一人残ったシルバーがココロに声を掛けてきた。

「ココロ様、お話し、と言いますか…少々ご相談が」

「何?」

「今後の彼らの動向につきまして」

「彼らって、アリオス達の事?」

「はい」

「…うん、どんな事?」

 少し考えるような間を開けてココロがシルバーに聞き返す。



 一時間後。食卓には全員が(そろ)い、朝食を終えようとしているところであった。旅立ちを控えている(ため)昨日とは打って変わり簡素かんそな朝食であった。

「ごちそーさまー」

 いち早く食べ終えた大地とキイタは、すぐに二人 (そろ)って席を立ってしまった。

「何慌ててるんだ、あいつ?」 

 マルコが全員分の茶を(そそ)ぎながら不信な声を出す。他の者も部屋を出て行く二人の方を見た。

「アリオス」

 そんな彼らの注意を引き戻すようにココロが声を出した。

「は」

 アリオスがすぐに答える。

「この後の事ですが」

 ココロが少し大人びた声を出す。

「あなた達はすぐに出立ですね?」

「はい、そのつもりでおります。キイタ様に言われた通り、一度ンダライに立ち寄り、本日中には国境の峠までは行きつきたいと…」

「その前に」

 ココロはアリオスの言葉を途中で断ち切るように言った。

「は?」

「この建物の持ち主の所へ寄りなさい。ここは、テリアンドス人の木こりの家ですね?あなた達は剣を抜き、力ずくでこの家に居ついたのでしょう?」

「あ、その…はい」

「アスビティの国民が、他国の者にそのような振る舞いをしたとあっては国の名に傷がつきます。ガイ」

「あ、はい…」

 突然名を呼ばれたガイが少し慌てた様子でココロを見る。

「あなた達が山賊として奪い取った宝は、まだここにあるのですか?」

「まあ、すぐに金には換えられない布地や武器や宝石の類はまだある程度は…金はほとんど置いちゃぁいません」

「なるほど。それではアリオス、それらの宝はすべてここに置いて行きなさい。この四年間、この家を使わせていただいた代金として」

 山賊達は戸惑とまどったように目を見交わした。

「あなた達の旅の費用は後程シルバーから渡します」

「しかし…それでは姫達のお金が…」

「余計な心配はしなくてよい。それより、この家の主には十分にお()びをするように。それに、それだけではない」

「は?」

 アリオスとガイはココロが続けた言葉に下げかけた頭を上げた。

「この先も、その庭先でデスターを守ってもらわなくてはなるまい?」

 ココロがそう言うと、ガイとアリオス、それにそこにいる全員がハっとした表情になり言葉を呑んだ。

 ココロは口元をナプキン代わりの布きれで(ぬぐ)うと椅子から立ち上がった。

「シルバー、馬の用意を。ガイ、出発の前にデスターの墓所ぼしょへ案内してほしい」

「は、はい!」

 ガイとアリオスが弾かれたように立ち上がる。続いて他の者達も立ち上がった。

「皆も共に、デスターに別れを言わなくてはならないでしょう?」

 再び山賊達は言葉を失い、互いに顔を見合わせた。

「ご案内します。兄も、喜ぶと思います」

 いやに冷静な声で言ったのはハリスだった。普段からは想像もつかないまじめな声でそう言うと、ハリスはすぐにココロを案内するように先に立ち出口へ向かった。

 ハリスを案内に立てココロも動き出す。他の者もそれに続いてガタガタと音を立てて小屋の外に向かった。

 シルバーは終始無言のままそんな彼らを見送っていたが、その口元には絶えず静かで優しい笑みが浮かんでいた。



「あれ?大地?」

 ココロを案内してデスターの眠る墓所(ぼしょ)へとやって来たハリスは、その場に立つ大地とキイタに気づいて意外そうな声を出した。

 ココロは一切承知(いっさいしょうち)と言う具合(ぐあい)にハリスを追い越し、デスターの墓の脇に笑いながら立つ大地とキイタのそばに歩み寄って行った。

 怪訝けげんな顔つきで立ち尽くすハリスの後ろからやって来たガイやアリオス達も同じように立ち止まり、ココロの行動の行方を見守った。

 ココロが目の前に立つと、キイタは斜め後ろに控えるように立つ大地を振り向いた。大地がキイタに何かを手渡す。

 キイタが受け取ったそれは、直径二十cm程の小さめのリースであった。器用に編み込まれ、見事な円を作ったつるには色とりどりの草や木の実が美しく飾りつけられていた。

 キイタはもったいぶったような仕草で両手に持ったリースを自分の顔の高さまでかかげた。すると、その動作に答えるようにココロが優雅ゆうがな動きで深々と腰を折った。

 キイタが両手のままココロの顔の前にリースを差し出す。ココロは頭を下げたまま同じくそれを両手で受け取った。

 本来ならばそれに相応ふさわしい場所で行われる作法なのであろう。しかし公国令嬢と王国王女は、朝の日がこぼれる森の中であっても省略する事なく、一定の動きをしていた。高貴な者に敬意を示す、とむらいの作法であった。

 リースを受け取ったココロは優雅な身のこなしで木の枝を突き立てただけの粗末そまつ墓標(ぼひょう)の前にひざまずき、そこに静かにリースをえた。合わせた両手を胸にあて、深く瞑目めいもくする。

 これが、アスビティ公国やンダライ王国に共通した正式な祈りの作法のようであった。特に宗教心など持たない大地であったが、無粋ぶすい旅支度たびじたくの姿であっても、森の中の木の枝一本の粗末(そまつ)墓所ぼしょであっても、ココロのその姿は神々しく大地の目に映った。

 (しばらく祈ったココロは目を開けて立ち上がると、キイタの隣に立った。キイタがそんなココロに次のリースを手渡した。

「ガイ」

 リースを手にしたココロが呼ぶ。呆然ぼうぜんとした顔でガイはココロに近づくと、その前に(ひざ)をついた。ココロの差し出したリースを受け取り立ち上がる。

「これは…」

 手にしたリースに目を落とし、その目をココロに移したガイが問う。

「キイタと大地がね、朝早くから起きて作ったのですって」

「この季節は花が少なくて…。でもリースなら、大丈夫かなと思ったものだから」

 キイタが言いえる。ガイはまだほうけた顔でキイタを見る。

「あ、でもそのひん曲がったのはシルバーが作ったやつね。あの人力はあるけど本当不器用ね」

 大地がガイの持つ少々 ゆがんだリースを指さして言う。

「悪かったな」

 みんなの後ろから現れたシルバーが言いながら大地の横に立つ。

「隊長も…」

 言ったガイだけでなく、他の山賊達も心底驚いた顔をした。

「まあな。しかし、慣れない事はするものではないな。剣の訓練よりも余程よほどつかれた」

 シルバーが照れ臭そうに珍しく笑顔でそんな冗談を言った。

「ガイ」

 ココロがガイをうながす。その声に押されるようにガイはデスターの墓に近づくと、腰を曲げてココロの置いたリースより少し手前に自分のリースをそなえた。

 すぐに体を立てると心持ち頭を下げ、目をつむって右手を胸にあてた。こちらは男性の作法なのか、あるいは戦場にいる戦士達の略式の仕草なのかはわからなかったが、ガイが無言で祈る間、やはりその姿は荘厳そうごんおかしがたい神聖な時間に感じられた。

「アリオス」

「パッキオ」

 ココロとキイタにそれぞれ呼ばれた二人の山賊が前に進み出る。アリオスはココロから、禿げ頭のパッキオはキイタからそれぞれリースを受け取ると、ガイがしたのと同じ作法でデスターに旅立ちの報告をした。

「コスナー」

「ユーリ」

 次の二人も同じように先にった若き戦友に別れの祈りをささげ、身を引いた。

「エミオン」

「マルコ」

 次に呼ばれた二人は一瞬顔を見合わせてから前に出た。受け取ったリースをじっと見る。若い二人はこのような場に参列さんれつした経験がないのだろう、その祈りはやや煩雑はんざつで作法をしっかり身に着けていないのが分かる。

 それでも彼らなりに想いを込めていたのだろう、胸でつぶやいた言葉が自然とエミオンの口からこぼれた。

「デスター…」

 自分の声に驚いたように顔を上げたエミオンは、もう一度マルコを見てから後ろに下がった。

「ハリス」

 最後に残ったハリスの名をココロが静かに呼ぶ。

「これは、あなたから」

 そう言ってココロが差し出したリースは他の誰の物よりも大きかった。キイタが一本だけ切らないでくれと言っていたつるで編まれたリースだった。

 ハリスは一度仲間達の顔を見回した。みんな微笑んでいた。腕組みをして立つガイが笑顔のままあごをしゃくり、「行け」と言う風な仕草を見せた。

 ゆっくりとした足取りでココロに近づきリースを受け取ったハリスは、それを片手で無造作むぞうさにぶら下げると兄の眠る墓を見つめた。風が参列する全員の間を静かに抜けていく。

 ハリスは墓の前まで来ると仲間達の置いたリースの上に特大のリースを置いた。大地とキイタがハリスの両脇に立ち、手に持った山ほどの枯葉をその上から振りいた。

「本当はカステアの葉を()くのが習わしなのだけど、見つけられなかったので…ごめんなさい」

 キイタが静かな声でハリスにびる。

「いえ…十分です」

 ハリスが笑顔を見せて言う。

「シルバー」

 ココロがシルバーの名を呼ぶ。

「は」

 すぐに答えたシルバーは墓標ぼひょうの後ろに回ると腰の剣を抜き、デスターの剣をしばり付けているひもを切った。 

 墓標から外された剣を両手で持つと、ささげるようにしてココロの前へと差し出した。

 デスターの剣を受け取ったココロはそれを持ち、ハリスのそばまで歩み寄った。ハリスは片膝かたひざをつきココロを迎えた。

「兄上の形見は、他にありますか?」

 そう()くココロの顔を見上げたハリスは右腕を上げてココロに見せた。

「この手甲(てっこう)は兄が使っていたものです。私の右手にあった物は兄の腕につけ、持たせました」

「そうですか…。」

 ひざをついて見上げるハリスとその前に立つココロは互いに言葉もなく一瞬見つめ合った。ココロが言う。

「アスビティでは、あの戦いで倒れた隊士の慰霊塔いれいとう霊廟れいびょう建立こんりゅうしました。国に持ち帰られた彼らの遺品は、みなその霊廟れいびょうに収められています」

 ココロは手に持った剣をハリスに差し出す。ハリスは両手でそれを受けた。

「あなたが帰国し、再び公軍の隊士となるかどうかはわかりませんが、もし隊士にならないのであれば一般国民の武器の所有しょゆうは禁止されています。隊士に戻ったとしても、その時は新しい物が支給されるでしょう」

 ハリスは手にした兄の剣からココロの顔に目を移した。

「その剣は国の(ため)に戦った隊士のたましい宿る遺品として霊廟れいびょうに収め、その手甲(てっこう)はあなたの兄デスターとして家に連れて帰りなさい」

 ハリスは恐縮し、頭を深く下げた。それから子供のような笑顔で剣を手で()でながら言った。

「兄貴、良かったなぁ。ずっと帰りたいって言っていたもんなぁ…。さあ一緒に帰ろう。父さんや母さんが待っているアスビティに、一緒に帰ろう」

 まるで生きたデスターに話し掛けるようにそう言った後、ハリスはココロとキイタの顔を見て再び頭を深く下げた。

「この御恩ごおん生涯しょうがい忘れません」

 誰もが黙って頭を下げたまま動かないハリスを見つめていた。

 やがて落ち葉を踏みながらアリオスがハリスに近づくとその横にしゃがみ、若い仲間の肩を叩いた。顔を上げたハリスに微笑みかけた後、アリオスは顔を上げココロを見つめた。

「私からも、お礼を言わせてください」

 アリオスの言葉が合図であったようにパッキオがその場でしゃがむ。それに続いて全員がひざをつき、頭を下げた。

「私共はこれから懐かしい祖国へと向かいます」

 アリオスが静かな声で話し出す。

「ここにお誓いします。我ら国境の山賊一同、例えどこにいようとココロ様、キイタ様の身に災いが及ぼうとする時には、この一命を投げ打ち必ずや参上いたします」

 ココロがキイタと顔を見合わせ微笑み合う。大地もシルバーの顔を見て笑い、それを見たシルバーも笑顔を見せた。

達者たっしゃで」

 ココロがひざまずくく男達に向かいやや声を上げて言った。

「どうか無事母国へ帰りつくよう、祈っています」

 彼らの旅立ちをはげますように一際大きく吹いた風が森の木々をらし、大きな音と共に色鮮いろあざやかな葉を降らせた。






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