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ANTIQUE  作者: OOK&YOK
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買い物

●登場人物

・ココロ…始まりの存在に選ばれANTIQUEの仲間を捜す旅に出た公国の公女。少々 我儘わがままなお転婆てんば娘だが仲間と平和を思う気持ちは誰よりも強い。

・吉田大地…闇のANTIQUEにさらわれた幼馴染おさななじみ)を救い出そうと参戦した地球人。冷静に物事を判断する能力にけている。土の能力を身に着けている。

・シルバー…ココロを補佐する旅のサブリーダー。剣と馬の達人であり常識人。個性的な旅の仲間達をまとめる苦労人。鋼の能力を使いこなす。

・キイタ…敵に誘拐ゆうかいされた姉を捜す為に仲間になった。人見知りで気の弱い少女であるが、自分に宿った火の能力に目覚め最強の戦士として成長を見せる。

・ガイ…元はシルバーの部下でありその信頼は旅の仲間となった今も尚厚い。かつて仲間を守るために左手を失っており、代わりにつけた義手には雷のANTIQUEを宿している。

・アクー…森の中で倒れているところを発見された少年。ほとんどの記憶を失っているが戦闘能力は高くまた非常に冷静。水の能力で戦う。

・ナル…自分の身に宿った能力で人を傷つける事を嫌い長らく身を隠していた。心根が優しい青年だが剣の腕はシルバーも認める。生命の能力を身に着けている。



●前回までのあらすじ

 フェズヴェティノスであるハナとタマの二人と別れた一行は舟に乗るべく西諸国の港町ジスコーへと辿たどり着いていた。しかし馬に慣れないナルがいたためその行程は予定の倍の時間を要してしまった。

 ようやく到着したジスコーの宿でシルバーが早速さっそく舟券ふなけんを買うため出掛けようとすると、アクーも新しい服を購入したいと言い出す。

 アクーの要望を聞き入れたココロ、キイタも一緒に行く事となった。ナルはガイをともない大きな港町であるジスコーにある武器屋を見て回る事にする。失われたカンサルク王第二の武器を見つけ出す事が目的だった。

 はなやかな街並みに興味を持った大地はシルバーと行動を共にすると言い、こうして七人の能力者全員がジスコーの町にり出す事となったのだった。







 仲間達がはなやかなジスコーの町でそれぞれの時を過ごす中、港までやってきた大地とシルバーは乗船券を求める人々と共に列に並んでいた。

「おい大地」

「え?」

「口が開きっぱなしだぞ」

「あ…」

 シルバーの指摘を受け大地は慌てて口に手をやった。

「そんなに驚いたか?」

「うん、まさかあんなでっかい船があるとは思わなかった」

 大地が口を閉じるのも忘れて見上げていたのは、港に停泊ていはくする豪華客船だ。大きさもさることながらその荘厳そうごんで美しい姿に大地は目を奪われていた。

「地球にはああ言うのはないか?」

「いや、あるよ。あるけど、俺から見るとものすごいクラシカルで…。多分、大きさも性能も俺がいた地球のものの方がはるかに優れていると思う。けど、何だろうあの迫力は…。こんなにも綺麗きれい度肝どぎもを抜かれる船なんて、見た事がない…」

 大地はほうけたような声でとめどなく言った。シルバーにと言うよりはまるで独り言を言っているように聞こえた。

「まああれは金持ちの道楽どうらく用だ。切符の値段もべらぼうだな」

「客室に等級はないの?」

 ようやく我に返った大地がたずねた。

「それはあるだろう。一般客室も貨物室もあるはずだ。本当に遊びのためだけにあんな大型船を走らせる訳はないからな」

「だったら三等客室とかだったら何とかなるんじゃないの?」

「もっと安い中型船がある。東諸国あちらにさえ渡れればいいんだ」

「クナスジアに行くんじゃないの?」

 大地がくと、シルバーは首を振った。

「直接クナスジアに向かう航路はない。だが、あちらにさえ渡ってしまえばどこを通ってもクナスジアに着く」

「そうなんだ。じゃあ最初に着く国は?」

「まあ、ミルナダだな」

「ミルナダ…」

「西の玄関口がこのジルタラスなら、東のそれはミルナダと言っていい」

「ここみたいな港町なの?」

 大地が言うとシルバーは再び首を振った。

規模きぼが違う」

「そんなに?」

「ああ」

 東の玄関口ミルナダ。大地はまだ見ぬその大きな国に思いをせた。

「東諸国ってさ、どんな感じ?」

 興味のおもむくまま大地がく。

「どんな?…そうだな、まあ…。とにかくでかいな。すべてがでかい。こちらとはスケールが違う」

 そんな漠然ばくぜんとしたシルバーの言葉に大地は何とも言えない表情で首をかしげた。大地の表情に気が付いたシルバーが苦笑いを浮かべながら言い直す。

「気候はどちらかと言えば西の方が安定しているかもしれないな。それに東は生産性が低い」

「生産性?」

「ああ、何せ裕福だからな、どちらかと言うと輸入で成り立っている」

「なるほど」

「まあ行けばわかるがとにかく人が多い。特にクナスジアには世界中の人間が集まっていると言っていい。クナスジア、ミルナダ、そしてフェスタルド。これら東を牽引けんいんする国々を見れば、ンダライ王国が小国に思えて来るはずだ」

「ンダライが、小国…」

「ああ。とは言え、東にも勿論もちろん小国はある。と言うか今言った三つの国以外は全て小国の集まりだ」

「面積も東の方が大きいんだ?」

「そうだな、圧倒的にでかい。南側は小国の集まりだ。商業用の港町が集まる活気のあるエリア。中央部は三つの大国。そして北へ上ると…」

 シルバーはそこまで言って急に言葉を切った。飽きもせずに大型客船を見上げながらふんふんとシルバーの話しを聞いていた大地は、急に黙り込んだシルバーを不審ふしんに思い顔を向けた。

 シルバーは嫌に真剣な、と言うか少し怒ったような顔をして押し黙っていた。

「シルバー?」

 呼ばれたシルバーはハっとして大地の顔を見た。

「どうしたの?」

「い、いや…。どこまで話しかな?」

「南は港町、中央は大国で北はってとこ」

「ああ、そうか…。北はな、北は…。どちらかと言うと未開の地だ。イシリアル半島、バルポス、アンダライテ、ケリンダスなど少数部族が支配する国とも言えぬ小国が連なり、その先には果てのない荒野、ハドリア国がある」

「へえ…」

 大地はそう言ったもののシルバーの切れのない話し方に少し戸惑とまどっていた。

「何だか、想像もつかないや」

 大地は無理に明るい声を出した。東諸国を語るシルバーはあまり楽しそうではない。

「まあ行って見ればわかるさ」

 大地の声に笑顔を取り戻したシルバーが言った。乗船券を求める人の列は長く、なかなか前に進まなかった。

「なんだかさ」

 しばらくの沈黙の後、大地がポツリと言った。

「ん?」

「いや、気のせいかもしれないけど…。もしかしてココロとキイタは東諸国にコンプレックスを持っていない?」

 それを聞くとシルバーは少し驚いた顔をした。

「いや、何となくそんな感じがしただけだけど」

「そうだな…。お二人には多少そう言うところがあるかもしれない」

 シルバーは改めて大地の観察力に軽い驚きを感じた。しかしそれを隠すようにすぐに言った。

「ココロ様とキイタ様は一国の王女だ。栄えている大国に対して多少 ねたむ思いがあったとしてもおかしくはないだろうな」

「シルバーにはないの?」

「私やガイは特別行動騎馬隊として海外活動を多くしてきた。東諸国にも何度もおもむいている。歴然とした違いは違いとして、それでも何度も見ているとな、栄えているばかりが良い事とも思わないんだ。大きな国には大きな国なりの不幸もある事を、私達は知っている」

「例えば?」

「なかなか一口には言えないな、そう言うものは」

「ふ~ん」

 シルバーがにごす大国の不幸。先程の暗い顔の原因はどうやらその辺にありそうだと大地は思った。

「あ、そう言えばシルバーさ」

「ん?」

 ちち々として進まない行列に退屈しているのか、シルバーは大地のおしゃべりに嫌な顔も見せずに付き合ってくれるようだ。

「ルードイルって国、知ってる?」

「ルードイル?それは確か南方境界線直上に位置する小さな島国ではなかったか?」

「南方?アリオスは東方って言っていたけど…」

「ああ、テリアンドスやアスビティから見れば確かに東方と言えなくもないな。東西どちらにもぞくさない中央列島群の一つだ」

「中央列島群?」

「小さな島国の集まりさ。そう呼ばれている。で、ルードイルがどうした?」

「行った事ある?」

「私はないな。確か五~六年前にガイが派遣団はけんだん随行ずいこうしたはずだが…」

「八年前だよ」

「八年?」

「ガイが入隊して間もない頃って言ってた」

 大地が山賊のあじとでアリオスから聞いた話しを披露ひろうすると、シルバーは何かを思い出すように軽く顔を上に向けた。

「そうか、もうそんなになるのか…」

「でさシルバー、そのルードイルね、そこは通らない?」

「何だ大地、お前ルードイルに興味があるのか?」

「行きたいんだよねえ」

 ガイが食べたと言う鰻重。大地はどうしてもそれを食してみたくてしかたがなかったのだ。

「残念だがジスコーから東諸国に渡るのに中央列島群を経由する事はないな。あの辺りの国は外交には消極的だから近くを通る物資運搬の貨物船があっても寄港きこうする事はまずない」

 シルバーの答えに大地は腰の力が抜けていく感覚を覚えた。

「何だ…通らないのか…」

 目に見えて落胆らくたんした大地の様子ようすにシルバーは驚いた。アリオス達と別れてから一か月以上が経っている。今の大地にとって鰻を食べる事ができないと言う事はそのまま死に直結する程の重大事であった。

「よ、よくわからんが…。生憎あいにくだったな」

 シルバーが見る間に暗いオーラに包まれていく大地をなぐさめようとした時、ようやく乗船券を買う順番が回って来た。



 その頃、失われたカンサルク王第二の武器を探してジスコーの町中を歩き回っていたガイとナルは店の軒下のきしたにしゃがみこんでいた。

「やいタテガミ」

「何だ?ガイ」

「でけえ声でしゃべるんじゃねえよ」

 ガイは周囲の注目を浴びないよう顔を伏せたままボソボソと話した。幸い大通りでにぎわわっている。人通りは多かったがガイの小さな声など行き過ぎる人々は誰一人として気にも留めていなかった。

「全部見たぞ?この町にある武器屋は全部見た。本当に、なかったのか?」

「王の武器か?少なくとも今までのぞいた店の中にゃあなかったな」

「本当にこの町にあるの?」

 壁に立てかけられたタテガミにナルも不安そうな声でたずねる。

「さあなぁ」

「さあなってお前…」

「初めて奴の気を感じてからここに来るまでその感覚は変わってねえ。少なくとも遠のいた感じはしねえよ」

「近づいた感じもしない?」

「目の前にいりゃあそれとすぐわかるとは思うんだがな」

「何とも頼りねえなあ、まったく」

 タテガミの言い分にガイはぼやくと頭をむしった。

「奴はもう、精霊としての存在を失いかけているのかもしれねえな」

「精霊としての存在?」

 タテガミのつぶやきをナルがり返す。

「だってなあ、考えてもみろよナル。三百年だぜ?三百間年眠り続けたら、いい加減自分が何者だったかなんて忘れちまってもおかしかねえだろ?」

「眠っているってなどう言うこった?」

 ガイがくと、タテガミはらしくもない静かな声で語り始めた。

「俺達は自分のつかえるべき者と出会わない限り精霊としての活動はしない。ただ眠っているだけだ。俺はまだいつでもそばにレヴレント達がいたからな、何とか記憶を失わず自分を保っていられたが…。こんな町で武器として使われる事すらない時間を過ごせば、ただの道具に成り下がっちまっても仕方ねえよ」

「じ、じゃあせっかく見つけても武器の中に眠る精霊を目覚めさせる事ができなきゃ、そりゃただの古い武器なだけで、何の役にも立たねえって事か?」

「う~ん、ナルがいりゃあそんな事はねえと思うんだがな」

「僕?」

「ああ。生命のANTIQUEの能力を持ったお前が手に取れば必ず何かしらの反応は示すはずだ。俺が本来の姿を取り戻したようにな」

 タテガミの言葉にガイとナルは顔を見合わせた。

「どうするよ、ナル?」

「え?」

 ガイの問い掛けにナルは逆にき返した。

「武器屋と言う武器屋はもう全部見た。あと一時間もしねえで日も暮れる。今日はここまでにしとくか?」

「うん…」

 何となくそう答えたナルは、はるか屋根越しに空をあおぎ見た。空が紫を溶いたようなオレンジ色に染まっている。

 彼らがジスコーに到着したのが昼頃。冬を迎え日没は早まっている。ガイの言う通り間もなく夜となるだろう。

 ナルは無言のままタテガミを手に取ると左の腰に差した。

「もう少しだけ、回ってみたい」

 わずかに逡巡しゅんじゅんの色を見せたナルだったが、結局そう答えた。

「そうかい。そりゃ構わねえが…」

 言いながらガイが立ち上がる。

「けどもう見てねえ武器屋なんてねえと思うぞ?」

 ナルはそんなガイの顔を振り返り言った。

「そうだけど…。でも、今度はもっと小さな店も気を付けてのぞいてみよう。武器屋だけじゃなく、骨董品店こっとうひんてんとか、道具屋とか…」

「なるほどな。いいだろう、もしかすると売り物にもならず飾りに使われてる事も考えられるしな。行くか?」

「うん、ありがとう」

「いいって事よ」

 二人は笑い合うと、さっきより一層いっそう店先に注意しながら町の中に消えて行った。



 アクーは姿見の前で劇的に不機嫌な顔をしていた。そのすぐ隣で腰をかがめた洋品店の主が冷や汗をかいている。

「お客様のお体ですとこういったものしか用意がございませんで…」

 アクーがマネキンよろしく着せられた服は折り目正しい浅黄色あさぎのズボンとボタンシャツ、その上からは丈がひざ辺りまである上品な上着だった。

 ズボンと同系色で濃い青の縁取りが刺繍ししゅうされている。上流階級のおぼっちゃまと言った風体ふうていであった。

「上着の生地きじはンダライ製ですのでとにかく保温性はずば抜けております。その上素材の柔らかさも当店ではぴか一。暖かく動きやすいと言うお客様の要望に最もかなっているものと…」

 店の主は必死にアクーがそでを通した服の利点りてんまくし立てた。アクーの顔付きを見れば素人でもそれが気に入っていない事がわかる。

「じゃなくて…」

「は?」

 アクーの出した低い声に主人の腰がますます々低くなる。

「僕はもっと大人っぽいのが欲しいの!ほら、あれとか、それとか、そっちのとか!!」

 アクーは急に大声を出すと店内に飾ってあるいくつかの商品を指さして回った。

「しかしお客様、生憎あいにくとサイズが…」

「じゃあ仕立ててよ!」

「そ、それは勿論もちろん喜んでさせてはいただきますが、この時期作成側も注文が殺到さっとうしておりまして…。お渡しまでには一か月ほど頂戴ちょうだいする事になるかと思いますがぁ…」

「い…っ!」

 アクーは絶句した。いくら船の出航を待つと言ってもさすがに一か月はここにはないだろう。アクーの表情は更に不機嫌を通り越して悲哀に満ちたものへと変化していく。

「いいじゃないアクー。とっても似合ってるわよ?」

 買い物に付き合わされているココロが適当な事を言った。

「嘘だよ!こんな子供っぽいの…!」

 そう言ってもう一度鏡の前に立ったアクーは言葉を切った。すぐ隣にアクーの肩に手を置いたキイタが一緒に姿見に写っている。

「嘘なんかじゃないわ」

 キイタが真剣な顔でそっと言った。

「ものすごく似合ってる。色も、デザインも本当に最高」

「えぇ?でも…」

「暖かいでしょ?」

 キイタはアクーの言い分を打ち消すように言葉を続けた。

「う…うん、そりゃあまあ…」

「それにとても柔らかくて、動きやすい」

「まあ、そうね」

 アクーが答えながらそっと鏡に映った自分に目を戻す。そんなアクーの耳元に口を近づけたキイタがささやいた。

「戦いに支障ししょうはない?」

 その質問にアクーはひじひざを曲げ伸ばししてみた。

「も、問題なさそう…」

「最高じゃない!」

 キイタはアクーから顔を離すと晴れやかな顔で叫んだ。

「動きやすい上に暖かくてその上お洒落しゃれ!」

「お、お洒落しゃれ?」

「ええ。これなら東諸国に渡っても全然負けてないわよね?」

 言いながらキイタはココロを振り返る。

「そうね、そう思うわ」

 突然振られたココロは慌ててキイタの意見に賛同した。

「ね?」

 と今度は店の主人の顔を見ながらキイタが言った。問われた主人も慌てたように答えた。

勿論もちろんでございます。何せわざわざ東諸国からお求めに来る方もいる程ですから見劣みおとりなどするはずがございません。そもそも当店のデザイン うんぬん々以前にお客様これ…」

 ココロとキイタの助成じょせいを受けた主人はアクーを納得させる最高の殺し文句を思いついたようだった。

 言葉を途中で切り、勿体もったい振るように長い間を取る。その口からどんな言葉が飛び出すのか、アクーは前のめりになって店主の次の言葉をまった。

「お客様に最高にお似合いです」

「そ…そうかな?」

 アクーは鏡に背中を写してみた。

「そうですとも。服がお洒落しゃれなのは当たり前、要はそのお洒落しゃれな服を着る方こそが大事なのです。お客様はこのお洋服を見事に着こなしていらっしゃる」

「そう?」

 アクーの顔から不機嫌な影が薄れていくのが手に取るようにわかる。

「はぁい、それはそれはお似合いです。お客様のこの美しい髪、そしておめめ。それとこの服の襟元えりもと袖口そでぐちを飾る刺繍ししゅうラインのマッチ感など正にこれはお客様に着ていただくために作られた一着と言って過言かごんではないでしょう!」

過言かごんだよ)

 店主の口から次々と飛び出す賛辞さんじ、いやお世辞せじあきれたココロは声を出さずにつぶやいた。

「まあ確かに収納も多いし、この色なら敵にも見つかりにくいかも…」

「は?敵?」

「ああ、いえいえ何でもないの!」

 アクーの不用意な一言に反応した店主に向かってキイタが慌てて手を振る。

「変じゃない?」

 アクーは不安げな顔でココロを見上げた。ココロがドキッとする程あどけなく、綺麗きれいな瞳だった。

「全然変じゃないって、本当に似合ってるよ」

「本当?」

「よく見てごらんよ」

 ココロは鏡を指さした。アクーは言われるままもう一度写し出される自分の姿をしげしげと見つめた。

「どこか変?」

「あ…いや、まあ…」

「好きな服と似合う服って違うものよ?」

 キイタが追い打ちを掛ける。

「そうそう、趣味だけで似合わない服を買う方が後々悲劇だよお」

 ココロが更に追い込む。

「それは言えるかも…」

「本当に似合う服と出会える事なんてある意味奇跡よ?」

「服がアクーを呼んだのね。これは正に奇跡の出会いだわ」

 とどめはココロとキイタのツープラトンで決まりだ。店主も交え三人からの連続攻撃にご機嫌になったアクーは見事に撃沈げきちんされた。

「じゃあこれください。あ、このまま着ていくので古い服を包んでいただいていいかしら?」

 アクーの返事も聞かずココロが店主に言う。聞くまでもなくアクーは既に反撃する意志を失っていたが。

「毎度ありがとうございます」

 店主がみ手で頭を下げた。












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