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ANTIQUE  作者: OOK&YOK
177/440

ギルザードの旅立ち

●登場人物

・ジュランド…イシリアル半島最大都市であるザシラル領主デンタシリウルの息子。半島統一のため大隊をひきいて遠征の日々を過ごす。

・ギルザード…智の竜と呼ばれるズワルドに作られたエクスヒャニク。その中でも特に優秀な三賢人に数えられる一人。多くの剣士、策士のデータを蓄積ちくせきしており戦場では負け知らずの戦士。

・バルラ…ザシラルに抵抗する最後の都市ガステニア領主の息子。すべての都市がザシラルの傘下に入った事を知り、人知れずザシラルに接触し和平を申し込んだ。

・ディアラ…バルラの弟。あくまでもザシラルに対抗しようと闘う戦士。兄に裏切られ負け戦を強いられる事となった。



●前回までのあらすじ

 次々と周囲の都市を傘下さんかに収めて来たザシラル。その猛攻もうこうあらがおうとする都市は遂に残り二つだけとなった。

 しかしジュランドとギルザードが転戦の日々を送っている間に残った二つの都市、オスロウとガステニアの領主それぞれは秘密裏にザシラルと接触、和平を申し込んでいた。

 永遠の忠誠の証としてオスロウ領主の息子とレーチェを婚姻こんいんさせると言うズワルドに、機械であるレーチェにそんな事はできないと反対するディベロとメトレオだったが、この時代、成人前の結婚は手続きだけで成立し、実際の結婚生活を送る必要はないと言うズワルドの説明に戸惑とまどいながらも納得する。

 一方のガステニアは領主の次男を筆頭とする一部の反ザシラル勢力が抵抗を見せていたものの、その兄であるバルラが弟をだまし、戦場にてち死に、ザシラルに勝利をもたらすよう画策かくさくをしていた。

 同じ話しを父王から聞かされたジュランドもギルザードと同じく勝利が確定している卑劣ひれつな戦いへの参戦を逡巡しゅんじゅんするものの、父王の言葉にはあらがえず不承不承ふしょうぶしょう最後の戦いへとおもむく覚悟を決める。

 ズワルドに洗脳され、半島統一の野望にとらわれた父親にかつての陽気な姿はなかった。アテイルの存在を知らないジュランドは変わってしまった父親をあわれに思うばかりであった。

  ほこり高き若き将軍と、天下に名高い大大将はこうして意に沿わない最後の戦いへと出陣していくのだった。







 パスガリタ攻略からわずかに十日後、ザシラル王の息子ジュランドと大大将だいたいしょうを務めるギルザードは再び戦場にいた。

 しかし、いつの戦いにおいても先陣を切って敵に立ち向かっていたはずのギルザードはザシラル軍本陣から出る事なく、ジュランドと共に椅子に腰かけたまま動かなかった。

 イシリアル半島最後の抵抗勢力ていこうせいりょくであるガステニアとの戦いにのぞんでいた。しかしそれは敵の内通を受けた負けるはずのない戦いであった。

 兄に裏切られたガステニア領主の息子に不信を抱かせぬため戦場に出たジュランドとギルザードの二人であったが、この下らない戦いに自らの指一本すら動かす気はなかった。

 頭からすっぽりと布をかぶりその姿を隠したギルザードは、腰かけたままズワルドとのやり取りを反芻はんすうしていた。



 広い神殿の中では、レーチェにエネルギーを送り込む機械の音だけが小さく響いていた。

卑劣ひれつな…」

 ズワルドからガステニア攻略作戦の全貌ぜんぼうを聞かされたギルザードは思わずつぶやいた。長男はとうにザシラルの軍門に下っていた。

 バルラと言う名のこの領主の息子は血気盛けっきさかんな弟と、彼をしたう一部の反ザシラル派を説得する事は不可能と判断し、秘密裡ひみつりにデンタシリウルに接触したのだ。

 ザシラルの一部として傘下さんかに入るその忠誠の証としてバルラは実の弟の首をザシラルへ差し出したのだった。

 数多くのほこり高き騎士達の記憶を取り込み蓄積しているギルザードはその作戦に強い拒絶反応きょぜつはんのうを起こした。

卑劣ひれつがどおした?」

 ズワルドは悪びれる様子ようすもなく言い返して来た。

「俺だっていつまでもこんなところでくすぶっている気はねえんだよ。こんな作戦はさっさと終わらせて、もっと大規模は人間共の殺し合いを見てえんだ。これ以上王様と呼ばれていい気になっているじじいにへいこらしていられるかってんだ」

 ズワルドの言葉にギルザードは思わず一歩進み出た。ガチャリと音を鳴らしたギルザードに、ズワルドは急に表情をなくした。

「何か気に入らないか?ギルザード。勘違かんちがいするなよ機械人形共が、お前達は我がアテイルの兵隊だ。俺様に逆らう事は絶対にできん」

 ギルザードのみならず、全てのエクスヒャニクにはズワルドの指揮下に入るようプログラミングがされている。間違っても従うべきアテイルを傷つける事がないようリミッターも設定されていた。

 ギルザードがそれ以上動けない事を確認したズワルドは勝ちほこった顔を上げた。

「どうせメロは気位きぐらい高く振舞ふるまって失敗したんだろうよ。如何いかにもあいつらしいミスだ。だが俺は違う。俺様は智の竜だ、そんな下らないミスはしねえ。人間共に取り入って奴らの内部から崩壊ほうかいさせるんだ」

 静かに語るズワルドが、突然自分のこめかみ辺りを指で突きながら大きな声を出した。

「知恵を使えよ知恵をよぉ!」

 ズワルドは神殿の中にいる者達の顔を見まわすとニヤリと笑った。

「それができねえんなら余計な事は考えるな。ただ俺様のために与えられた仕事をこなせ、完璧にな」



「ギルザード」

 自分の名を呼ぶジュランドの声にギルザードは我に返った。すぐ隣で同じように椅子に腰かけていたジュランドが、前方に向けた目線をそのままにたずねてくる。

「お前もこの戦い、不本意ふほんいに思うか?」

 ギルザードも体勢を変えないまま答えた。

「こんなものは戦いではない。ただの茶番だ」

 その言葉にジュランドはひざに置いた両手を強くにぎりしめた。

 その時だった。ジュランド達が本陣として構えた天幕てんまくの中に、兵士の一人が飛び込んで来た。

「敵の一団!こちらへ向かってきます!」

「何!?」

 あわを食ったような報告に、ジュランドは椅子を蹴って立ち上がった。

「バルラ殿!」

 ジュランドが振り向いた先では、一人の男が顔色を失って立っていた。ザシラルへ勝利をもたらすために実の弟を売ったガステニア領主の息子、バルラだった。

 ジュランドは彼のそばけ寄るとはげしく詰め寄った。

「話しが違う!これはどう言う事か!?」

 みつく勢いで言われたバルラは、目に見えて震えながらかろうじてジュランドに言い返した。

「お、弟の作戦と行動経路に間違いはございません。それを食い止められなかったのはそちらの責任でしょう?」

「何!?」

 冷や汗を流しながらも言い返すバルラにジュランドが大声を出す。そんな二人を尻目しりめに無言で立ち上がったギルザードは静かに天幕てんまくを出た。

 彼らの戦場となった荒野が目の前に広がる。空は白く厚い雲におおわれていた。機械であるギルザードには何も感じなかったが、不便な体を持つ人間共にはさぞかし寒く感じられる事だろう。

 ギルザードは本陣前に置かれた別の椅子へ座ると、目の前に広がる荒野をじっと見つめた。

「来ました!!」

 兵士の一人が叫ぶ。見ればはるか前方に砂埃すなぼこりが上がるのが見える。すさまじ勢いでギルザードのいる本陣へ向け突進してくる。

「と、止めろ、止めろー!!」

 隊長の声に本陣の警護をしていた兵士達が一斉いっせいに剣や槍を抜いた。殲滅隊せんめつたいはすぐに馬にまたがると、一直線に迫って来る敵の一団を食い止めようと本陣から出撃していった。

 迫り来る敵にザシラルの兵が襲い掛かる。敵味方双方の一団が乱れ、あっという間に混乱が起こった。

 数でも、武器の質でも勝っているのはザシラルの方だった。それでもガステニアの小隊は強かった。見事なまでの操馬術そうばじゅつで敵を翻弄ほんろうし、一人が十人を引き寄せていた。不利を思わせない戦いぶりであった。

 その混乱の中から抜け出した数騎が戦場を離脱し、尚本陣に向って来る。

「鉄砲隊は?」

 戦いの音に天幕てんまくから飛び出て来たジュランドが兵士にたずねる。ズワルドのもたらす科学力で、ザシラルはプレアーガでは珍しい銃器を大量にしょじしていた。

「自陣から戻ってはおりません!」

 ジュランドに問われた兵士が大声で答える。そうしている間にも戦場を抜け出したわずかな敵は兵士の作り出す人の防壁ぼうへきくぐり迫って来る。

「将軍!お下がりください!」

 兵士がジュランドの体を押し返そうとする。ジュランドは目の前に座る盟友めいゆうギルザードの背中を見た。

 ギルザードは目の前に迫る敵に動揺どうようする事もなく黙って座っていた。

 固い本陣の守りに敵の小隊は次々とその数を減らしていく。それでも倒れた仲間を乗り越え、遂に一騎の馬が本陣内へと突入してきた。

「ギルザード!!」

 ジュランドが思わず叫んだが、それでもギルザードは動かなかった。今更ながらに矢を射かけたが降り注ぐ矢の雨の中、その一騎はひるむ事なくギルザードへ向かって来る。

 ザシラルの兵がり出す槍が馬の体をつらぬいた。その瞬間、騎手は馬の背を蹴り曇った空へと飛びあがった。

 両手で振り上げられた剣が容赦ようしゃなくギルザードの左肩に振り下ろされる。

「ギルザード!!」

 兵士に押しとどめられながらジュランドは叫び、ギルザードへと手を伸ばした。

「うう…」

 苦し気にうめいたのはギルザードに強烈な一撃を与えた敵の方だった。両手から剣がすべり落ち、音を立ててギルザードの足元に転がった。

 両手に尋常じんじょうではないしびれが走ったようだ。敵は自分の震える手を見つめながらその場で力なく両膝りょうひざをついた。

 戦いの音が止んだ。我に返った兵士達が槍を手にギルザードの前にうずくまる敵兵にけ寄ろうとした。

「動くなっ!!」

 叫んだのは攻撃を受けたギルザードだった。その場にいる全員を凍りつかせる程の大声だった。

「ギルザード…」

 驚いたジュランドが思わずつぶやく。そんな声を無視してギルザードは目の前の敵を見た。

 顔を伏せたまままだ両手を震わせるその男は、声を殺して泣いていた。両膝りょうひざをついた地面にボタボタと音を立てて大粒の涙が落ちた。

「何を泣く?」

 ギルザードが静かな声でたずねた。男からの答えはなかった。

「お前が負けたのは私のよろいがお前の剣よりもかたかったからだ。…お前が信頼する兄から裏切られたからだ。そうでなければこのギルザード、首をねられていた事だろう」

 天幕てんまくの中からおびえた顔をしたバルラが出て来た。天下にその名をとどろかかせる大大将だいたいしょうギルザードのすぐ目の前にひざをつく弟の姿に目を見張った。

「私の戦歴の中で、お前程私に肉薄にくはくした者はいない。ほこに思うがよい」

 相変わらず抑揚よくようのない声でギルザードは決死の特攻を掛け敵本陣に一矢を報いた若き英雄をたたえた。

「民が…」

 ギルザードの言葉にも涙を止める事のない男がかすれた声を出した。

「民が、滅ぶ…」

「そうか…。己の敗北よりも、民を思って泣くか」

 そうつぶやいたギルザードは椅子から降りるとそのまま男の前に同じようにひざをついた。

 イシリアル半島一の戦士のこの行動に、敵も味方も見ている全員が驚愕きょうがくの余り声を失った。

宿敵ともよ、そう呼んでよいだろうか?」

 ギルザードのその言葉に、男は初めて顔を上げた。

「案ずるな友よ、お前の民は滅びぬ。ザシラルと言う名の一つの国となり、手を取り合って悠久ゆうきゅうの時を生きるのだ。それはここで捕らえられたお前の部下達も同じ事」

 男は一度後ろを振り返った。自分をこの本陣奥へと送り込むために倒された仲間達の姿が見える。何人かは体の自由を奪われたまままだ殺されずに不安そうな顔でこちらを見ている。

獅子奮迅ししふんじんの活躍…。これからのイシリアルを思えば殺すのは余りにもしい。後の世のためまだまだ大いに働いてもらいたい逸材いつざい達だ」

 抵抗し、捕らえられた部下達は、当然戦勝国であるザシラルで処刑されるはずだと思っていた。

 しかしギルザードは彼らの命を助けると言う。驚いたように見開かれた男の目からは止まる事のない涙が後からあふれそのほほらしていく。

「名を、聞かせてはもらえぬか?」

 問われた男は顔を引きめ背を伸ばすと真っ直ぐにギルザードを見て答えた。

「ガステニア領主、パラミナラが息子ディアラ」

「ディアラ…。お前の戦う力、気高けだかき心、このギルザード全てを記録させていただく」

 顔をおおい隠す布の中から奇妙な音が聞こえる。ギルザードの黄色い単眼たんがんがこの青年をスキャンし、分析ぶんせき、記憶をしているのだ。

 ギルザードは自分のかたわらに落ちる剣を拾うとそれを持ち主であるディアラへと返した。

「私の中で永遠に生き続けろ」

 ディアラはまだ自由の効かない震える両手で、必死に自分の愛刀をにぎり顔の前に立てた。

「パラミナラの息子ディアラよ、忘れるな。お前を裏切った兄上も想いはお前と同じだ。民を想い、民を救うためにこの道を選んだのだ。お前とは違う、この道をな」

 ディアラがギルザードの肩越しに怨敵おんてきジュランドと並んで蒼白そうはくな顔でたたずむ兄の顔を見た。

 一度顔を伏せたディアラが次にギルザードを見た時、そこには晴れやかな笑顔が浮かんでいた。

「あなたと戦えて良かった…」

「私もだ、ディアラ」

 冷たい風が二人の間を吹き抜けていった。ディアラはガクガクと震える剣を必死に止めようとした。

 覚悟を決めた目でギルザードを見つめたディアラが力強く言った。

「民を、頼みます」

「心得た」

 短く答えたギルザードは目にも止まらぬ速さで腰の剣を抜くと、一気にディアラの胸をつらぬいた。

「ぐ…っ」

 ディアラの口から苦し気な声と共に大量の血があふれ出た。後方の部下達が悲痛な叫びをあげる。ディアラは何とか剣を立て続けようと、死をともなって襲い来る痛みに必死にあらがい続けた。

「何も案ずるな、誰も恨むな。ただ真っ直ぐに行けばよい」

 ギルザードのその言葉を聞いたディアラの腕から力が抜けていく。ギルザードは刺した時と同じようにディアラの胸から剣を引き抜くと、それと同時に倒れ掛かる英雄の体を抱きとめた。

「ディアラ!」

 そう叫びながらけ寄って来たのは彼を裏切り、彼を敵に売り渡した兄のバルラだった。

 バルラは泣きながら何度も弟の名を叫び、その体を抱きしめた。しかし、幼い頃から何度も聞いた兄の呼び掛けにディアラが答える事は二度となかった。

「すまん!すまん!」

 真っ赤に血塗られたディアラの口元を必死に手でぬぐいながらバルラの謝罪は続いた。仕方がなかった、これは時代に翻弄ほんろうされた一組の兄弟が遭遇そうぐうした一つの悲劇、ただそれだけの事でしかなかった。

 ディアラの体を兄のバルラに預けたギルザードは静かに立ち上がると剣をさやへと納めた。

 ギルザードに代わって狂ったように泣きじゃくるバルラのかたわらに寄ったのはジュランドだった。

「バルラ殿。お辛いお気持ちは察する。だが、あなたはこれからもまだ戦い続けなければならない。裏切者の名を背負いながらそれでも民のために国を作らねばならない。我らと共に。百年の後までもザシラル王国創建を支えた英雄として弟君の名をのこためにも、立ち止まる事は許されぬのです」

 バルラはジュランドのそんな言葉も聞こえないかのように弟の亡骸なきがらを抱きしめて号泣ごうきゅうしていた。

 立ち上がったジュランドはギルザードの近くへ寄ると、気の毒そうにバルラを見ながら言った。

「手厚く葬ろう」

「それがよいでしょうな」

「彼の部下達もかかえる事にする」

 ギルザードはジュランドへ顔を向けた。

「それでこそガステニアの民はるぎない忠誠を誓う事でしょう」

「ギルザード、私は人心掌握じんしんしょうあくのパフォーマンスをしようと言うのではない。本心からそう考えているのだ」

 心外の想いを隠しもせずジュランドは言った。ギルザードはそんな若き王子の顔をじっと見つめた。

「おめでとうございます、ジュランド将軍。ガステニア攻略は見事に成功。親子の悲願である半島統一の夢は現実のものとなりました。この上は一刻も早く国へ帰り、国家建立こっかこんりゅうの手助けを」

 突然改まった口調で言うギルザードの言葉にジュランドは違和感を覚えた。

「何を言っているギルザード。お前も一緒に帰るのだ」

 ギルザードは無言で振り向くと、遠く見渡せる平地を眺めた。再びズワルドとの会話が記憶回路を刺激する。



 ギルザードは懇願こんがんした。意味のないつまらぬ戦争に出掛けるより、自分もANTIQUEの討伐とうばつに乗り出したいと。

 しかしズワルドはそんなギルザードをあざける、笑いをふくんだ声で言った。

「馬鹿を言うなそんな事ができるか。そんなこたぁ低能な連中に任せておけばいい。そうやって機をいたメロの末路まつろを聞いたのだろう?俺はあいつとは違う。一人こんな地の果てまで来ようと、例え人間相手に下げたくもない頭を下げようと作戦は絶対に成功させる。それが智の竜ズワルド様の戦い方だ」



「王子。このギルザードにしばしの猶予ゆうよをお与えください」

「旅にでも出ると言うのか?この後に及んで我らを見放すと言うか?」

「そんなに大袈裟おおげさなものではありません。追って帰国いたします」

「ギルザード…」

 ガステニアの戦いでは戦場に立つ事はなかった。ギルザードの中にはまだ十分に動けるだけのエネルギーが残っていた。

 使命は果たした。ギルザードは初めて自分一人の意志で行動する事を思い立った。

 それはあらかじめプログラミングされた思考ではなかった。ズワルドの手を離れ、ゴムンガやメロのように心行くまで最強の敵を探し、戦ってみたいと言う抑えきれない衝動にられていた。

 それが自身の中に起こったイレギュラーであり、機能トラブルであり、暴走である事に気づく事はなかった。

 ANTIQUE。この広い世界のどこかにいるであろう本当の敵。自分はか弱い人間をち滅ぼすためにこんな体で生まれて来た訳ではない。

 一体、いつどこで生まれたのか。ギルザードの中に、今まで知る事のなかった思いが渦巻うずまいていた。
















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