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ANTIQUE  作者: OOK&YOK
120/440

それぞれの思惑

●登場人物

・シルバー…鋼のANTIQUEに選ばれた能力者。アスビティ公国公軍で若くして大隊長まで務めた優秀な軍人。融通の利かない堅物だが気持ちは優しい。


・ゴムンガ…アテイル四天王と呼ばれる首領格の一人で「剛の竜」の異名を持つ。人間離れした体格と怪力の持ち主。しかし戦いにおいては冷静で知略に長けた戦士。

・ダキルダ…アテイルの斥候。四天王を補佐する為にプレアーガ全土を飛び回る。旅の当初からココロに纏わりつく厄介な存在。クロノワール曰くアテイルの種族ではないらしいが、その正体は今だ不明。


・ハクザサ…フェズヴェティノス、オウオソの民の中でも特に優秀な戦士で構成された十一騎の一人。唯一白い体を持つ烏天狗で岩石すらも一刀両断にする剣の技量から「イシキリ」と言う異名で呼ばれる。

・アカツキ…同じくオウオソ十一騎の一人。赤茶けた羽毛で覆われている。



●前回までのあらすじ

 ガイはキイタとアクーにアスビティ公国のもう一つの史実を伝える。それは「ソローニーアの乙女」の話しだった。

 三百年前、マウニールの討伐隊がアガスティア国王一家を襲った際に一人レメルグレッタを出ていたアガスティア第一王女エミカは敵国マウニールの兵士を護衛として世界の平和を祈り深い洞窟に入った。

 そこで平和と引き換えに自らの肉体を神に捧げた彼女の行動からその洞窟は悲しみの畔を意味する現地語、ソローニーアと呼ばれるようになった。

 暴れまわるレヴレントがエイクの言う通りアガスティア国王を守ろうとする近衛兵士の霊ならば、ソローニーアに入ったエミカ王女の祈りを成就させる事でその呪いは解ける筈。これこそがガイの語るレヴレントの攻略作戦だった。

 三百年前に死んだ王女を見つけ出し祈りを成就させると言う余りにも奇想天外なガイの発想に呆れ果てたアクーは怒りだすが、僅かでも可能性があるならばやってみるべきだとするキイタの言葉に渋々ソローニーアへ向かう事を承諾するのだった。







「何だと?今何と言った?」

 巨大な山のような背中を見せたまま、アテイル四天王の一人ゴムンガはおさえた声で問い返した。その声音こわねからは読み取れない大きな怒りを感じたダキルダは、一瞬声を詰まらせた。

「ク、クロノワール様からの命令です」

 顔を伏せ、ダキルダは何とかそれだけを言った。重苦しい沈黙が場を支配する。ジルタラス共和国の外れ、ANTIQUE討伐とうばつの為未だに陣を解かずにその到着を待ちわびてきたゴムンガは、ダキルダの持ってきた指令に驚愕きょうがくした。

「この場を退しりぞけと言うか?」

「いえ、陣を解けとおっしゃっている訳ではなく次の指示を待て、と」

「…」

 再びの沈黙の後、ゴムンガが静かに口を開いた。

「理由は?」

「…」

 今度の質問にダキルダの答えは返らなかった。ゴムンガはニヤリと口元をゆがませた。

「兵隊に理由を伝える必要などない、と言う事か?クロノワールめ、何か思い違いをしているな」

「思い違い、でございますか?」

 ダキルダが恐る恐る問い返すとゴムンガはようやく振り返り言った。

小僧こぞう、貴様もよく覚えておけ。我ら四天王に上下などはない。悪知恵の働くズワルドは作戦 参謀さんぼう、実行部隊が俺とメロの二人。そして、状況を見極め適切な指示を出す司令塔がクロノワールだ。我らはそれぞれに得意分野を生かし合理的な戦いを進める為のチームであり、決して上官と部下の関係ではない」

「わ、わかりました、ゴムンガ様」

 誰が相手でもおくする事などないダキルダであったが、どうにもこのゴムンガと言う男は苦手であった。

 見た目の通り粗野で、怪力だけが取り柄の木偶でくぼうならばどうと言う事はなかった。それならば、過去に配下としていたアテイルのエルーランや直情型ちょくじょうがたのメロ、野獣の性質を持ったフェズヴェティノスなどで経験済みだった。

 しかし、このゴムンガと言う男はそんな単純な連中とは違った。理知的りちてきで理論的、慎重しんちょう思考型しこうがたで冷静沈着。

 その上で度を超す体格と、その体を包むよろいごとき盛り上がった筋肉。そんな体の上に乗った顔はまるで鬼そのものと言った形相ぎょうそうだ。大きな口から発せられる地の底から響くような低い声。その全てが圧倒的な迫力を持ってし掛かってくる。

 このミスマッチはどうにも不気味で底の知れない恐怖をダキルダに感じさせた。もしかするとクロノワール以上に恐ろしい男かもしれない、そんな風にも思えた。

「わかったのなら言え。俺はクロノワールの出す指令には絶対的な信頼を置いている。奴が待てと言うのならば従おう。しかし!俺は待ち続けたのだ、俺の予想をくつがえしANTIQUEの連中がテリアンドスへ向かった時でさえ俺はここで待ち続けた!待ち続け、ようやく奴らが手の届く場所に現れた今になっての攻撃待機こうげきたいき命令には、どのような意図いとがあるのか?それを俺様にわかるように説明しろ。貴様の口から出た待機たいき命令など明確な理由がなければ信じる事なぞできはせん」

 上からおおかぶさるように顔を近づけてきたゴムンガからダキルダは体を仰け反らせて身を退いた。

「申し上げます、こ、この指令には、シュベル様が関わっておいでです!」

 我知らずおびえた声で伝えられたダキルダの言葉に、ゴムンガの表情が一瞬で変わった。

「シュベル様だと?」

 身を起こしダキルダから離れたゴムンがつぶやいた。

「はい。実は今、シュベル様はこの地に降りておられます」

「どう言う事だ?」

「は。どうやら自分の意のままにならぬ種族をANTIQUEより先に自らの手で消滅させようとのお考えのご様子」

「意のままにならぬ種族?」

「この地に取り付く悪霊のたぐい、レヴレントの事です」

 ゴムンガの目がダキルダから離れた。何かをはかるようにその瞳は小さくれていた。しかしそうした表情もわずかな時間で消え、ゴムンガは口元に不気味な笑みを浮かべた。

「意のままに、ならぬか…」

 そうつぶやくと再びダキルダに背を向け歩きだした。

「ゴムンガ様?」

 彼の行動の意味をつかみきれないダキルダは戸惑とまどった声をその壁のように広い背中へ掛けた。ゴムンガの歩み去って行く先にはザシラルにいるズワルドから贈られた機械族、エクスヒャニク達が相変わらずガチャガチャと音を立てガラクタのように集まっていた。

 ゴムンガはエクスヒャニク達のいるかたわら)にそびえる巨大な岩山の前まで来ると、おもむろに背中に背負った重々しい剣を抜き放った。

 ダキルダの腕では一抱ひとかかえもありそうなを両手でにぎると、精神を集中したゴムンガの気が高まっていくのが離れた場所にいてもわかった。

 やがて頂点に達したゴムンガの気迫きはくはその体からほとばしり、周囲の空気をビリビリと震わせ始めた。比喩的ひゆてきな表現ではない。事実、彼の足元に転がる小石などは小さな羽虫のようにその体を震わせ、ね回り始めている。

「これは…」

 まずい、ダキルダはそう直感しゴムンガから距離を取ろうと身を退いた。その時だった、ゴムンガが静かに剣を持った両腕を頭上にかかげ始めた。

 ダキルダは目を疑った。さっきまで彼の足元で小さくね回っていた小石達が、ゴムンガが両腕を上げるのに合わせ重力を無視してゆっくりと浮き上がり始めたのだ。

 それと呼応こおうするようにゴムンガの両足が踏みしめる地面がベキベキと音を立ててひび割れ始めた。まるで上から想像を絶する圧力でつぶされているようであった。どう言う理屈なのか、ゴムンガの体がわずかに沈み始めているのだ。

 何が起きているのかはさっぱりわからなかったが、とにかくここにいてはいけないと感じたダキルダは瞬時に自分の体を黒く輝く光の玉で包み込んだ。

 ダキルダが緊急避難きんきゅうかいひの姿勢を取ったその瞬間、ゴムンガが気合いと共に剣をにぎった両腕を右袈裟みぎけさから振り下ろした。

 後方へ振りぬいた剣が起こす突風のような衝撃しょうげきにダキルダの方へ向かってすさまじい勢いで地面がえぐれ始めた。

 砕けた地面が走るように襲い掛かってくる。咄嗟とっさに宙に避難したダキルダはその後の地獄のような光景を上空から見下ろす事になった。

 ゴムンガの一振りが起こした剣圧けんあつにより既に一部のエクスヒャニクの集団が金属の破片はへんに変わっていた。従うべき主君からの突然の攻撃に戸惑とまどうエクスヒャニク達の頭上で不気味な音が響き渡る。

 ゴムンガの狙いは初めからエクスヒャニク達などではなかった。空気を切り裂いた彼の剣は、数千年の時をかけ地上にそびえた巨大な岩山を根元からくずしたのだ。

 絶叫を上げるエクスヒャニク達の上から、瓦礫がれきと化した岩山が容赦ようしゃなく襲い掛かる。機械人間達がなす術もなく巨大な砂煙の中に飲み込まれていく。

 彼らの司令塔とされるクロノワールがつるぎの竜と呼ばれる以上、クロノワールの剣技けんぎは群を抜いていると思われたが、この一撃をの当たりにしたダキルダにとって、知恵と経験、そして山をもくだく剣の腕を持つゴムンガは間違いなくそれ以上の存在だと思えた。正に、ごうの竜と呼ばれるに相応ふさわしい、すさまじいまでの破壊力であった。

 国中に響き渡るような轟音ごうおんと、視界をおお砂埃おお(すなぼこり)がようやく収まった時、巨大な岩山は波にさらわれた砂の城のようにその半分をくずされていた。

 抜き身を片手に下げたままゴムンガはその瓦礫がれきの山に一歩踏み出した。彼の踏む足元には無残むざんに押しつぶされたエクスヒャニク達の残骸ざんがい散見さんけんされた。

 空いた片手で大きな岩を動かしたゴムンガは、その下から両足を失ったエクスヒャニクをつかみだした。まだ頭脳は生きているらしく、目を光らせながらこの突然の暴挙ぼうきょの意味を問いただしていた。

 ゴムンガがそれに答える事はなかったが、その背中からにじみ出る感情をダキルダは嫌と言う程感じた。

(にじ) ゴムンガは怒っているのだ。ANTIQUEへの攻撃を待たされた事になのか、自分達アテイルがシュベルにとって「意のままになる種族」だと言われた事に対してなのか、理由はわからなかったがとにかく彼は怒っていた。

 やり場のないその怒りを目の前の岩山にぶつけた結果が、この大惨事だいさんじと言う訳だ。ダキルダは背中に冷たいものが走るのを感じた。

小僧こぞう!」

「はっ!」

 突然背中越しに呼ばれたダキルダは咄嗟とっさに返事を返していた。

「こいつをズワルドの元へ送れ。新たな兵隊を寄こすように伝えさせるのだ」

「か、かしこまりました…」

 すぐに返事をしたダキルダはゴムンガがゴミのように投げ捨てたエクスヒャニクの元へと舞い降りると、その体を黒い光の玉で包み込んだ。

「聞いたね?ズワルド殿にちゃんと伝えるんだよ?」

 今にも電池が切れそうに明滅めいめつする壊れたエクスヒャニクの目を見ながら、ダキルダは言い聞かせた。すぐに皮肉な笑いを含んだゴムンガの声が飛んでくる。

「急ぐ事はないぞ、当分出番はないだろうからな。その代り、時間をかけてじっくりと戦闘向きの奴らを寄こすように伝えさせろ!」

「だってさ、わかったかい?ちゃんと伝えて、君はその体をザシラルで治してもらうといい。行っておいで」

 ダキルダがそう言って両手を上げると、エクスヒャニクを包み込んだ光の玉は音もなく宙へ浮き上がり、次の瞬間シャボン玉が割れるようにその場から消え去った。

 半壊はんかいしたエクスヒャニクを無事送り出したダキルダは無意識にゴムンガの姿を探した。去って行く彼の大きな背中が少し離れた所に見える。

 恐ろしい男だと改めてダキルダは思った。ズワルドに使いを出すと言う命令は遂行すいこうした。これ以上あの男を追いかけ、更に話し掛ける気にはなれなかった。

 あちこちで押しつぶされ、破壊されたエクスヒャニクがショートを起こし火花を散らしている。そんな阿鼻叫喚あびきょうかんの地獄の真ん中にたたずんだままダキルダは黙って去って行く巨大な背中を見つめ続けた。


  

 突然響き渡った足元の地面をるがす程の大音響に、シルバーは慌てて馬の手綱たづなを引いた。

「何だ!?」

 音源を見定みさだめようと周囲を見回したシルバーであったが、目に見える範囲で特に異変は起きていなかった。そうしている内に正体不明の轟音ごうおんは長い余韻よいんを引きながらやがて消えていった。

「今のは…」

 シルバーはしばらくそのままの姿勢で不安げに周囲を見渡していたが、それ以上何も起こりそうもない事を悟ると一度馬から地面に降り立った。

 足元の地面にじっと目をらす。ある、間違いなくまだ新しい車輪のあとが確認できた。ここに来るまでにももう何度もこのような作業をり返していた。

 シルバーが走る道はココロと大地が消えた現場を離れる程しっかりとしてきていた。そこに残された車輪のあとも薄いながらも消えずに続いている。この分なら見失う事なく二人が行き着いた場所まで追跡ついせきできそうだった。

 胸を支配する不安の中にわずかな希望を見出みいだしたシルバーは、再び馬の背に乗ろうと手綱たづなに手を掛けた。その時、自分の走る道の先、一人の男が立っているのが目に入った。

 シルバーは一度手にした手綱たづなを離すと、軽いため息をついた後その男に向かい道を歩き始めた。相手はややくずした姿勢で腕組みをし、シルバーが近づいて来るのをただ動かずに待っている。

 広い袖口そでぐちしぼった、どこかの国の民族衣装のような恰好かっこうをしている。それに背中に背負った短めの剣。

 それはイーダスタからこのジルタラスにいたる間、散々に自分達を苦しめてきたフェズヴェティノス、オウオソの民であった。

 それも数多あまたいるオウオソの中で唯一の白羽しらばねの姿は見間違みまちがはずもなく、大地を翻弄ほんろうしたイシキリの異名いみょうを持つオウオソ、ハクザサであった。

 シルバーは迷いなくハクザサへ近づきながら手を油断なく剣の柄に充てた。

「やあ」

 声が届く距離まで近づいた時、ハクザサが微笑ほほえみながら言った。それを合図としたようにシルバーは足を止め、周囲に意識を向けた。

「俺の仲間達は手出しはしない、安心していいよ」

 相変わらず腕を組んだままハクザサがシルバーの緊張をほぐすように言った。

「やはり、あきらめてはいなかったか」

 目の前に立つハクザサの目をにらみつけながらシルバーが言うと、ハクザサは一つ小さな笑いをこぼした。

「まああきらめる、って言うのとは少し違うかな?君達の追跡ついせきをアテイルの斥候せっこうとやらに邪魔じゃまされてね。体の小さな…、そう、ダキルダとか言ったかな?」

「ダキルダ…」

「くだらない、まあちょっとした条約みたいなものがあってね。この土地は今アテイル、竜の一族が統括とうかつしているんだ」

 ハクザサの言葉にシルバーは一気に血の気が引くのを感じた。ただでさえ不死身のレヴレントに手を焼いていると言うのに、フェズヴェティノスのみならずあのアテイル一族までこの地にいると言うのか…。

 今より人数が少なかったとは言え、ンダライの首都ハンデルにおいてアテイル四天王の一人メロがひきいる少数部隊を相手に苦戦をいられた記憶が蘇る。

「そんな絶望的な顔をしなさんな」

 ハクザサは眉間みけんしわを寄せながら苦笑いをした。

吉報きっぽうを届けに来たんだ」

 その言葉に今度はシルバーが口をゆがめて笑った。

「フェズヴェティノスのお前が、私に吉報きっぽうだと?」

「そう思うよ?何せ我らが種族のおさであるオヤシロサマは此度こたびの戦から手を引く決断を下された、って話だからね」

「何?」

「だから、我らフェズヴェティノスは地上の覇権はけん争いにはもう関わらないって言ってるんだ」

 それを聞いたシルバーはもう一度笑いを浮かべると言った。

「それを私に信じろと言うのか?」

「それはおたくの好きにしてよ。とにかく我々は地上 征服せいふくの為に人間をあやめるような事はもうしない。とは言うものの、この地上に対し執着しゅうちゃくはある」

「何が言いたい?」

 ハクザサは何だか照れたような笑い声を立てた後、シルバーに顔を向けて静かに続けた。

「人間は変わってしまった…。これからも、どこにあっても、時の流れの中で君達は変わり続けていくだろう。だとしても我らにとって住みやすい世界、それに最も近いのは結局、表向き君達人間がべる世界だ。君達が浮かれてこのうつつの世を支配した気になっているかげで我らは生きさかえる…。要は、今まで通りが一番と思いいたったような次第」

 相変わらず組んだ腕を解かぬままハクザサは言った。戦う意思を微塵みじんも見せようとしない相手に、いつしかシルバーの左手も剣を放していた。

「とは言え、安心はしないでほしい。我々は我々の望む世が作られる事を求め続ける。それを邪魔じゃまだてしようとする者があれば容赦ようしゃなくこれを切り捨てる。それが人間であろうと、竜の一族であろうと…。だから今 渦中かちゅうにいる君達から目を離す事はない。決して、目を離す事はない。我々は君達の敵ではないがさりとて味方でもない…。わかるかな?」

 ハクザサの問い掛けにしかしシルバーが答える事はなかった。正直、理解の範疇はんちゅうを超えていて答えようがなかったのだ。黙ったままのシルバーをしばらく見つめていたハクザサは小さくため息をつくと更に言った。

「まあ、わからないならいいだろう。とにかく今、我らフェズヴェティノスの一族が君達と事を構える必要はなくなったと、まあそう言う訳だ。だが…」

 そこで言葉を切ったハクザサは静かにシルバーの前から身をずらした。移動したハクザサの後ろからもう一人の男が音もなく現れた。同じく、オウオソであった。

 ハクザサとは打って変わり、赤茶がかった黒い羽毛で全身をおおった、たくまい体つきをしたオウオソだ。

「種族の方針はどうあれ、個人的にけじめをつけたい者もいるようでね。こうしてやってきた」

 ハクザサの後ろから現れたオウオソはゆっくりとした足取りで砂利じゃりを踏みながらシルバーの前に進み出た。

「これは我らオウオソ十一騎が一人、アカツキと言う者。アカツキ兄さんはね、鋼の能力者、以前君が倒した我らが同志コクヤの兄として生を受けた者だ」

 ハクザサの言葉を聞いた途端とたん、シルバーは腰を落とし左足を後方に引いた。左手は再び腰の剣をつかんでいた。しかしそれでも目の前のオウオソは両手を下したまま静かにたたずむだけだった。







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