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ANTIQUE  作者: OOK&YOK
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イーダスタを追われて

●登場人物

ANTIQUE

・ココロ…ANTIQUEのリーダー「始原の者」と呼ばれる始まりの存在の能力を身につけたテレパシスト。

・吉田大地…土の能力者。右腕から放つ光で土、石、砂などを自在に操る。

・シルバー…鋼の能力者。体を鋼鉄に変え、更に剣や鎖など武器にも変化させる事ができる。

・キイタ…火の能力者。ANTIQUE一の破壊力と言われる炎を右手から繰り出す。

・ガイ…雷の能力者。義手である左腕から火と並び最強と謳われる雷の力を放つ。

・アクー…水の能力者。水を自在にあやつる他、右手から水でできた武器を生み出す事ができる。


フェズヴェティノス

・ハナ…フェズヴェティノスの首領であるオヤシロサマの孫娘にして次期首領。

・タマ…ハナと共にオヤシロサマに仕えるシキの巫女の一人である少女。その正体は…?

・ヒカル…同じくシキの一人。美しい女の姿をしている。

・クウダン…預言を得意とする牛鬼だが体格に恵まれ肉弾戦も得意。

・オオグチ一族…フェズヴェティノスの中でも最も好戦的な種族。

・オウオソの民…知的で計画的な戦いを繰り広げる戦闘集団。



●前回までのあらすじ

 すっかり破壊はかいし尽くされた儀式会場に取り残されたヤック村の人々にイータンダティルの導師は再び信仰を取り戻すよう説く。しかし一度信仰を失った村人達の心の傷は深くなかなかその声に耳を傾ける事はなかった。

 そんな時、オヤシロサマ信仰の急先鋒であった村の若者ブラドの母親の訴えをきっかけに村の人々は再び古代からの教えであるイータンダティルの下一つとなり、初めからやり直そうと近い合うのだった。

 久しぶりに真の平和を取り戻した村の姿を見た導師は、ココロ達能力者こそ、神がつかわした使者だったのではないかとつぶやくのだった。







「コ、ココロちゃん!ココロちゃん!これ、どこまで走るの!?」

 ココロに手を取られて会場から飛び出したハナは、その足を止めないまま横を走るココロにたずねた。

「え?どこまでって…、そんなのわかんないよ!とにかく走って!あいつらに追いつかれないように!」

「何で?」

「ハナちゃんはあいつらに利用されていたんでしょう?どんなに踊りが好きでもダメ!あんな魔族達に協力なんかしちゃダメ!ハナちゃんの踊りなら、他のどんな所でだって人を幸せにできるんだから!とにかく今は走って!」

「ココロちゃん…」

 三種の魔族の一つであるフェズヴェティノス。その首領であるオヤシロサマの孫に当たるハナは、複雑な思いで汗を飛ばしながら走るココロの横顔を盗み見た。

 走り続けるココロには既に限界が近づいていた。酸素を求め大きく開けた口からは今にも心臓が飛び出してくるのではないかと思えた。

 一緒に走るハナを救う、ただその想い一つだけがココロの足を動かしていた。そんなココロの目に、街道から外れ山へと入っていく一層いっそう暗い細道が映った。

「ハナちゃん、こっち!」

 ココロは突然叫ぶと迷う事なくその細い山道に入っていった。ココロの心情をつかみ切れず戸惑とまどいながらも何故か一緒になって走っていたハナは、ココロの急な行動に慌ててついて行った。

「ココロ様、よい判断です!」

 はるか後方から馬でココロを追っていたシルバーは、ココロが山道へ入っていく後ろ姿を見て思わずつぶやいた。

 もうすぐ追いつける。山の中ならば敵の目を誤魔化ごまかす事ができるかもしれない。仮に戦闘となったとしても、この広い通りで戦うよりもずっと楽な展開になるはずだ。

 ようやくココロとハナが進んだ道に到達したシルバーは、馬の速度を落とす事なく山道をけ登って行った。途中でシルバーに追い抜かれたキイタも続いて同じ道を選ぶ。

「ココロ様ぁ―――――っ!」

 山道に入ってすぐにシルバーが大声でココロの名を呼んだ。

「ココロォ―――!」

 キイタも負けじと叫んだ。その声を聞いたココロは立ち止まろうとして足を取られ暗い山道で派手はでに転倒した。

「きゃあ!ココロちゃん!」

 ハナは慌てて倒れたココロのそばけ寄ると、片膝かたひざをついて手を貸した。

「大丈夫?どっか痛くした?」

「………」

 答えようと口を開けたココロであったが、呼吸が乱れすぎて声にならない。何とか無事である事を伝えようとココロは必死に首を横に振った。

 そんな二人の耳に再びココロの名を呼ぶシルバーの声とけ足で近づく馬のひづめの音が聞こえてきた。

 ココロが顔を上げるとハナもそちらを見ながら静かに立ち上がった。闇の向こうからは未だにシルバーの姿は見えない。

「ココロちゃん」

「な、何?」

 息が乱れたままココロが何とか答える。そんなココロに比べ、同じ距離を走ってきたはずのハナはまったく疲れを見せていない。普段からおどっていたとは言え、汗一つかいていないその姿は異様いようにも思えた。

「どうして私なんか助けようとしたの?」

「だって、そんなの、あ、当たり前じゃない…」

 ハナは何と言っていいかわからず、黙ってしゃがみ込んだままのココロを見下ろしていた。やがてココロが汗だくの顔を上げてハナを見つめた。苦しそうに息をはずませていたが、その顔は笑顔だった。

「私達、友達になれるはずでしょう?」

 笑顔のままココロが言った言葉に、ハナは立っていられない程の衝撃を受けた。その時、突然ココロは立ち上がると大きく手を振り始めた。

「シルバー!!こっち!」

 ぴょんぴょん飛びねながら無邪気な仕草しぐさで仲間に手を振るココロの背中を見つめながら、ハナは二歩、三歩と後ずさっていった。

「とも、だち…?」

「ココロ様―!」

 ようやく山道をけ上がってくるシルバーの姿が見え始めた。

「ココロちゃん…」

 ハナはどんどんココロから離れながら小さくつぶやいた。その声はあまりに小さく、シルバーの救援に歓喜かんきするココロの耳には届かなかった。

「ハナちゃん!もう安心だ、よ…」

 やがてシルバーの後ろにキイタの姿が見えてきた時、ココロは満面の笑顔でハナを振り返った。

「ココロ様!」

「え…?」

 振り返ったココロは笑顔を張り付けたまま固まっていた。目の前で起きている事が咄嗟とっさに理解できなかった。

 そこには無表情にたたずむハナの姿があった。そして彼女を取り囲むように数えきれないオウオソの姿があった。

 ハナが自分を囲む異形いぎょうの者達に恐怖している様子ようすはなかった。そしてオウオソ達もまた、ハナを襲う素振そぶりを見せはしなかった。ハナとオウオソ達は共にただじっと黙ってココロを見つめて立っていた。

 呆然ぼうぜんとその様子を見つめる事しかできないココロの頭上を飛び越え、シルバーが彼らの前に立ちふさがった。

「ココロ!」

 ココロの脇をすり抜けるようにキイタが彼女の前に馬を止める。しかしココロは目の前に立ちふさがる馬など目に入っていないようにハナを見つめ続けていた。

「ハナ、ちゃん?」

 ココロがつぶやいたその時、高い木の上から二つの影が落下してきた。ハナの目の前に降り立ち膝をついた二つの影がゆっくりと身を起こす。

「タマちゃん!ヒカルちゃん!」

 キイタが叫ぶ。見れば共に儀式会場を走り出たシキのタマとヒカルがハナを守るように立ちはだかっていた。

 突然タマがハナを抱きしめるようにその前に出た。ハナのすぐ横にいたオウオソが目にも止まらぬ速さで二人の前に踊り出た。その胸にどこからか射られた一本の矢が突き刺さった。

 シルバーの前にアクーが降り立つ。その手には既に矢をつがえた弓がにぎられ、その照準はぴったりとハナに向けられていた。

「ハナちゃん…」

「ココロ!」

 既に笑顔が消えた表情でココロがフラフラとハナに近づこうとするのを、キイタが必死に呼び止めた。

「ごめんねココロちゃん。私、ココロちゃんの事、倒さないといけないの」

 オウオソ達の背後に立つハナが笑顔でココロに言った。

「やはりお前もフェズヴェティノスだったんだな!」

 アクーが弓を構えたままハナに向かって叫ぶ。

「どんなつもりか知らんが…」

 黄色の巫女みこヒカルが気怠けだるそうな声で話し始めた。

「あんたらが連れて逃げたこのハナは我らフェズヴェティノスがおさ、オヤシロサマの孫娘…。我らの次期首領だ」

「びっくりしたー?」

 タマが能天気のうてんきな声で聞いてくる。その時シルバーとアクーは、左右の森の中に大きな殺気が集まってきたのを感じ取った。どうやら遅れていたオオグチの一族が追いついたらしい。

 更に後方から地をるがす大きな足音が近づいてくる。単身山をけ上がって来るのは巨体の牛鬼うしおに、クウダンである事は間違いようがなかった。

 シルバーは静かにさやに戻していた剣を抜き放った。地に降りたキイタの右手が赤い炎を上げ始める。

「ココロ、馬に乗って…」

 キイタがそっとつぶやくが、ハナの正体を知り愕然がくぜんとしているココロは答えない。

「ココロ!馬に乗って!」

 もう一度キイタがきびしい声で言うと、ココロはビクリと肩をらした。前方にはシキと無数のオウオソ、左右にはオオグチ、そして後方にクウダンが既に立ちふさがっている。

 三人の戦闘型能力者達は完全に包囲されたこの状況から何とか無事にココロだけでも脱出させる方法はないものかと必死に考えていた。

「勝負をつけよう」

 一人のオウオソが静かにつぶやき、一歩前に進み出る。その時、新たなひづめの音が闇夜に響き渡った。

 山道をけ上がってくるのは大地とガイだ。全員が一瞬そちらに目線を向ける。

「うおおおおおおおおおおおっ」

 一気に間合いを詰めたガイは雄叫おたけびを上げながら躊躇ためらう事なく目の前のクウダンに馬ごと体当たりをした。

「うおっ!?」

 驚いたクウダンは両手で迫りくる馬を受け止めたものの、勢い余って地に尻をついた。馬から飛び降りたガイはすぐさま振り向くと、クウダンの背中に飛びついた。

 恐るべき怪力で馬を投げ飛ばしたクウダンは、背中に取りついたガイを振りほどこうと立ち上がり暴れ狂った。

 ガイが単独クウダンに挑んでいくのに一瞥いちべつすらくれず、大地は勢いのままシルバーの脇までけつけると、馬から飛び降り宙を舞った。その右腕は普段の五倍程の大きさにふくれ上がっている。

 クウダンに飛び掛かったガイは相手の長い髪をつかみ、まるでロデオのように暴れまわるクウダンの背中から振り落とされまいとしがみついていた。

「テテメコォ!」

「ウナジュウ!!」

 大地とガイが同時に叫ぶ。大地の右腕が地面を叩くと、ハナ達の立っている地面に大きな亀裂きれつが走る。それと同時に、彼らの目をくらませるはげしい光とクウダンの絶叫が響き渡った。

「ハナちゃん!」

 足元がくずれていく中、タマが叫びながらハナの体を抱え天高く舞い上がった。素早く飛び上がっていたオウオソが空中で二人の体を抱える。

「走れ!」

 瞬時に状況を把握はあくしたシルバーとアクーが同時に叫ぶ。

「ココロ!」

 キイタの声にココロは迷わず馬に呼び乗ると、地に残ったキイタに向けて手を伸ばす。

「キイタ!」

 キイタは急いでココロの手をつかむと馬の上に飛び乗った。二人の乗った馬がいち早く戦場を離脱していく。その後を追うようにアクーが高く跳躍ちょうやくした。

「ガイ!」

 未だにクウダンにしがみつき電流を流し続けるガイを振り返りながら大地が叫ぶ。

「先に行けぇ!」

 オオグチならば一撃でその動きを止める事のできたガイの電流を食らいながら、クウダンは未だ暴れまわっている。

「何て力だ…」

 ガイは歯を食いしばりながら必死にクウダンにしがみついていた。



 能力者達の目の前に続く道にはオウオソの一団が立ちふさがっていがそこはたった今大地の能力によって破壊されてしまった。

 ココロは咄嗟とっさにオオグチ達が待ち構える左の森に向かって馬を走らせた。しかし木の上にいたオオグチ達はれる地面に翻弄ほんろうされココロの進行を食い止める事ができずにいる。

 やがてたがやされたように柔らかくなった地面に立っていられなくなった大木達が次々に倒れ始める。倒れ掛かる大木は空中へ避難ひなんしたオウオソ達にも容赦ようしゃなく襲い掛かった。

「大地!」

 シルバーが大地の馬の手綱たづなを取って叫ぶ。大地は馬の背によじ登ると後ろも見ずにココロ達が向かった方へ走り始めた。シルバーもすぐに後を追う。

「いい加減にくたばりやがれ!」

 ガイがクウダンに向かって叫ぶ。その瞬間、二人の体が今まで以上の光を放った。ようやくクウダンが動きを止めた。

 くずれ落ちるクウダンの背から飛び降りたガイは周囲を見回した。馬がいない。今の騒ぎに恐れをなして逃げ出してしまったのか。

「ちっ!」

 一つ舌打ちをしたガイは、そのまま仲間を追って森に入って行った。



「おーおーおーおー、こりゃぁすごいや」

 オウオソに抱きかかえられたまま上空から崩れていく森を見ていたハナが驚きの声を出す。

「もー、ハナちゃん暢気のんきなんだからぁ!」

 共に飛んでいたタマが怒ったような声を出す。

「あ、いたいた!ココロちゃんとキイタちゃんだ!」

 見れば森を抜け、広大な平地を走る一頭の馬が眼下に見える。

「やれやれぇー、もぉ~!」

 ため息交じりに叫ぶとタマは自分を抱えるオウオソの手を振りほどき、地面に向かって飛び降りて行った。



 突如とつじょ目の前に降り立つ影に、ココロは強く馬の手綱たづなを引いた。目の前でゆっくりと立ち上がるのは白の巫女、タマであった。

「タマちゃん!」

 キイタが叫ぶ。タマは顔だけを二人に向けると、にっこりと笑って言った。

「ごめんね二人とも―。私、二人を殺さなきゃいけないのー。だって私、フェズヴェティノスなんだもん」

 顔は笑っていたが、額に寄るしわは泣きだしそうにも見えた。笑顔のまま体を向けたタマの両手には巨大な鉤爪かぎづめが光っていた。その背中に太く毛の長い白い尾が立ち上がる。

「タ、タマちゃん…」

「行っくよぉー?」

 タマが身を丸め、二人に飛び掛かろうとする仕草しぐさを見せた瞬間、タマは何かに気が付きハッと顔を上げるとバネのように後方に跳躍ちょうやくした。タマが飛び退いた場所に立て続けに二本の矢が音を立てて突き刺さる。

「ココロ、キイタ!止まるな!走れ!」

 二人に追いついたアクーがタマに向かって大きくジャンプした。空中で後ろ腰に手を回したアクーはそこから白刃の短剣を抜き取ると、素早い動きでタマに襲い掛かった。

 タマは可憐かれんな少女の姿に似合わぬ身のこなしでアクーが休みなくり出す剣の攻撃をかわし続けた。何度も地をっては上空から攻撃を仕掛けていたアクーは、次の着地で今度は前方に飛んだ。

 一気にタマとの距離を縮めると、その脇腹に短剣をかすめさせた。タマの白い衣装が切れ肌があらわになる。切れた服に目をやったタマの表情が怒りに染まり始める。

「あ~~~~、もう怒ったんだからぁ!」

 振り返ったアクーの目の前でタマの両肩が盛り上がり始める。目はらんらん々と美しい緑色に輝き、全身を長く白い毛がおおい始める。

 頭頂部とうちょうぶとがった耳が立ち上がり、顔の半分が裂けたと思えるほどに赤く開いた大きな口から無数の鋭い歯がのぞいた。

「ANTIQUEなんか、やっつけちゃうんだからね!」

 身もこおるような姿になっても声と口調は変わらずアイドルのタマのままであった。それが尚更なおさらに恐ろしく感じられた。

「シャー!」

 甲高かんだかい空気のれるような音と共に牙をき出したタマがアクーに襲い掛かる。後ろへ飛び退すさってこの第一撃をかわしたアクーはタマに背を向け、ココロ達を追ってけ出した。

「ギャー!」

 獣丸出しの雄叫おたけびを上げたタマもこれを追って走り出す。



「お、いた!」

 馬を失くしたまま先に行った仲間を追って一人走り続けていたガイは、森を抜けた所でたたずむ一頭の馬を見つけた。慌ててけ寄ると興奮した馬をなだめ、その背にまたがる。

「さあて、とっとと追いつかなけりゃ…」

 そうつぶやいて走り出したガイは、背中で響く大きな音を聞いた。大地の能力で木々が倒れていくのとは明らかに違う音であった。

 何かと見れば、大木が宙に舞っているのが見えた。

「何だありゃぁ?」

 倒れているのではない、何者かの力によって巨木が宙に放り投げられているのだ。一度馬を止め振り返ったガイは、次々と大木をね上げる力の正体を見極めようと森の方を見つめた。

 やがてそこに、まだ体中から白い煙をき上げたクウダンが現れた。

「うそ…」

 ガイは思わずつぶやいた。ガイの渾身こんしんの電撃を食らったはずのクウダンは死んではいなかった。大きく息を弾ませ、その足取りはふらついてはいたが、目はしっかりとガイをにらみつけていた。

「おいおい、まじかよ。自信なくなってくんなあ、もお」

 クウダンの迫力に押されたガイは、そのまま背を向けると思い切り馬の腹をった。



「大地!止まるな!そのまま走り続けろ!」

 シルバーの必死の助言に答える余裕もなく大地は馬を走らせ続けていた。背後からは多くのオウオソ達が追ってきているのがわかる。そろそろ大地の攻撃から立ち直ったオオグチの一族もこの追撃ついげきに加わってくるだろう。

 しかし、森を抜けてから馬を操るのがとても難しくなっている事を大地は感じていた。足元がしっかりとしていない、何かひづめを取られるような感触が続いていた。

 落馬の恐怖にえながら走る大地の口から白い息が吐き出される。操馬そうばに気を取られ気が付かなかったが、今走っているこの場所はかなり寒いようであった。

 それでも、手に負えない程の集団で追ってくる敵の気配に、言われるまでもなく止まっている余裕などはなかった。戦うにしてももう少し敵を引き離し、敵の数を減らしたかった。

 他の能力者達も大地と同じ事を考えていた。今、森を抜け夜明け前の広大な大地をける自分達は、あまりにも離れすぎてしまっている。せめて六人が一つ所に集結してから敵を迎え撃ちたかった。

 しかし、大軍で追ってくるフェズヴェティノスを前に、なかなかその余裕がを見つけ出す事ができずにいた。今はとにかく走るしかない、どこかできっと集まる機会があるはずだ。みんなそう信じながらただひたすらに限りなく続く平地を走り続けた。






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