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貴女の存在がかわいくて、私はただただ見とれてます。  作者: あんもち
必然デスティーノ
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Thinking of you with love at Christmas.

移動しているときも演技の練習をしているときも仕事をしているときも、私は一瞬たりとも香奈のことを忘れたことはない。どれだけ難しい役に成りきっている時すら、香奈のことを忘れたりはしない。

恋愛系の役の際は、前にいる俳優さんを香奈だと思っていつも演技をしている。ホラー系の際は、香奈に甘えるような素振りで役をしている。

私の役の大半は、香奈と接していることを想像しながら、いつも仕事をしている。「アリスって子、絶対俺のこと好きだって」と言っていた俳優さんには申し訳ないです。


「ごめんねアリスちゃん。クリスマスだと言うのに、私のせいで遅くなっちゃって。」


楽屋で身支度を整える私に、先輩は手を合わせて深々と頭を下げていた。先輩とはよく共演しており、一番仲の良い先輩だと私は思っている。勝手な考えだが。


「あ、いやその。先輩のせいじゃないですよ。私こそすみません。ミスばっかで迷惑をかけてしまい。」


身支度を止めて立ち上がった私は、先輩同様、深く頭を下げた。今日はクリスマスで香奈とのデート。早く終わらして香奈に会いたい気持ちが、逆に私を焦らした。結果、私はいつも以上にミスを犯してしまった。


「ちょっと考え事をしていまして…。本当にすみません。」

「アリスちゃんはいつもミスほとんど無いから、監督も気にしていないよ。私の場合はあれだけどね。」


「あはは」と先輩は苦笑いをすると、いつもと同じように私にあめ玉を一つくれた。先輩は仲の良い方々には撮影終了後、いつもこうしてあめ玉をくれるのだ。


ーあ、レモン味。ー


私のあまり好きではない味であったが、「ありがとうございます」と笑みを返しつつ、バレぬようポケットに入れた。勿論偽りの笑顔だが。


「いいよいいよ。でも、今は食べない方がいいかも。もう六時だし…。そうだ、アリスちゃん。これから食事でも…。」

「すみません。今日は先客がいまして。」


先輩直々のお誘いは嬉しいが、今日は私を待ってくれている人がいる。その人をほっておくにはいかないわけだ。


「先客って、この前携帯のロック画面にしていた子?ショートボブに赤眼鏡が似合う。」


先輩の問いに「そうです。」と返すと、楽屋に壁にある時計に一瞬目をやる。先輩の言うとおり、時刻はもう六時を余裕で越していた。集合時間は六時と言ったばかりにだ。


ーメールでも入れようかしら。きっと心配しているだろうし…。でも、鞄の奥に閉まってあるもんな、携帯。ー


隙を見て携帯を取っても構わなかったのだが、先輩の嵐のような質問攻めの前には無謀とも言える行為だ。


「それで、今日はどんな事する予定なの?ショッピング?お食事?それとも…。」

「今日はあの子と食事して、適当なビデオ借りて、夜同じベットで寝泊まりするんですよ。二ヶ月ぶりにゆっくりと遊べるんですよぉ。」


これ以上先輩が暴走しないためにも、私は嘘偽りなく全て話した。ただ先輩の暴走を止める理由は特になく、実際は早く話を切り上げて香奈の元に向かいたい一心である。ごめんなさい、先輩。


「青春だねぇ。いいなぁ、アリスちゃんは若くて。」

「先輩、まだ二十歳で何を言っているんですか。凄いお年寄りのようなこと言ってますが。」

「いやいや、二十歳過ぎれば人間なんて老いていく一方よ。私も青春一八切符で旅にでも行きたかったなぁ。」


先輩は私と同じ歳の頃の人気女優。以前ほど仕事はないと先輩は話していたが、それでも、私の仕事の量よりも多い。

そのため、学校生活もろくに周りと馴染めず、友達も殆どいないと先輩のマネージャーから聞いたことがある。

こういった話を本人は一切話さないが、話さなくともわかってしまうのだ。たまに見せる寂しそうな顔がその証拠である。


「…あのせんぱ…。」

「っもぉやってやれないっての。毎日毎日人に囲まれたり仕事したり。私はまだ二十歳だっての。友達とショッピング行ったり食事にだって行きたい歳だっての。」


先輩の急な怒鳴り声が楽屋に響くと、楽屋前をたまたま通ったいた人たちの足がピタリと止む。そこまで響いたのかと思うも、その数秒後にはパタパタと音が戻ってきた。


「せ、先輩?急に大きな声出して、一体何があったって…。」


ふと目を先輩の右手にやると、先輩はその右手で缶ビールを持っていた。

二十歳になってからというもの、先輩は酒好きになってしまい、こうしてアルコール飲料を持ち歩いているらしい。そこまでなら、まだ妥協できたのだが、何しろ先輩は酒に弱い。飲んでから数日の間の記憶はなく、先輩のマネージャーも頭を抱えている。


「先輩、いくら仕事終わりだからと言って未成年の前で飲むのは、教育上悪いと思うのですが。」


しかし、私の言葉など完全無視の先輩は大泣きし始め、持っている缶ビールを飲み干せば、何処からか同じ種類の物を取り出す。


「ん…。ぷはぁ。だいたい、二十歳にもなって彼氏なんて作ったことない。と言うか、家族以外で誰かを好きになったことなんて無いっての。私も彼氏と○○○したり×××したりしたいよぉ。」


もはや先輩を止めることができなかった私は、その後しばらく、酔った先輩にただただ愚痴を聞かされ続け、先輩が寝た頃にはもう六時半となっていた。




「すみません、柳駅まで良いですか?出来れば安全運転で急いでほしいんですが。」


と言う無茶難題に、タクシーを運転しているにしては少し若い…と言うか若すぎる運転手は何も言わず、笑顔で首をたてに振ってくれた。大丈夫なのかと心配したが、時間はとっくに過ぎているため、若さに不安を抱いたまま、私はタクシー2乗り込んだ。

今日は某放送局で撮影だったため、そこから駅まではかなりの距離がある。「アリスちゃんの為なら、何処だってお送りしますのに。」などとマネージャーは言っていたが、私情ごときで車を出してもらうのは気が引ける。


…まぁ正直、マネージャーの運転を避けているのが理由だけど。


私が座ったのを確認した運転手はアクセルを踏んだ。最初は高齢者が運転しているぐらいノロノロとした運転だったが、大きな道に出た途端、先程運転していた人ではないかのようなスピードを出した。

「長くなりそうだから寝よう」と思い船を漕いでいた私は油断しており、スピードが上がると頭を助手席のヘッドレストに直撃する。お陰で眠気が無くなりましたよ、ありがとうございます。


「柳駅までならあと十分ぐらいで着きますよ。」


運転手はハッキリとした声で私に伝えると、ラジオの音量を上げてくれた。運転手でさえ、仕事や学校のことについて聞いてくる人はいる。極力話したく私にとって、彼の心遣いはとてもありがたい。


ーそれにしても、ことみんといい運転手といい、最近の若い人はラジオ好きなのかな。香奈もたまに聞いてるし…。今度、勉強しながらでも聞いてみようかな。ー


彼女たち(ことみんを除く)が私の声のために聞いていることなど知らず、私は携帯にラジオアプリを入れた。


ー香奈、待ってくれているのかな。こんなに遅くなることなんて、きっと初めてだし。ー


窓にコツンと頭を当て、私は雪の降る夜空をボーッと見つめた。雪が降るのを生で見たのは、これで二度目である。

最初に見たのは、香奈の実家で受験勉強していた時だ。勉強そっちのけで外ではしゃいぎ、一体何しに来たのと香奈に怒られたものな、香奈は私に雪ウサギを作ってくれた。

私も香奈のためにと、見よう見まねで雪ウサギを作ったが、形が歪で香奈に笑われたっけ。


ーあの頃に比べると、香奈と二人でいる時間は少なくなったな。その影響で、香奈は少しわがままになっちゃったし。でも、可愛いから許すんだけど。ー


夜空を見ながら小さく笑うと、私はスケジュール帳を取り出しいつものページを開く。そのページには、香奈が笑っている写真が挟まれている。

中学の時に撮った写真のため、香奈は少し幼いが、そこがまた可愛らしくいつも元気をもらっている。本人には決して言えないが。


ーあれから本っ当、変わったな。あれがきっと、私の最初のわがままなのかな。ー


今思い出せばかなり迷惑な話だ。あるドラマがきっかけで女優になりたい、なんて中学生が言えば、そりゃ父親に叩かれても仕方がない。母親なんて、もう何年も話したことがない。

そんな中、香奈だけは違った。「私のことは気にしないで。アリスは、アリスがしたいことをしたらいい。私はいつだってアリスの味方だよ。」なんて…。

目頭が熱くなるのを感じ、私はごしごしと手の甲で拭く。


ーあぁ…。弱いな、私は。いつも香奈に助けられている。香奈は…強いな。ー


鼻水が出てきそうだったため、ポケットティッシュを鞄から取り出し鼻をかむ。暖房が効いているからだろう、タクシー運転手が心配して暖房の温度を上げているのが見えた。勿論、決して寒いわけではない。

鼻をかんだティッシュを車内のゴミ箱に入れると、再び窓に頭を当て外を眺める。街はイルミネーションでクリスマスカラーと染まっている。仲の良い人同士で集まっている人もいれば、恋人のように肩を寄り添っている人たちもいる。


ー私だって、香奈と外で手を繋いだり肩を寄り添わせたりだってしたい。けど、こんな立場じゃ絶対に無理…。ー


肩を寄り添わしている恋人を、私は自身と香奈に置き換える。今は決して出来ない考えで、自分ですら、呆れて笑いそうになってしまう。

それでも、私の考えは曲がることはない。これが私が弱い理由だとわかっていても、私は諦めきれない。


ー香奈はどうして、こんな私なんかと付き合っているんだろ。私と一緒にいなければ、香奈はもっと幸せに生きれるはずなのに…。ー


ネガティブに考えるのは昔からの癖。けれどそれを表舞台に出すことなく、悩みが無いような顔で平然とするのも、私のダメな所である。

しかし、そうしなければ、私は弱いままの私を殺したくなってしまう。他人だけでなく私自身も騙していかなければ、私自身に殺される。だから…。


「柳駅前到着です。九百三十円です。」


タクシー運転手に九百三十円ぴったり出すと、タクシーから降りる。外は車内とはうって代わりとても冷え込んでいる。先程とは違う鼻水が、また私を襲ってくる。


「でも、この状況で一時間も香奈は待っているんだから、こんなことで弱音はいてちゃ駄目だよね。」


私自身にそう言い聞かせると、香奈に一本のメールを自撮りと共に送り、香奈の元へ向かおうとしたが、すぐに返信が返ってきた。


「わかった。」


とても簡素なメールがまた香奈らしく、私はハートのスタンプを迷惑レベルになるほど送りつけた。無論、「そんな暇あるなら早く来て」と怒りのメールが飛んで来る。


「本当、香奈はぶれないね。そこが可愛いところなんだけど。」


一人で呟いた私は、了解のメールと共にニコニコマークを添えて香奈に送った。


「さてとぉ。行きますかね、愛しの香奈のところに。」


ファンが周りに集まってくるなか、私は香奈のいる時計台前に到着した。香奈が何を来てくるかはある程度事前に聞いており、いとも簡単に香奈を見つけることができた。しかし、後ろ姿である。

私はゆっくりと香奈に近づき、飛びかかれる範囲内になると、「わぁー」と香奈を抱きしめ、その手で香奈の目を隠した。


「だぁれだ。」


自分でも何を言っているのか分からなかったが、「アリスでしょ。早く手を退けて。」と冷たく反応される。ちょっと傷つきそうになった。


「ごめんごめん。すぐ離れるからさ。」


私は香奈から手を離すと、香奈は仏頂面で振り返えってくれた。事前に服装を教えてもらったとはいえ、香奈らしからぬ格好に、私は思わず笑ってしまう。別に似合わないからというわけでなく、むしろその逆だ。


ー似合いすぎて、可愛い。ー


理性を持っていかれそうになったが、「言いたいことあるの?」と香奈に尋ねられる。私がじっと香奈の姿を見ていたからだろう。


「え、まぁ。今日も香奈は可愛いなって思ったの。可愛すぎて死んじゃいそうだよ。」


嘘など言わず本心を笑顔と共に香奈に返すが、「何なら、私が殺して上げてもいいわよ。」と香奈は汚物を見るような目で私を見下してきた。身長が足らないのが何とも言えないが、香奈らしい。


「いやぁ~ん。香奈に殺されるなら大歓迎だよ。めった刺しでも拷問でも全然オーケーだよぉ。」


私の変態発言に何を思ったのか、香奈はそのまま顔を伏せてしまう。「どうしたのあれ。泣かしたの?」などの声が周囲から聞こえてくるも、特に私は気にしていない。香奈が急に泣き出すのはよくあることだ。理由を明確にしようにも、その殆どを香奈は話すことはない。

だからこそ、香奈が泣いているときは笑うことにしている。そして、自分自身は何がなんでも泣かないよう心がけている。まぁ、海に行った日の晩、少し泣いてしまったが。


「え、何?顔伏せちゃって。泣いてるの?怒ってるの?どっち?」


表情を揺るがすことなく私は香奈の側に寄り添うが、香奈は一向に顔を上げない。辺りはファンや騒ぎで集まってきた野次馬で騒がしくなっている。出来れば場所を変えて話をしたいのだが、今の香奈の状態では移動なんて…。


…ちゅっ。


香奈の唇が頬に触れた途端、瞬間的だが確実に私の世界は止まっていた。五感すらも止まったなか私が唯一感じているものは、香奈の唇の温度であった。香奈の唇の温もりだけが、私の世界で生き続けていた。

そして改めて思った。私はもう、香奈からは離れることが出来ないことを。

私は一度、この関係に終止符を打とうとしたことがある。中学の秋頃だろうか。ちょうど受験校を決める前日だったはずだ。

香奈とりんりんが迷っているなか、私は上京すると一人で考えていた。その方が、仕事にも集中ができると思っていたからだ。それは同時に香奈とは遠距離での恋愛となってしまい、香奈を傷つけることを意味している。

だから私は、香奈を想う気持ちを敢えて殺し、香奈から身を引こうとした。

けれど、私には出来なかった。私が本題に入る前に、香奈はこう言ったのだ。


「私はアリスと同じ高校に通う。例えそれが海外だとしても、アリスを一人ぼっちになんてさせないから。だから、アリスの行きたい高校でいいよ。」


人見知りで仏頂面のため、友達が多くなかった香奈の発言に私は思い知らせれたのだ。あぁ私、香奈と離れたくないんだな、と。

私の気持ちは一転し、香奈の成績で通える範囲内のあの高校に、私と香奈、それにりんりんは進学することに決めた。仕事にかける時間が多くなったものの、香奈の側にいるという選択を、あの日私は選んだのだ。

そして再び気付かされたのだ。私が生活していくなかで、香奈という癒しが必要不可欠だと。

私の頬から唇を離した香奈は、額から流れる汗をペロリと舐める。予想外の出来事にさすがの私も、自身の耳の辺りまで熱くなっているのを感じた。

硬直する私から一人分の距離を取る香奈に、世界が再び時間を刻み始めた私は彼女の名前を叫びながら、力強く抱きしめた。


「アリスっ!急に抱きつくのやめて。痛い、痛いから!」


本気で痛がる香奈だったが、私は聞く耳を持つことはなかった。小柄ながらも、くびれている所や膨らんでいるところはハッキリとしている。その体つきは、トランジスタグラマーとでも言うべきか。


ーついこの間まであんなに幼かったのに…。何だかエロくなっちゃって。私の身にもなってほしいものよ。ー


中学生の頃は、香奈と一緒にいることで香奈に対する欲求を発散していた。けれど、日に日に成長する香奈を見ていると、いつしか一緒にいるだけでは欲求が発散されなくなっていた。どれだけ誤魔化そうとしても、触れたい衝動が私を襲う。

離れたくない感情が、こんな思いを生んだのは間違いない。しかし、幾らこの思いを殺しても、この感情は戻ってくる。


ーキス以上のことがしたい、何て香奈に言っちゃったら、絶対に怒るし殴られそう…。やっぱり女の子同士だからかな。ー


嫌な考えが私の頭の中を埋めていく。それが形になり、香奈を抱きしめる腕の力が強く強くなっていった。


「ねぇアリス。早く離れて。私の骨、そろそろ折れる…。」

「だって、香奈からのキス久しぶりで嬉しいんだもん。もっとやってもっと。ねぇねぇ。」


変な考えを圧し殺すと、さぞ嬉しいかったような口調でさらに力を入れた。嘘は一言も付いていないが、脳内でネガティブか思考が今もなお発掘されており、正直喜べない。

それでも、香奈には心配されたくない私は、演技で笑顔を作り香奈に頬を擦り付けた。

と我慢の限界か。香奈は私の耳元で訴えるように叫んだ。


「わかった、わかったから。キスでも何でもしてあげる。だから今すぐ離れて。お願いだから!」


香奈は決してそういった気ではないはずだが、そう聞こえてしまうのは、やはり香奈に対する欲求が強くなりすぎたからだろう。

自然と香奈から腕を外した私の顔は熱く、演技で笑おうにも笑えない状況に陥っていた。それぐらい、今私は動揺している。


「…本当に?何でもなの?」


私の口から出た言葉は弱々しい確認で、一体何を期待しているのよと自問する。自問のため返ってくる言葉などなく、よりいっそう胸が轟く。

そして、香奈に対する欲望が、杯から溢れ出てしまった。一瞬でも気を抜けば、私は確実に香奈を襲ってしまう。それは私の社会的死を表しており、それは同時に香奈から遠くなることを意味していた。


「…何でもしてあげる。だからその…ご飯食べたいなって。」


本日二度目の発言に戸惑う私だったが、お腹に手を当てる香奈を見てしまえば、戸惑いなど無くなっており、そこには笑顔の二文字が存在していた。きっと、お昼を抜いてきたのだろう。香奈は黙っていることが多いが、長い付き合いをしていれば、そのぐらい例え香奈のことが嫌いだとしてもわかってしまう。


「たっくさん美味しいもの食べようね、香奈ぁ。」


私は香奈の手を優しく握りながら話しかけ、今度は私から香奈の頬に口づけた。周囲の人たちからは歓声と悲鳴が混ざり合い、辺りは祭りと化した。

と、カメラの視線に気づいた私は、香奈の手を握ったまま「走るよ」とこの場から逃げるように全力で走り抜けた。

もし、永遠に香奈と手を繋げるなら、ずっと走っていても良いと思いながら。

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