第1章 第7話
第1章。Nuclear armament
いつか空の飛び方を知りたいと
思っている者はまず
立ちあがり、歩き、走り、登り
踊ることを学ばなければならない。
その過程を飛ばして
飛ぶことはできないのだ。
(ニーチェ)
第7話 戦闘
体がバラバラになりそうな気分だった。
寒い いや むしろ痛みのほうが大きかった。
そんな状況の中でも気は抜けない
空を切り裂き ソレは向かってくる
先ほどまで乗っていた航空機体に何発ものミサイルが衝突し火をあげていた。
俺とドルークは 無事に敵の本土にたどり着いた。
仲間と合流する前にすでに戦闘が始まっていた
その中に負傷しているハリスを見つけ慌てて駆けつけた。
「お前 なんだこの怪我は!!」
「奴ら 待ち伏せしてやがった
俺たちがここに来るのを知っていたかのように 。
俺は降下中に 被弾した いてぇぞ ちくしょう。」
「喋らない方がいい おとなしくしていろ
俺は戦いに集中する」
剣を構え目の前にいる敵に斬りかかっていく。
「リダル 先に奴の足を破壊しろ
そしたら 側面に剣突きを一撃入れてやれ」
ドルークの指示に従い攻撃を実行する
体がとても軽い
銃を使うとはまた違い やはり僕にはこちらの方が向いていると実感した。
向かってくる敵の数はさほど多くなく一気に五体の敵を倒すことができた。
NAIの装甲を軽々両断するドルークの切れ味は素晴らしいものだった。
「次行くぞ ドルーク さっきと同じ戦法でいいのか?」
「いや 一度引こう 一対一では負ける要素はないが数が多い 援護の力も必要だ」
的確な指示には本当に助けられた
そして後方支援のβチームも到着し 一気に戦況は覆る
αチームのリーダー ベイカー隊長が指揮をとり敵を圧倒していく。
「風に流され 目標まで残り10km以上はある 各自 目標のポイント0に行くんだ!そして敵の頭を叩け!」
敵の数は多くはない
不確かなものは ロッドの姿が見えなかったことだ。やられてないと信じながら走り続けた。
流石はRPTというべきか
ブラックホライズンで経験したときとは違って
的確な攻撃
回避行動の素早さ どちらが機械なのかわからなくなるほどだった。
必ず勝てると確信した時だった
突然の爆風に視界が奪われ体が硬直した。
砂けむりの向こうに異形な姿をしたマシーンを確認した
今まで見たことがないソレはどこか懐かしいような感覚を呼び覚ました
「こいつは あの時の・・・
いや、少し違うか」
思い出したのは 忌まわしき過去
母を焼き殺し 故郷を破壊した
ヤツの姿だった。
空中に浮かび 肩や腕以外にも武装をしていたマシーンは 部隊の先行を妨げ 胴部分から小型のミサイルを乱射し数名の隊員が着弾して息耐えた。
「怯むな! 撃ち続けろ!」
隊長の檄が飛び こちらも銃で応戦した。
敵の武装を破壊し装甲が徐々に崩れていく
すると分厚い装甲が割れ中から小さなマシーンが飛び出した
とても素早く 空中自在に飛び回っていた。
早すぎて攻撃が当たらない
そこでホーミングランチャーを使用し撃墜することに成功した。
とてもやっかいなだったが今の俺たちには決して勝てない。
敵を破壊しつつ犠牲を最小限に抑えながら目標のポイント0にたどり着いた。
そこには高くそびえる塔があり
太陽光がガラスに反射して芸術品のようにも見えた。
大きな入り口が見えそこ以外からの突入はかんがえられなかった。
後方支援のβチームも到着し
負傷したハリスは肩を支えられ足を引きずりながら歩いてきた。
ハリスの出血は想像より酷く
応急手当でなんとか一命を取り留めているが早急の治療が必要だった。
「 これより突入を開始する
αチームが先導する βチームは
後に続け!動けないものはここで 待機 敵が来るものなら死んでも迎撃せよ!」
ベイカー隊長の言葉に納得がいかなかった。
しかし ここまで来て立ち止まることは物量的に後々不利になると考えれば最善だったかもしれない
「 隊長 俺は残ります 負傷者を
仲間を見捨ててなど進む事は出来ません」
「・・ お前 怖いのか?」
「いえ 怖いとかそんな事は」
「ならば従え! お前が先頭に立て!」
「今は言い合いをしている場合じゃないだろ!仲間を見捨てるくらいならここで死ぬ!」
「わかった ではここで死ね」
隊長は銃を取り出し 銃口を向けてきた。
「いいか お前が言ったことだ
兵士なら国のために死ね」
パンパンッ!
銃で撃たれても無意味だった
ドルークがいれば銃弾を切り伏せることなど簡単だった
「貴様!その剣で弾いたのか!」
「悪いがあんたに撃たれて死ぬのはゴメンだ
俺はここに残る
あんたにはもう従わない」
周りの兵士の目つきが変わり
取り囲まれた。
「 リダル!行くんだ!俺たちの事はいい!ここで死ぬことこそなんの意味もない!」
ハリスの声が響く
「・・そこの負傷しているヤツの言う通りだ こいつらの顔をみろ」
俺は負傷している兵士の顔を1つ1つ確認した
決意を固めた目をしていた。
守るものは皆同じ 死を覚悟してしたものだけがここにいるんだ。
「ハリス 必ず戻る それまで」
「死んだらまた会おうぜ」
ハリスはいつものヘラヘラした顔で見送ってくれた。
「 隊長 失礼な事をしました
立派に戦って見せます」
「よし それでいい 突入するぞ!」
重武装をさらに外し 体を軽くした
一気に勝負を決めるために
「ドルーク 行くぞ」
「お前のその決意に応えよう
油断するな」
αチーム38人 βチーム25人
先頭には隊長のベイカー
その他の精鋭
そして俺とドルークが立ち
塔への突入が開始された。
第7話 完